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歪みの世界で個人は勝てるか
皆さん、こんにちは。

マーケットの歪みを利用してお金を儲ける手法は、なにも昨日今日
始まったことではなく、ずっと以前からありました。

例えば司馬遼太郎の『義経』を読むと、奥州(今の東北地方)の馬商人が
馬を都に売りに来るくだりがありますが、あれなども一種のマーケット
の歪みをお金に変える手段ですね、当時奥州は名馬の産地でしたから、
奥州の馬を都(京都)に持ってくるだけで、相当の差益を得ることが
できたのでしょう、ただ当時(平安末期)は時代の流れがよほど遅く、
人間の足で2ヶ月や3ヶ月かけて奥州から歩いてきても、その間、馬の
市場価格が変動するということもなく、十分鞘(サヤ)を抜けたので
しょう。

時代が下って江戸時代になると、多少様相が変わってきます。

江戸時代中期の豪商、紀伊国屋文左衛門は紀州(和歌山県)から、
嵐の日にみかんを江戸に船で運び、他の商人を出し抜いて
高値でみかんを売ることに成功したと言います、彼はその後、その
利益を元手に巨万の富を築いて行くことになります。みかんの逸話の真偽は
さておいて、当時のマーケットを知る意味で、このお話しは実に興味深く、
おそらく、江戸時代では、1日、2日といったタイムラグが、市場の歪み
から得られる利益の多寡を決定するほど、時の流れが速くなっていた
ということでしょう。

では現在はどうなのでしょうか、相変わらず(もちろん江戸時代の
ように解り易くはありませんが))市場のアチコチで時として小さな歪みは
生まれていますし、歪みをいち早く見つけ、他人に先んじて売買を
行うことによって、莫大な富を手にすることができる、この点に
おいては、義経や紀伊国屋文左衛門の時代となんら変わりありませんが、
圧倒的に違うのはスピード感とレバレッジの掛けやすさではない
でしょうか。

江戸時代の昔でも、おそらく大阪の商人が当時の両替商からお金を借り、
北海道のコンブを買い付ける、このようなことは比較的容易に
できたのではないかと思いますが、それでも借金に関してはある程度の
信用力を求められたということは想像に難くなく、余程の資力がなければ
容易にレバレッジを掛けた取引などはできなかったのではないでしょうか。

これに対し、現在では個人がキーボードから発信する電気信号一つで
簡単にレバレッジを掛けられますし、また同様簡単に歪みをお金に変える
注文も出すことができます。

では、これをもって個人投資家が『歪みの世界』で勝ちを得続ける事が
できるのかといえば、それとこれとは話しが別という気がします。

個人ですらこのような簡単な作業で、歪みをお金に変えるチャンスが
あるわけですから、歪みをお金に変えるプロ、すなわちヘッジファンドが、
相当細かい市場の動きを常時ウオッチしているであろうことは、容易に想像
できます。

このように考えて行きますと、私などは情報量と資金量が勝負の『歪みの世界』
で、個人投資家がプロのファンド・マネージャーに継続して勝ち続ける
事は、なかなか難しいことのように思うわけです・・・

短期の投資はゼロサムゲーム(勝者の勝ちの合計と敗者の負けの合計が
一致するゲーム)です、一時的に個人の投資家が大勝することがあっても、
それはあくまで一時的なことであって、情報量、資金量において
有利なプロのファンド・マネージャーに、個人が勝ち続けるということは
難しいのではないでしょうか。

これが、私がFXの証拠金取引や株の信用取引をやらない(し推奨もしない)
理由です。


では 今回はこのへんで。





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