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QE縮小と新興国経済

みなさんこんにちは。

いよいよ米国のQE縮小のカウントダウンが
始まりしましたね。

巷では次回のFOMC(9/17-18開催)で、
FRBはQE縮小を決めるのではないかとも言われています。

では実際に米国の流動性供給(QE)が縮小されれば、
相場はどのような影響を受けるのでしょうか。

このような予想は、既に今年の前半あたりから話題に
のぼりはじめ、実際に何度か相場を揺るがしました。

例えば今年の6月。

QE縮小⇒世界に供給されるドルの減少(注)⇒
新興国株や新興国通貨の下落

注)正確に申し上げるとQE縮小はドルの増加量の減少ですが、
ここでは解りやすくするために・・

このような連想から新興国の株や通貨が大きく売られました、
さら8月も同様の連想から、新興国資産の下落の再現と
なりました。

まだQEが縮小されたわけではありませんが、
このように市場は先読みし、その結果相場は大きな
揺れに見舞われたわけです。

では実際に米国がQEを縮小すれば、
どのようなことが起きるのでしょうか。

6月や8月同様に、あるいはそれ以上に新興国資産は
大きく売り込まれるのでしょうか・・・

この問題について考える場合、私たちは二つの要素を
あわせて考える必要があると思います。

まずは人間の心理です。

市場参加者に限らず、人間というものは『まだ見ぬもの』、
いいかえれば『身に迫りつつある危機』に対し、過剰に反応する
傾向があるように思います。

一方で逆によく『知ったらおしまい』と言われるように、
悪い材料は事前に相場に織り込まれてしまい、現実に起きて
しまえば相場が反転というケースを目にすることもあります。

今回の相場をみてみますと、過去2回におよぶ
相場の崩れによって、悪い材料は、相当程度織り込まれて
しまった可能性があると思います。

二つ目の要素は新興国経済の実態です。

まず世界全体の現状を冷静に見渡してみるとどうでしょうか。

そもそもQE縮小自体が米国経済の回復の裏返しであり、
その点からも米国が緩やかな回復傾向にあることは明らかです。

さらに我が国に目を転じれば、安倍さんの登場以来経済の
V字回復が鮮明で、少なくとも目先この回復傾向が
続く可能性は高いでしょう。

一方でやや不安感が漂っていた中国ですが、
最近発表される経済指標には、徐々に明るいものが
目立ち始めました。過去のような二けた成長は望めませんが、
一時懸念されたハード・ランディングの可能性は低そうです。

一番心配だった欧州はどうでしょうか。まだまだ全快とまでは
ゆきませんが、4-6月期のユーロ圏は約一年半ぶりにプラス成長です、
決して余談は許しませんが、最悪の事態は既に脱したといって
よいでしょう。

このように世界経済を見渡してみますと、概ねマズマズで、
このような環境において、一人新興国だけが危険な
状態に陥ると考えるには、逆に無理があるように思います。

つまり上記であげた二つ目の要素、すなわち新興諸国の
実体経済については、それほど落ち込むとことはないと
思います。

さらに一つ目の要素である心理的要因についても、
実際にQE縮小の決定によって、むしろ悪材料出尽くしとなり、
参加者の心理に対し、かえってプラスに作用する可能性がある
のではないでしょうか。

以上を踏まえ冷静に考えますと、新興諸国の株と為替に
ついて、ここからさらに売り込まれる可能性は低いと
と私は思います。

では、今回はこのへんで。

(2013年9月10日)



 




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