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サブプライムの次に来るもの
皆さん、こんにちは。

あれから一年経ちましたね。

始まりは中国株の下落でした。

この一年、それなりの対策が打たれてきましたが、
それでも本当の意味での解決策に、米国はまだ到達できて
いないようです。

果てしなく続くようにも見えてしまうこの暗いトンネルも、いずれは
出口が見えてくるのは間違いないわけで、私達個人投資家は
そろそろポスト・サブプライム(サブプライム後)に向けて準備を
始める時期に来ているのではないでしょうか。

過去の米国の景気後退期の平均期間は約10ヶ月、仮に今年第一四半期
(2008年1月~3月)に景気後退期に入ると仮定しますと、今年の末
から来年の年初あたりには米国景気は反転し、回復トレンドに戻ることに
なります。

今回はその後の米国と世界の姿を、ちょっとだけイメージして
みたいと思います。

そもそもGDPのプラス成長が米国の景気回復の要件ですので、当然
そのころには米国の個人消費は勢いを取り戻し、住宅投資も反転、
あるいは反転の時期に近づいていることでしょう。

その直接的な影響はまず米国の企業業績見通しに現れ、企業業績回復を
見込んだ米国株はいち早く上昇トレンドに入る・・・

さらに世界に目を転ずれば、米国の景気後退という心理的な重圧から
開放された世界の投資マネーは新興国株、欧州株、日本株にも流れ込み、
再び2005年から2006年にかけてみられたような世界同時株高へとつながって
ゆく・・・

これが第一幕・・・ここまではあくまで米国の景気回復を先取った心理的
要因による株価上昇です。

続いて起こるのは世界各国の企業業績の好転という、実体経済を
素直に反映した株価上昇でしょう、世界のGDP合計の20%を占める
米国の個人消費回復は、直接的あるいは間接的に世界景気の
押し上げ要因となり、各国企業の業績回復(拡大)あるいは各国の
消費拡大の大きなエンジンとなることでしょう、これが第二幕。

第一幕と第二幕に明確な境目はなく、株価上昇の初期は心理的な
要因によりもたらされ、その後、徐々に企業業績の好転と消費拡大という
実態面での回復を確認しながら、世界各国の株価上昇はその
足取りを強める・・このようなイメージを想定しております。

中でも新興国の株価については(それまでの)調整の深かったぶん、
欧州、日本など先進国の株より早く、そして力強く上昇軌道に乗るので
はないでしょうか。

一方でコモディティはどう動くでしょう。

原油に代表されるエネルギー価格は、企業による生産活動の活発化、
あるいは個人によるエネルギー消費の拡大に伴い、再び高騰局面に
入る。非鉄金属については米国の住宅投資の復調に伴い、こちらも
再度高騰基調へ戻るというイメージです。

穀物についてみると、既に現在でも上昇トレンドを維持していますが、
トウモロコシなどのバイオ燃料利用が活発化し、こちらはトレンド
に変化ナシというところでしょうか。

貴金属についてみると金はやや見方が分かれそうですね。

産業用途の割合が小さい(10%ほど)金は、経済活動が活発化しても
それほどインパクトは大きいとは思えませんし、金は現在米ドルに対する
信認低下を材料として買われている側面があり、その点では米ドルが
安定すると、それはむしろ金売り要因となるでしょう。

一方でこれからも年金などの長期マネーは、リスク分散という観点で
ETFを通して金を買い続ける可能性はありますし、経済の回復に伴い、
さらに豊かになったインド人や中国人などは、金への選好を強めて
くるかもしれません。

結論を申し上げますと、金はサブプライム後も引き続き魅力的な
資産ではありますが、2007年から現在にかけて見られたような、一本調子
の上昇は望みにくいといったところいでしょうか。

これに対し、銀やプラチナは面白いと思います。

銀もプラチナも、金と違って産業用金属としての性格が
強い金属です。

世界の消費活動が活発化すれば、新興諸国の生活様式の高度化が
さらに速まり、これら金属に対する消費ニーズはますます
高まるの可能性があります。

債券と不動産についても少し見ておきましょう。

サブプライム後、米国は速やかに利上げ体勢にはいると思われます、
これは今回のサブプライム問題に対する反省とインフレ回避のためです。

これに対し米国の長期金利はどうでしょうか、米国の10年債利回り
は現在3.6%程度ですが、おそらくサブプライム後は比較的短い期間に
5%台まで上昇するのではないでしょうか、従って長期債の価格は
下落です。

不動産についてみれば、そもそもサブプライム問題の終焉は米国不動産
が底を打つことを意味しており、それ以降は再び経済の実情を反映した
相場が形成されるのではないでしょうか、言い換えれば、経済成長率
程度の価格上昇への回帰というイメージ。欧州や英国の不動産も基本的には同じ、
底をみたあとで徐々に回復と見ております。その当たりから、世界を
対象にした不動産ファンドの買い場が訪れると思います。

為替はドル高に向けて反転、いまは消極的な理由で買われている
円は、通貨としての独自の魅力に乏しく、サブプライム後は円安トレンド
に戻るのではないでしょうか。

以上が私がイメージするサブプライム後の世界です。

皆さんもご自分なりイメージを描き、そろそろポスト・サブプライム
に向けて、準備を始められてはいかがでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2008年2月13日)




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