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中国の国家戦略と私たちの資産運用
みなさんこんにちは。

先週このコラムで中国についてお話しましたが、
今回は、私たちの資産運用という別の観点から
今後の中国について考えてみたいと思います。

今後の中国が、もう一段発展するための条件として、
内需の拡大が第一条件になることは間違いないでしょう。

では中国における内需の拡大とは、具体的にどういうこと
なのでしょうか。

多くの場合、国の成長期においては所得の格差が
広がるようですね、中国も例外ではなく豊かな沿海部に対し、
内陸部の平均所得はいまだにその1/3程度に過ぎません。

一方で人口は内陸部に偏っておりますので、現在の構図は
少数の豊かな沿海部と、多数の貧しい内陸部が併存している
かっこうになっているといえます。

一般的に国民の所得格差の拡大は社会の不安定要因です、
ましてや中国は共産主義ですから、いままでのように
沿海部の富裕化政策を基軸に、経済を発展させてゆくという
やりかたは限界があるはずです。

結果的に、中国政府に残された経済成長のための選択肢は一つ、
それは内陸部の所得水準を底上げし、内需拡大型の経済成長を
目指すこと、その一点に絞られるのではないでしょうか。

では内陸部の所得水準を上げるとは、具体的にはどのような
ことなのでしょうか・・・

例えば内陸部の鉄道、高速道路、送電設備、上下水道などの
インフラを整備し、彼らの生産性を高めてやること。

例えば社会保険制度を整備し、彼らの消費性向を高めてやること。

例えば所得税を引き下げ、彼らの消費を活性化すること。

このような政策が求められるはずです。

一方でこのような内陸部に力点(りきてん)をおいた内需拡大策
には、大きな弊害があります。

上記のような内陸部のインフラ整備には、大量の資源が必要に
なるはずです、鉄鉱石、銅、アルミニウム、亜鉛などのベースメタル
消費量の拡大、あるいは内陸部の巨大な中間所得層の出現は、
食糧、水、エネルギーなどの消費量を一変させることになるのでは
ないでしょうか。

結果的にエネルギー、穀物、金属など天然資源の計画的な調達は、
今後の中国にとって国家的な命題になってくるはずです。

いえ、この動きは既に数年前から始まっているといえます。

中国は既に2006年以降、アフリカ諸国への支援を拡大し、対アフリカ
外交を活発化していますが、これはあきらかに将来の資源調達を
意識した動きでしょう。

また中国アルミを始め、中国企業数社が豪州の金属資源会社
に出資し、同国の資源権益を獲得に動いているのも、単なる民間企業
の経済活動ではなく、中国政府の意図が働いていると考えてよい
でしょう。

さらには穀物確保においても、先日中国のシノグレインが丸紅から、
大豆など大量の穀物を安定的に調達べく、両者の提携を発表しました。

このような中国政府の行動をみていますと、国家の成長ビジョン
を実に明確に持っていることに感心しますし、またその目標にむかって
着々と具体的な施策を打つ実行力にも驚きます。

このように急成長する中国をまえに、隣の島の住人としては、
なんとなく不安な気持ちになってしまいますが、一方で
その中国政府と戦略を共有する方法もあります。

中国企業株の多くは中国政府が保有していますので、中国企業株
を保有することは、言い換えれば中国政府と中国の成長性の果実を、
共有することにもなるわけです。

私たち日本人の資産運用においても、そのような考え方もあって
よいのではないでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2009年4月14日)




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