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現実化するインフレ
皆さん、こんにちは。

先日、新日鉄とブラジルのヴァーレ社との間で、2008年度の
鉄鉱石の価格交渉が合意に達したと伝えられました、その合意価格は
対2007年度比でプラス65%。

ある程度予想はされていましたが、こうやって、現実に65%という
大きな数字を見てしまいますとショックを感じざるを得ませんね。

ただよく考えてみますと、これもある意味当然なこと、今まで
せいぜい先進国の人口10億人程度が、世界中の天然資源を山分けに
してきたことの方がむしろ異様な状態、これからは富裕化した世界中の
人々の間で天然資源をシェアしてゆくことになるのでしょう。

言い換えれば今まで天然資源の安値放置は、新興諸国の貧困という
犠牲の上に成り立っていたのであって、これからはもう安い天然資源
などあり得ないと覚悟しておくべきなのかもしれません。

さらにこの事実・・・

よくよく考えてみると深い意味を持っていることに気付きます。

そもそも天然資源は、貨幣という媒介を通して分配されるわけですから、
(仮に供給をこれ以上大幅に増やせないという状態であれば)天然資源
の分配は、貨幣をどれほど多く持っているかという、各国の富裕度合い
に基づいて行われるはずです・・・このことは例えば、米国の市場で日本
の商社が大豆を思ったように買い付けられないといった事態、あるいは
地中海のマグロを他国におさえられてしまうといった事態として、既に
現実のものとなりつつあります。

私達日本人の感覚では、一年の間にあるモノの価格が65%も上昇する
などちょっと信じられませんが、世界には65%増しでも買いたい人たち
が大勢いるということ・・・これは世界の富裕度がそこまで高まっている
ことの表れなのでしょう、ちなみに中国の粗鋼生産量は、昨年時点で
対前年比16%アップ、世界シェアは36%に達しています。

一言でいってしまえば、『世界が富裕化すれば、国内でインフレが
起きる』という構図はすでに出来あがってしまっているようです・・・
それも賃金上昇を伴わないインフレという形で。

一般的には年率2%程度のインフレは好ましいと考えられており、特に
先進国の中央銀行では、2%程度をインフレ目標値として設定するケース
が多いようですね。

その理由は、この程度のインフレは企業業績にプラスに働き(モノが高く
売れるからです)、企業業績の拡大は賃金の上昇を通し、消費拡大へ
とつながり、その結果企業業績はさらに拡大しする・・このように経済を
持続的に成長させるサイクルが生まれるからです。

一方で今回のように、輸入品の価格上昇によりインフレが誘発される
ケースは、従業員の賃金上昇を伴わず、消費拡大にも結びつきません・・・
これがいわゆる『悪性のインフレ』です。

仮にこれから我が国で『悪性のインフレ』が常態化すれば
どのようなことが起こるか・・・

ちょっと長くなりそうですので、続きは次回にお話しします。

では、今回はこのへんで。
(2008年2月19日)




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