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マイルストーンの謎
みなさんこんにちは。

今回は少し謎解きに挑戦したいと思います。

最近海外のCTA(注)が国内で公募されるケースが増えてきました。

注)CTA:ヘッジファンドの一形態で、主にトレンド・フォロー型
戦略をとるファンドを指す。

背景にはCTAがリーマン・ショック以降も、好調な運用成績を
納めているということがあるでしょう。

例えば

・三菱UFJ証券のウイントン連動型(豪ドル建て)
・野村のマンCTA
・大和のトランストレンド連動型


最近ではこのように、国内3大証券から数銘柄のCTA連動債が
公募されていますが、何といっても老舗は三菱UFJの
マイルストーンでしょう。

このファンドは、Man Investmentsの
AHL Diversified Programme(以下ADP)で運用される
ファンドで、2000年3月以来公募を続けています。

2000年に運用開始した当初は、上記ADPのみではなく、他の
運用手法にも分散投資していたのですが、2003年9月に
戦略転換し、以降ADP100%で運用されています。

従って2003年9月以降の運用実績は、本家のMan AHL Diversified plc
と一致するはず。仮に不一致があれば、その部分は公募に関する
コストということになります。

ではまず2000年3月(マイルストーンの運用開始時点)以降の
両者の運用実績の比較を行ってみましょう。

■Man AHL Diversified plc
・2000年3月20日時点のNAV/Share(一口当たり基準価格)=USD24.92
・2009年4月27日時点の    同上         =USD91.42

・従って2000年3月20日から2009年4月27日までの累計リターンは、
266.85%となりました。

■【計算式】
91.42÷24.92=366.85%
366.85%-100%=266.85%

■マイルストーン
・2000年3月17日から2009年4月27日までの累計リターン=149.1%
(マイルストーンの場合、上記Man ADPのような週次の実績を
拾えませんでしたので、マイルストーンの直近月次報告書より
上記149.1%を得ました)


結果は上記のように

Man AHL Diversified plc が266.85%であるに対し、
マイルストーンは149.1%と随分大きな開きがあることが
わかります。

ただこれはマイルストーンの月次報告書にあるように、
同ファンドが2000年~2003年9月まで、一部ADP以外の運用手法を
とりいれていた影響が大きいと思います。

ではマイルストーンが、100%ADP化した2003年9月以降で、
比較するとどういうことになるでしょうか。

まず上記と同様に両者を比較してみましょう。

■Man AHL Diversified plc
・2003年9月1日時点のNAV/Share(一口当たり基準価格)=USD46.47
・2009年4月27日時点の    同上         =USD91.42

・従って2003年9月1日から2009年4月27日までの累計リターンは、
96.73%となりました。
■【計算式】
91.42÷46.47=196.73%
196.73%-100%=96.73%

■マイルストーン
残念ながら、ネットで開示された資料のなかには、2003年3月17日
から2009年4月27日までの、累計リターンを計算できる基礎数字は
みあたりません、そこでやむをえず、本ファンドの直近月次報告書
で示された基準価格推移チャートから、目分量で計算することに
致します。

上記のように目分量で見当をつけますと

・2003年9月1日時点のNAV/Share(一口当たり基準価格)=USD145程度
・2009年4月27日時点の    同上         =USD241程度

・従って2003年9月1日から2009年4月27日までの累計リターンは、
66%程度となりました。

■【計算式】
241÷145≒166%
166%-100%=66%


結果は上記のように、Man AHL Diversified plc が約97%であるに対し、
マイルストーンは66%程度となりました、繰り返しますが、
これはマイルストーンが純粋ADPに衣替えしたあとの比較です。

ではもう一歩分析を進め、さらに年率平均リターンへの換算を
行うとどうなるでしょうか。

結果は

■Man AHL Diversified plc 12.7%
■マイルストーン        9.4%


となりました・・・

12.7%と9.4%・・・これは大きな違いです、年率3.3%にもなる
この差はいったいどこからでてくるのでしょうか。

まず考えられるのは、オリジナルのADPをベースに、国内公募型商品
(ここではマイルストーン)を組成する際に発生するコスト、
あるいは三菱UFJの利益上乗せ部分ということになるでしょう。

では月次報告書の「当ファンドの手数料について」より、
上記部分の料率を推測してみましょう。

・「代行協会報酬」 年率0.25%
・「保管・管理事務代行手数料」 年率0.33%


が公募組成上のコストと思われるのですが、これを合算して
も年0.58%にしかなりません。

一方で月次報告書には「上記のほか、公租公課、銀行取引手数料、
弁護士費用・・・・等をご負担頂く場合があります。当該費用等
については、運用状況等により変動するものであり、事前に料率、
上限額等を表示することができません。・・・」とあり、三菱UFJ
が独自で設定する管理報酬(利益上乗せ部分)の記述は見当たり
ません。

おそらくこのやたら「等」がつく文章の、「等」のなかには、
上記3.3%と0.58%を埋める費用、即ち三菱UFJが独自に設定する
管理報酬(利益)が含まれているのではないでしょうか。

ただそれにしても、3.3%と0.58%の乖離である2.72%は
大きすぎるような気がします、なんらかの別の要因が
考えられるのでしょうか・・・

ここはもう少し時間をかけてひも解いてみたいと思っています。


では、今回はこのへんで。
(2009年7月7日)




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