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ある村のその後
皆さん、こんにちは。

今回のお話は先週の「ある村」のその後です。

裕福な村A、急速に豊かになりつつある村B・・・その昔、村Bが
まだ貧しかった頃、コメの消費もさほど多くなく、村Aの住人は
安いコメをいくらでも村Bから買うことができました。

ところが村Bの人たちは勤勉でよく働き、みるみるうちに豊かに、
その結果、村Bのコメの消費量は急増し、あるとき
島全体の住人11,000人のうち、200人にコメが行き渡らないという
大変な事態になってしまいました。

ここまでが先週のお話し、今週はその続きを見てみたいと思います。

島全体のコメの消費量が急増した結果、この島でのコメの価格は
上昇しますので、村Bの住人の中には山林を切り開き、新しい田んぼ
を作りもっとお金を稼いでやろうと考える人たちがでてきます。

またさらに富裕な村Aでも、その昔コメを作っていた
休耕地を再耕して、コメを作ろうとする人たちが出てくるかも
しれません。

ただ山林を開拓して作った田んぼから、コメが生産されるように
なるまでに3年ほどはかかりますので、その間はコメの生産量は増えず、
お金のない200人は、やむを得ずコメの代わりに芋や雑穀を食べて飢えを
しのぐことになります。

それでもなんとか3年も経つと、村Bでの新田開拓が功を奏し、
徐々にコメの生産量も増えてきます、その結果、コメは以前のように
生産余剰の状態に戻り、コメの価格は均衡点を探しながら再び下がり
始めることになります。

このような生産余剰の状態では、コメの価格は先週の例と同じく
「村Bの生産原価+利潤」に落ち着くはずです、ただし、村Bの
生活水準が上がっている分、かつてのように著しい安値でコメを
買うことはもうできないということに・・・

以上が「ある村」のコメ価格の急騰とその顛末ですが、
このお話しはある程度現実の世界でもあてはまるのではない
かと私は思います。

今後の国際商品(コモディティ)相場の行く末を考えますと。

1.新興国の急速な富裕化により、一次産品の消費が急増する、
その結果、一時的に需給のバランスは崩れ価格は急騰する。

2.価格急騰の過程においては、投機的なマネーや長期的な投資資金
も流入し、思いのほか相場は上昇する場面がある。

3.一次産品価格の上昇がしばらく続き、世界を巻き込んだ『所得
の多寡による一次産品の再分配』が行われた結果、それらを手に
できない層が拡大し、世界的レベルで一次産品不足問題が起こる。

4.一時産品の価格上昇からやや遅れ生産量が拡大、その結果、
価格は下げのサイクルに入る、消費量と生産量のミスマッチ解消まで
の期間は、それぞれのコモディティの性質によって異なる、例えば
農産物のように、比較的短期間で増産できるものもあれば、
鉱物資源のように、鉱山の探査から試掘、掘削、輸送インフラ
の構築、精錬まで含めれば10年程度かかるものもある。

5.下降サイクルに入った一次産品の価格は、やがて生産(に要する)
原価+利潤という新しい均衡点をみつけそこで下げ止まる、ただし
生産者側である新興国の富裕化に伴い、生産原価はすでに
上昇しており、新しい価格の均衡点はかつての価格ではあり得ない。

6.このようなサイクルを繰り返しながら、世界的レベルでの富の拡散
と一次産品の価格上昇は続くことになる。


一次産品は主に新興国で生産されているという事実、さらに
近年起こっている『世界的にみた先進国への富の集中から、新興国への
富の拡散』というトレンド・・・生産原価の上昇、新興国の富裕化、
消費の拡大、一次産品の価格上昇という循環の形成。

よくよく考えてみると、現在起こっている一次産品価格の上昇という
現象の本質は、『先進国に集中していた富(とみ)の新興国への拡散』
にあることがわかります。

この富の拡散が続く限り、一次産品の価格は3年から10年程度の
サイクルを繰り返しながらも徐々に上昇してゆくということになる
のではないでしょうか。


では、今回はこのへんで。
(2008年4月18日)




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