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欧州危機後の貴金属相場-2

みなさんこんにちは。

前回は金のお話で力尽きてしまいましたので、
今回はプラチナのお話しをさせて頂きます。

プラチナの相場について考える場合、
最低でも、以下2点をおさえておく必要があると
思います。

まずはその希少性です。

過去人類が土のなかから掘り出したプラチナの重量は、
わずか4700トン程度といわれています、4700トンと聞いても
ピンときませんが、この重量は金の採掘総量(142,00トン程度)
比べますと、僅か1/30程度に過ぎません。

次に用途です。

このメルマガで何度かお話ししたように、
プラチナは産業用途の比率が高く、特に自動車の触媒用途は、
プラチナの全用途の5割前後を占めています。

従って自動車の売れ行きは、プラチナ相場を予想するうえで
とても重要な要素になります、ただしやっかいなことに、
自動車が売れるとプラチナ価格が必ず上昇するとは限りません。

確かに以前はそのような構図にあったのですが・・ここ数年
自動車のなかでもガソリン車の触媒は、プラチナより安い
パラジウムで代用されてしまうケースが多くなってしまいました。

既にプラチナの主戦場は、欧州で一般的になったエコ対応の
ディーゼル車に移ってしまっています。

従って今後のプラチナの相場を考える場合、例えば新興諸国の
景気より、欧州の景気が重要になってくるわけです。

このようにプラチナの自動車触媒用途の重要性が小さくなる
一方で、その希少性ゆえ投資や宝飾需要の重要性が、
これからは大きくなってゆくかもしれません。

例えば2009年にプラチナ相場が急落したおり、
世界のプラチナ宝飾市場でちょっとした出来事がありました。

中国のプラチナ宝飾需要が、2008年の約28トンから48トンに
急増したのです。 2009年の世界全体での、プラチナ自動車触媒利用が
約81トンでしたので、この数字の大きさが解ります。

中国一国で、世界中の自動車触媒需要の半分以上を
購入してしまった勘定ですね。

一方で上記で申しましたように、プラチナは大変流通量の
少ない金属です。この48トンという数字は、確かにプラチナとしては
大きな数字なのですが、例えば2010年の中国による金(Gold)
の宝飾需要は300トンほどありました。

中国人にしてみたら、割安感のあるプラチナに、
ほんの少し金からシフトしただけなのかもしれませんね。

ちなみに2009年のプラチナの平均価格は1オンス=1179ドル、
対して金の平均価格は同955ドルでした。

その後、金に対するプラチナの相対価格はさらに下落し、
いまでは金とプラチナの価格が逆転しているのはご存じの
とおりです。

中国人が金との比較感からプラチナを買いやすい環境は、
いまも続いているといってよいでしょう。

さてこれからが本題の今後の予想です。

やはり最も重要なのは世界の自動車需要、
なかでも欧州の自動車需要であることは間違いありません。

欧州が現在の危機を乗り越え、経済が安定回復軌道に
のりますと、プラチナ価格の上昇要因になります。

逆に危機後の回復が緩慢なまま推移し、
特にドイツの自動車生産が回復しなければどでしょう。

この場合プラチナ相場を支える主役は、中国の宝飾需要と
いうことになるのではないでしょうか。

上記のように彼らは金価格との対比でプラチナを買う傾向があり、
今後の金価格の推移は重要な要素になるでしょう。

先週のメルマガでお話ししたように、私は今後も当面金の相場
に対しては強気です。

この場合仮に危機後の欧州景気が緩慢な回復にとどまったとしても、
金の代替宝飾として、プラチナの価格が上昇してゆく可能性は
高いのではないでしょうか。




では、今回はこのへんで。

(2011年10月18日)




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