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金利があがると銀行株は上がるか?
皆さんこんにちは。
銀行株は今年の夏以降、日本株の上昇相場のなかで随分と上昇してきましたね。
ある意味、この銀行株の上昇はまだ続いているといってもいいと思います(私も個人的にはそこそこいい思いをさせて頂きました)。

では、今後銀行株はどういう動きをするのでしょうか。
私は今後の銀行株の動きを予想するためには、2つの視点が必要だと思っています。
まず一つ目は少し大げさに言えば、日本の社会構造の変化やそれに伴なう産業構造の変化という大局的な視点です。
前回も取り上げましたが、今後我が国で少子化・高齢化が進むのは間違いなく、そのような環境のなかで現在の競争力を維持するためには、社会のシステムを大幅に変革してゆかなくてはなりません。

例えば労働人口が減ってゆく中、現在の生産量を維持(拡大)するためには労働の一定部分を機械や設備に肩代わりしてもらわなくてはならないでね。
あるいは、それらを使ってより生産効率を高めてゆかなくてはなりません。

先日の日本経済新聞の記事のよれば、今年度の企業の設備投資見通しは対前年比で15%程度のアップとなっており、昨年実績(同10.1%アップ)に引き続き2年連続の二桁増になる見通しです。
昨年から今年にかけての設備投資の伸びは、恐らくバブル崩壊以降設備投資を抑えてきたところに、企業業績の好転が重なった結果だと思いますが、上記のようなことを踏まえると今後も企業の設備投資は拡大傾向とみておいてよいのではないでしょうか。

他方企業は手元資金が潤沢で、設備投資がそのまま銀行の貸し出し増に結びつくかと言えば、多少割り引いて考えておく必要はあると思います。
それでも、このような動きは長期的に見れば間違いなく銀行の貸し出し増に結びつき、銀行の業績に対して好影響をもたらすと考えてよいのではないでしょうか。

二つ目は金利の上昇です。
実は金利の上昇は銀行の業績にマイナスだと考えるヒトも少なくありまん。
その理由は、金利が上昇すれば銀行が調達するお金の金利も上がり、結果的に銀行の業績にマイナスになる というものです。

ものごとには必ず表と裏があります、銀行は一方で預金者から預金という形でお金を調達する一方で、企業等に貸付を行いサヤを抜いています。
みなさんが銀行から受け取る金利(虫眼鏡がいるくらい僅かなものですが)は銀行から見れば、資金調達のためのコストだというわけです。
一方で金利の上昇局面では、同時に貸付金利も上昇するため、結果的に銀行の業績にとってはプラスになる側面もあります。

では、このプラス面とマイナス面 どちらが大きいのでしょうか。
普通預金などの預金者から見て流動性の高い預金の金利は、短期金利上昇局面でも実はそれほど上がる事はありません。(短期金利が1%あがったからと言って、普通預金の金利が即1%上昇するなどということは間違ってもありえません)。
従って一般的には短期金利上昇局面では、貸出金利の上昇が調達金利を上回り、結果的に金利上昇は銀行の収益にはプラスに作用すると考えられるわけです。
ちなみに11/25付けの日経金融新聞の記事によれば、短期金利が1%上昇した場合、大手各行の業績への影響は下記のようになるとのことです。

・三菱UFJ(+34%程度 ただし私の目分量 以下同様)
・みずほ (+29%程度)
・三井住友 (+28%程度)
・住友信託 (+7%程度)

となっており、各行で多少のばらつきはありながらも、傾向としては短期金利の上昇は銀行の業績にプラスに作用するとされています。

いかがでしょうか、上記2点のいずれにおいても銀行の業績・株価に対して明るい見通しをもってよいのではないでしょうか、しかもこの外部環境は構造的なもので、しばらく崩れそうにもありません。
現在の銀行の株価は向こう半年程度の業績を織り込んでいるように見えますが、その先も上記のような構造的な変化を徐々に織り込んでゆくことになるのではないでしょうか。
以上の観点で、私は銀行株に対してまだ強気で臨みます。

今回はこのへんで。

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