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複利の世界のお話し
皆さんこんにちは。
皆さんは『複利』について、じっくりとお考えになったことがありますか?
この複利という考え方、実は私たちの日常生活にとって大変重要な概念なのですが、意外とご自分の生活に当てはめてじっくりとお考えになる機会は少ないのではないでしょうか。
今回はこの『複利』について考えてみたいと思います。

ではまず最初に質問です。
ここに1000万円のお金があります、あなたは現在35歳でこのお金を60歳になるまで年間収益率2%(税引き後)でず~と運用し続けられたとしましょう。

60歳時点で当初の1000万円はいくらになっていると思われますか?

答えはおよそ1600万円です、元金1000万円に対し、600万円の収益を上げられたわけですね。

年間リターン2%というのは、極めて保守的な運用といえます。今後我が国 の経済が順調に回復基調をたどるなら、国債や定期預金中心の運用でも、25年程度の長いスパンでみれば年率2%程度のリターンは十分狙えると私は思っています。

では次に、仮に年率5%で回せたとすれば、当初の1000万円は60歳時点でいくらに増えていると思われますか?

答えは約3400万円となり、この場合元本1000万円にたいし収益部分2400万円です。

先ほどの年率2%の例ですと、収益部分が600万円でしたが、わずか年率5%にアップするだけで、収益部分は4倍に増えたわけです。

おそらく日本経済は、今後年率2%程度の緩やかなインフレ状態が続くと私は思いますが、2%のインフレ環境で年率5%のリターンを得ることは、それほど難しくはありません。
日本国内の金融商品でも、主に不動産を投資対象にした金融商品など(不動産投信や不動産の直接保有など)、年率5%程度は十分に射程圏だと思います。
さらに為替のリスクは有りますが、海外に目を向ければ、債券系や不動産系、あるいは場合によっては代替投資商品など、それほどリスクをとらなくても5%程度のミドルリターンを狙える金融商品はいくらでも有ります。

では、続いての質問です。

今度は仮に年率8%で当初の1000万円を運用できたとしましょう、25年後の60歳時点で、あなたはいくらの資産を手にすることができるでしょうか?

答えは6800万円です・・・複利の効果はすごいですね。

6800万円あれば60歳以降の20年間、毎年350万円程度づつ取り崩しつつ(減額されるでしょうが)年金とあわせれば、そこそこ豊かな生活を一生送ることが出来るのではないでしょうか(ただ、元本を取り崩しつつ生きてゆくのは、少し不安ではありますが・・・)。

この場合の収益部分は5800万円ですから、先ほどの年利2%の場合の約10倍にもなるわけです・・・
収益率8%程度ですと、やはり株や代替商品(株・債券以外の金融資産)をある一定額組み込まなくては達成は難しいですね。ただ、これらハイリスクの資産もおそらく資産全体の30%も組み込めば十分だと思います。
またその30%部分についても、確かに個々の投資対象を見ればハイリスクではありますが、極力相関性の低い複数の資産に分散投資することにより、全体そしてもリスクは十分に抑制できます。

今までの3つの例では、元手1000万円でスタートしましたが、元手の1000万円がないとおっしゃる方のために、積み立てバージョンも見ておきましう。
仮にあなたが35歳だとして、60歳時点で上記の6800万円を貯えるために月額いくらずつ積み立てて行けばよいでしょうか?、ただし、年率2%で積立金を複利運用できると仮定します。

答えは月額およそ175,000円です。

この場合、積み立てた元本部分は約5200万円に対し、収益部分が1600万円となります。

でも175,000円というのは相当厳しい金額ですね、実際には一般の35歳のサラリーマンの方が月々積み立てるのは難しいでしょう。
では同じ条件で、年間の収益率を5%に高めてやればどうなるでしょうか?
必要な月額積立額はおよそ114,000円となり、この場合元本約3400万円にし、収益部分は3400万円となります。

さらに年間収益率を仮に8%まで高める事ができたとしたら、月々の積立額はおよそ71,000円まで減らすことが出来ます。
この程度の金額であれば、ボーナスと併用し何とか標準的なサラリーマンのご家庭でも積み立て可能な数字ではないでしょうか。
それでも難しいとおっしゃる方は、少しでもお若いうちから積み立てることをお勧めします。

仮に25歳時点から積み立てを開始した場合、年率8%で運用できたとすれば、毎月の積立額は一気に29,500円まで下げる事ができます。
この場合、最終的に積み立てられた6800万円のうち、収益部分はおよそ5600万円となり、何と全体の約82%が収益部分で占められることになります。

いかがでしたでしょうか、ご覧頂いたように『複利』の世界ではわずか1%の利回りの差が、先々とても大きな運用収益の差になって現れますし、また、その収益の差は投資期間が長くなれば加速度的に開いてゆくということがお解りいただけたのではないでしょうか。
皆さんも(目先の事に囚われ過ぎることなく)是非このような長期的な視点で資産を運用して頂ければと思います。
では 今回はこのへんで。

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