偏りの金属
みなさんこんにちは。

75%以上を南アフリカ一国で採掘し、
60%近くを自動車の触媒に消費する・・・

私はプラチナを『偏り(かたより)の金属』と
呼んでいます。

偏りが激しいことは、安定した相場形成という観点からは
決して好ましいことではありません。

同じ貴金属でも、例えば金(Gold)の需給をみてみますと。

□生産
1.中国(12.1%)
2.米国(9.7%)
3.南アフリカ(9.7%)
4.オーストラリア(8.9%)
5.ロシア(7.8%)

□需要
1.宝飾需要(57.5%)
2.金隗として退蔵(10.2%)
3.ETFを含む投資用(8.6%)
3.エレクトロニクス用途(7.8%)
5.公的コインへの加工用途(5.1%)

注)GFMS/Gold Survey 2009より抽出した2008年度データ


という具合で、特に生産国は幅広く分散していること
がわかります。

これに対しプラチナはといいますと

□生産
1.南アフリカ(75.9%)
2.ロシア(13.7%)
3.北米(5.4%)
4.その他(5.0%)

□需要
1.自動車触媒(60.0%)
2.他の産業用途(27.7%)
3.宝飾需要(21.5%)
4. ETFを含む投資用(6.7%)
5.在庫変動等による調整(?15.9%)

注)Johnson Mattey/Platinum 2009より抽出した2008年度データ


というように、特に採掘国に大きな偏りがみられ、この点は
今後のプラチナ相場を占ううえで注目しておく必要があります。

さらにプラチナと金を比較する際に、重要なポイントが
あります。

金の需要もプラチナの需要と同様大きな偏りがみられますが、
金の大半は宝飾需要・投資需要など、そもそも生産活動
とは関係ないところで使用されており、産業用途はわずか
全需要の10%強に過ぎません。

これに対しプラチナは、生産活動・・・なかでも
自動車の触媒という僅か一つの用途が全需要の6割を占めて
おり、この点において"いびつ"といわざるを得ないでしょう。

このような特異な性質は、今後のプラチナ相場を予想するに際し、
大きなヒントになりえます。

例えば過去の金とプラチナ相場を比較してみましょう。

それぞれ

1.「リーマン・ショック前の高値」
2.「リーマン・ショック後の安値」
3.「現在価格(2009年10月13日終値)」

注)いずれもロンドン市場スポット価格、小数点以下切り捨て

を比較してみますと

□金
1.1011ドル(2008年3月17日)
2.713ドル(2008年10月13日)
3.1050ドル(2009年10月13日)

・1から2の間は?29.5%
・2から3の間は+47.3%

□プラチナ
1.2273ドル(2008年3月4日)
2.763ドル(2008年10月27日)
3.1352ドル(2009年10月13日)

・1から2の間は?66.4%
・2から3の間は+77.2%


となり、明らかにプラチナの価格変動が激しいことが解ります。
これは自動車生産に大きく需要が偏っている、プラチナの
価格変動の典型的なパターンといえるのではないでしょうか。

さてこれからは相場見通しです。

焦点の一つは、今後の自動車生産の見通しですが、
大幅に落ち込んだ2009年に対し、2010年は中国やインドを
はじめ新興国を中心として徐々に生産は回復に転じる可能性が
高そうです。

さらに環境対策の観点から、特に欧州でプラチナ多消費型の
ディーゼル車の生産が増えそうですし、同じくプラチナの消費が
多いハイブリッド・カーの生産台数が、先進国中心に増えそうな
点も相場にとって強材料といえるでしょう。

一方で生産のほうはどうでしょうか。

2008年は世界の過半を生産する南アフリカで、電力不足や
熟年労働者の不足、鉱山事故の影響で生産が10%強減少しました。

2009年は南アフリカの生産が、多少回復するとの予想もありますが、
依然電力供給や労働者不足の問題は解消していません、南アフリカ
以外の生産国をみても、2008年のロシアが10%程度の生産減に
なるなど、長期的にみてプラチナの生産が回復する見込みは
高くはないように思います。

仮に2010年・・・上記のように需要が回復する一方で、
供給が制限されればどのようなことが起こるでしょうか・・・

プラチナのマーケットは金の1/20程度と小さく、僅かな
需給のバランスで大きく価格が変動する構造は、先ほどご紹介
した通りです。

加えてCFTC(米国の商品先物監督当局)やFSA(英国金融サービス庁)
による商品先物の持ち高規制は、当面原油や農産物に限定される
見通しで、貴金属に消去法的に投機的マネーが入りやすい状況が続く
可能性があります。

このように考えて参りますと、プラチナはここしばらく
金を上回る価格上昇を期待することができると私は思います。

が一方でプラチナはやはり『偏りの金属』。

自動車生産の低迷や、南アフリカの電力事情の改善など
プラチナの需給に好影響を与える予想外の展開があれば、
再び『金/プラチナ逆転相場』もあり得る。

このようなことを、心の片隅におきながらの投資
ということになるのではないでしょうか。


では、今回はこのへんで。
(2009年9月20日)




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