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マネーの奔流を前に・・・
皆さん、こんにちは。

先週18日、FRBは50年ぶりの封印を解きました。

米国債の購入です。

この意表をついた政策は、市場に大きなサプライズをもたらし
ましたが、これは私たち個人投資家にとっても非常に大きな
意味を持つ判断ではなかったでしょうか。

今回はFRBによる国債購入の意味と、それが私たちの
資産運用に与える影響について考えてみたいと思います。

『FRB、国債3000億ドル購入』のニュースは、市場に驚きを
もって迎えられ、金利、為替、株価、コモディティ価格は
瞬時に大きく動きました。

米国の長期金利は3.0%近辺から2.5%近辺まで急低下、
円ドルレートは1ドル=98円から約5円程度の円高、
原油相場や金も軒並み高といった具合。

ただし、国債の購入を決めたのはFRBだけではありません。

これに先立って日英の中央銀行でも、国債の買い取り
(あるいは買い取り額の増額)を決めており、現時点で
その額は下記のようになっております。

・米国(FRB)向こう半年で最大約29兆円
・英国(BOE)向こう3ヶ月で約10兆円
・日本(日銀)月額1.8兆円に拡大


中央銀行による国債購入は、市場で流通するお金の
量を増やし、市場にインフレ期待を抱かせる効果があります、
市場にインフレ期待感が生まれますと、投資が活発化し、
やがて経済がプラスの方向にむかうことになります。

中央銀行の本来の役割は、金利の誘導等を通じた物価の安定
にありますが、現在のような異常な事態を迎え「やれることは
なんでもやる」という、いわばなりふり構わぬ未踏の領域
に入りつつあるというわけです。

よく「火事場で消火活動をしているときに、家具が
水に浸かることを心配するバカはいない」と、現在の経済状況
ついて表現することがありますが、現状はこの通り、
まさになんでもアリの状況を迎えつつあるようです。

もちろん昨年来各国の当局が打った対策はこれだけ
ではありません、米国80兆円、中国55兆円、日本12兆円・・
巨額の財政出動や世界中で実施される金融機関への資本注入、
主要国の政策金利は限りなくセロに近づき、財政・金融の
合わせ技で、とてつもなく大きな流動性が市場に供給され
ようとしているわけです。

火事の後のことは火事が収まった後で考えよう・・・

当局の本音はここにあるはずですし、いまのような状況では
それもやむをえない対応だと思います。

それでも私などは、数年後の世界経済に大きな
不安を持たざるを得ません。

もちろん時期はいつわかりません、それでもこれだけの
財政支出と流動性の供給が、世界経済の後退スパイラルを
近々のどこかで止めるのは間違いないでしょう。

いままで凍結していたリスクマネーが、株やコモディティに
向かって再び流入しはじめる時期がきっとくるはずです。
(いや、すでに始まっているのかもしれません・・・)

そしていずれその流れは奔流となり、暴力的な勢いであらゆる
ものを飲み込んでゆく・・・そのような悪夢への不安です。

対策の規模が大きかっただけに、市場に蓄積された
エネルギーは大きく、いったんプラスのトレンドが生まれて
しまうと、よほどうまく当局がチューニングしない限り、
その流れを『ほど良いところで』止めることなどできません。

バブルは人間の欲望によって引き起こされ、多くの場合
その行くつく先は崩壊です。

目の前にある危機を脱したあと、もちろん当局は景気過熱や
インフレに対する懸念を持ち始めるでしょうが、多くの場合
当局による財政や金融の引き締めは後手に回りがちです。

いや「人間の欲望を当局は止めれない」と表現したほうが
いいのかもしれません・・

上記で申し上げたように、時期について申し上げるつもり
はありませんが、やがてリスクを求めたマネーは新興国株や
コモディティに流れこむことでしょう。

私たちがいま一番気をつけておく必要があるのは、その
流れがバブル化する可能性が高いということ、言い換えれば
次の相場は降り方が難しいということです。

次の相場・・

私たちは株とコモディティで大きく稼げる可能性
があると思いますが、一方で逆に冷静に対処しなければ
痛手を負ってしまう、同時にこのような不安も覚えます。

降り方を常に意識しておく冷静さ、あるいは、次のバブル
に巻き込まれない資産を、一定額確保しておくという周到
さも必要かもしれません。

具体的にはサイクル性のない金融資産への配分や、
キャピタルゲインから離れ、インカムゲイン目的で保有する
資産への分散という発想の転換。

このような準備が必要ではないでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2009年3月24日)




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