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流れ出るお金、戻ってくるお金
皆さん、こんにちは。

ここのところ、国内でもインフレ率が急速に高まってきましたね、
直近5月度の消費者物価の上昇率は+1.5%となりましたし、
年内2%を超えて上昇するとの見方も多くなってきました。

わずか一年ほどまえ、私達を不安な気持ちにしていたのは、
インフレではなく、反対にデフレでした・・・

それが今では、徐々に現実のものとなってきたインフレが
私達を憂鬱(ゆううつ)な気分にさせています。

そもそもある程度のインフレは、企業の経済活動ばかりでなく、
私達の社会生活にとっても好ましいものとされてきたはずです・・

それがどうして、このように私達を憂鬱な気分にさせるのでしょうか。

その理由は、今進行しつつあるインフレが、景気拡大によりもたらされた
ものではなく、輸入される一次産品の価格急騰によりもたらされて
いるからだといえます。

たとえ企業が原材料や燃料の価格上昇を、最終製品の価格に転嫁
できたとしても、それで積極的に利益を拡大できるという類の
ものではなく、せいぜい利益の縮小幅を抑える程度の効果しか
ありません。

これでは、企業は積極的な設備投資を行うことはできず、また
従業員への利益配分を増やすことも難しくなってしまいます。

購買余力が減った消費者は消費をひかえ、それがさらに
企業の売り上げを減少させる。

収入の増加を伴わないモノの価格の上昇・・・
そして先のみえない負のスパイラル・・・

これが憂鬱の正体ではないでしょうか。

でも物事には必ず表と裏があるはず、このような私達の憂鬱の裏で、何か
別なことは起こってはいないでしょうか。

片側に私達のような消費者がいるとすれば、その反対側に生産者が
いるはずです。

私たちが消費している穀物や原油は、例えば10年まえと比べなんら
変わっていないはず、要するに穀物や原油は単なる媒体で、これら
を通して生産国と消費国が、お金の綱引きをやっているだけという
見方もできます。

地球規模で考えた場合(仮に経済成長を無視して考えた場合)、
富(とみ)の総量に変わりはなく、それを一次産品という財を媒介にして
移動させているだけともいえるわけです。

さらに長い目で見れば、今資源国に移動しつつある富も、その
場所に滞留し続けるということではなく、いずれは外に向かって
還流することになるはずです。

具体的にいうならば、例えば

・資源国の所得水準の上昇→購買力の向上→海外の消費財の購入
・設備投資の拡大→生産財の購入やプラントの建設
・ファンド設立→海外での投資』


といったルートを介してです。

そしてこの動きはすでにいくつか見ることができます。

例えば、ロシアや中東などで高級な日本車が飛ぶように売れていると
いった状況、新興国での水処理施設の建設プロジェクトの活発化、
鉱山開発用などの重機の輸出拡大、さらには中東の政府系ファンドによる、
日本株購入なども加えてしまってよいでしょう。

もしこれら資金の我が国への還流が、何の制約もなくスムーズに
行われるとすれば、今私達の財布から海外に流れ出つつあるお金も、
いずれは日本企業(特に輸出型産業)の売り上げ増、あるいは日本株や
国内不動産などの資産価格上昇を通し、私達の財布に戻ってくるはず
です(もっとも人によって、濃淡は違ってくるとは思いますが)。

今は財布からお金が流れ出してゆくばかり、私達にとって
相当に憂鬱な日々が続いていますし、これからもしばらくはこのような
状態が続くに違いありません、それでもいずれ出て行ったお金は私達の
ところに戻ってくるはず・・・

世界を流れるマネーの流れは、徐々にではありますが、間違いなく転換
しつつあるように思います、私達庶民といえども、ただ憂鬱な気分に
浸っているばかりではなく、そこはしっかりと見ておく必要があるので
はないでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2008年7月01日)




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