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欧州問題の先を考える-具体編

先週私はこのメルマガで、欧州危機後のお話し
をさせて頂きました。

今回は、もう少し具体的なお話しをさせて
いただこうと思います。

まず株式についてです。

世界の株価は既に景気後退入りを、相当程度に
織り込んでいるように思います。

日経225ベースのPERが13倍弱(注)、
欧米や新興各国の市場をみても、軒並み10倍割れで、
これは歴史的にみて相当低い水準にあるといえるでしょう。

注)2011年度利益予想ベース

ただ低PER、即買いは危険です。

リーマン・ショックの時もそうでしたが、株価が企業業績の
低下を予見することがあります、つまり次期予想ベースでみたPERの
低さは、その後の株価上昇によって正常化するのではなく、
企業業績の悪化によって正常化する場合があるわけです。

例えば今回の場合に当てはめますと、株価の下落速度を越えて、
企業業績が急速に悪化することにより、PERが正常化するという
具合です。

この場合、しばらく株価の下落は止まりません。

では株価は何をきっかけに反転するのでしょうか。

私はときどき『景気とは一体何なのか・・・』
このようなことを考えてしまいます。

景気は、究極的には人間一人一人の心理の集合体だと
私は思います。

最初は一部の人が、そしてそこから連鎖的に徐々に楽観が広まり
消費が拡大する、その結果一部企業の業績は拡大し、それが連鎖的に
世界的な広がりを見せてゆく。

企業業績の改善は、やがて従業員への分配や雇用に好影響を
あたえ、それがまた消費の拡大へとフィードバックされる・・・

このようにして人間の心理と実体経済は、お互いに共鳴しながら
正の連鎖を繰り返してゆくことになります。

これが景気拡大の正体ではないでしょうか。

これを今回の欧州危機に当てはめますとどうでしょうか。

今世界の経済で起きつつあるのは、上記とは逆の連鎖、
即ち景気後退に向かった負の連鎖といってよいでしょう。

この連鎖を断ち切るためには、最終的にはヒトの心理に
楽観を与える必要があると私は思います。

日本の「2003年危機」の際、当時の小泉首相と竹中大臣が
断行した”りそな国有化”。

あるいはリーマン・ショック後に当時の米国政権や世界各国
が行った、なりふり構わぬ財政出動と金融緩和、さらには
金融機関への資本注入。

これが、ヒトの心理に楽観をもたらすきっかけになりました。

これをいまの欧州に置き換えて考えますと、例えば欧州安定基金
(EFSF)の2兆ユーロ程度への増額、あるいは欧州共同債の発行
のいずれかに相当するのではないでしょうか。

いまの欧州が上記の対策を実行に移すまで、
まだ多少の時間はかかると思いますが、私は時間の問題だと
思います。いずれにしてもイタリアやスペインへの波及を
防ぐために、この程度の”見せ金”を用意しなければ、
ヒトの心理は楽観に振れることはないと思います。

逆にいえば、欧州がこの決断をすればヒトの心理のなかに
楽観が芽生え、やがて心理と実体経済の間で正の連鎖が動きだすに
違いありません。

夜明け前が一番暗いと言いますが、今回の欧州危機に
おける夜明け前は、EFSFの拡大決定直前ということになるのでは
ないでしょうか。

夜明け前に仕込むのであれば、まずもちろん株、とくに
いま売り込まれている新興国株がよいでしょう、新興諸国の
成長性は次ぎの回復期にさらに高まるでしょう。

銅やアルミなどベースメタル、あるいはプラチナや銀など
産業用貴金属も買い。

これに対し金(Gold)の上昇は一服、
ただし金は新興国の住人のニーズが高く、
なおゆるやかな上昇が期待できると見ております、
さらに長い目で見て、いずれくる次ぎの金融不安時に、
有効な分散先となるはずです。

農産物も消費が増えますので悪くはないでしょう、
ただ世界的に天候安定の兆しが見えますので、
ほどほどに。

米国の不動産もおもしろいでしょう、
円高もあり2006年高値の1/3程度で買える物件もザラです、
まだ下げる可能性はありますが、ここから下げても知れており、
地域によってはむしろ反転上昇を狙える可能性があります、
人口が毎年2%ほど増えており、革新性と柔軟性に富んだ米国の力は
まだまだ捨てたものではありません。

国内資産としては現預金の相手方として、現物の不動産もよい
でしょう、こちらは米国と違ってキャピタルゲインは期待で
きませんが、手取りで年5%を越えるインカムゲインは、
長期金利1%弱という水準と比較して、圧倒的な魅力があります。
将来この国発で金融不安が起きたとしても、現物資産として、
『資産のアンカー』の役割を担ってくれるでしょう。

あともちろん景気サイクルの影響を受けない資産、
すなわちマネージド・フューチャーズが不要というわけでは
ありません、予想はえてして外れるもの、たとえ予想が的中
したとしても過信は禁物です、常に景気変動の影響を受けない
金融商品に一定額分散しておくべきでしょう。

以上今回は欧州危機の先のイメージについて、
少しだけ具体的にお話しいたしました。

やや思いつくままに・・・

セミナーではもう少し体系的にお話し
したいと思います。




では、今回はこのへんで。

(2011年10月4日)




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