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中国の戦略的スローダウン
みなさんこんにちは。

ここのところ市場で中国経済に関する懸念を時々耳にしますが、
私は決してそのように思いません。

むしろ中国はいま、世界で最も経済運営をうまく行っている
国の一つではないかとすら思います。

中国当局が最も懸念していた住宅価格も、5月度は上昇率がやや低下し、
『国内の主要都市で取引量が減り、価格の伸びが止まっている』、
『今後3ヶ月もすれば、価格はある程度下がるだろう』といった
当局者の発言にみられるように、徐々に落ち着きを取り戻してきました。

昨年来世界の投資家の心配ごとの一つは、常に中国の不動産価格でした。

市場参加者は、中国当局が不動産バブルを懸念し、
金融引き締めを強化するあまり、経済成長を犠牲にしてしまうのでは
ないかという不安を持ち続けてきたわけですね。

確かに中国当局自身の最大の懸念も、不動産バブルにあったことは
間違いないでしょう。

ただ中国は比較的初期の段階で、不動産バブルの芽を摘み取る
ことに成功しつつあるといえそうです。

議会もなく、(先進国的な意味での)中央銀行もない、
一握りの政府中枢によるトップダウンの指示だけで、金融政策から
財政政策、さらには銀行窓口での融資姿勢に至るまで、あらゆる
政策を機動的に動かせる・・・まさにいま中国という国の
強さが、全面に出たかっこうではないでしょうか。

施策を実行に移すスピード感、各施策の質の高さ・・・

いずれにおいても1990年当時の我が国や、数年前のスペインなど
と比べますと、その卓越した手腕に感心させられますが、
今の中国を日米欧的な感覚でみること自体、間違っている
のかもしれません。

確かに中国経済はスローダウンしつつありますが、いわばそれは
中国当局が選択した、『持続可能な速度での経済成長』という
戦略の成果でもあるわけです。

中国当局のこの戦略の正しさに市場が気づくとき・・・

そのときが、中国株がボックス圏を上抜けする
タイミングではないでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2010年7月27日)




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