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思いつくことなど
ゴールデンウイーク中、ひさしぶりに黒澤明「七人の侍」を
自宅でみました(もちろん家人が寝静まったあと、麗人酒造を
チビチビやりながら・・・子どもなんか起きてると、全くみた
気がしませんので・・)。

古い映画ですから最初はセリフが聞き取りづらく少し気になる
のですが、徐々に引き込まれてゆき、やがてそんなことなど
全く気にならなくなります・・・

映像も白黒で、画面全体になんとなくドヨ?ンとした
感じなのですが、むしろそれがいい味になっていて、
み終わったあとなどは「やっぱり映画は白黒がいいね?」
などと思う始末。

おそらく黒澤は、モノクロ映画という表現手段を十分に
作品作りを意識していたのではないでしょうか・・

陰影のみによる表現世界が観ているひとの感情をどのように動かすか、
その点において、作品の中で十分で計算しつくされているのではないか
という気がします。

それが証拠に彼が後年カラーで撮った「夢」という作品は、
逆に色による表現がふんだんに用いられており、仮に「夢」を
モノクロで観たとしたら、この作品のよさは全く損なわれて
しまうように思います。

「夢」において色の世界の素晴らしさを表現したのと同じく、
「七人の侍」では、我々が普段目にすることのない、陰影の
世界の素晴らしさを、黒澤は意識していたに違いありません。

最初「七人の侍」を映画館できたとき、これがカラーで
撮られていたらどれだけ素晴らし作品になったか、などと
考えたものですが、黒澤の「七人の侍」はモノクロのうえに
完成してしまっているもので、あれをそのままカラー化しても
意味はないのではないか、いまではそんな気がしています。

次の日みた「蜘蛛の巣城」も、あいかわらずの面白さでした、
能仕立てでちょっと暗いですが・・・黒澤がこの映画を
撮ったのは46歳、その才能の豊かさに改めて感心しました。

彼はそのあと(確か)80代なかばまで映画を撮り続けています。

僕は(確か)今年で48歳になりますが、80なかばまでは
まだだいぶ時間があります、もちろん黒澤の足元にも及びませんが、
どんどん新しいことにチャレンジする精神はマネしてゆき
たいと思います。

(2009年5月19日)



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