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中国のタガは外れるか

みなさんこんにちは。

今の中国を、一つの国にまとめている”しかけ”
はいったい何なのか・・・

最近僕は時々考えます。

中国の歴史を振り返りますと、一国で全土を
支配した時代が、むしろまれだったことが解ります。

紀元前の春秋戦国時代はもちろん分裂していましたが、
例えばその後の秦や前漢・後漢、あるいは
宋や明といった統一王朝時代ですら、現在のチベットや
ウイグル、台湾に至る広大な版図はもっていませんでした。

例外として7世紀後半の唐の最盛期、
あるいは13世紀の元朝の最盛期、
さらには18世紀から19世紀にかけての清朝。

現在の中華人民共和国に匹敵する版図をもったのは、
この3つの王朝だけではなかったでしょうか。

要するに中国という国は、地域ごと独自色が強く、
極めて分裂割拠しやすいうという性質をもっている
のではないかと思います、そして中央に強大な政権が興った
ときのみ、一時的に統一される・・・このように理解して
おくべきではないでしょうか。

ではその例外的な統一時代の求心力とは、
いったい何だったのでしょうか。

上記3つの例に関しては、究極的には軍事力、
つまりは暴力だったと考えてよいでしょう。

地上で唯一絶対の存在である皇帝が、
その軍事的優位性によって、万民を統治する構図。
一言でいえば、これが中国統一王朝歴代の統治形態
ではなかったかと思います。

では現在の中国はどうなのでしょうか・・

あれほど多様な地域性を持った広大な領土を、
なかには先ほどのチベットやウイグルなど、言語も民族も宗教も
まったく異なる地域を、彼らはどうやって束ねてきたのか、
あるいは今後どうやって束ね続けようとしているのでしょうか。

究極的には、以下の3つの方法の組み合わせに、
ならざるをえないのではないかと思います。

一つ目は過去の統一王朝と同じく、軍事力です。

例えばチベットやウイグルでは、たびたび独立運動が起きますが、
そのたび当局がとる鎮圧行動は、まさにこれでは
ないかと思います。このような辺境に対するものだけに限らず、
例えばかつての天安門事件、あるいは現在行われている
ネット監視なども、この一つの類形と考えてよいでしょう。

二つ目は経済成長という、まあ一種のアメです。

民衆にこのような誘因を与えることによってはじめて、
政府に対する求心力が維持できているのではないでしょうか、
つまり民衆の豊かになりたいという欲望を利用するわけです。

三つ目は愛国教育によってです。

上記アメとムチに加え、精神的な側面からも民衆を
束ねる道具立てが必要だと考えているはずです、
もちろんこの中には反日教育も含まれていますし、
反米教育も含まれているでしょう。

いまの中国政府にとって、これらいずれもが
極めて重要で、仮にこれらのうち、どれが失われた
としても中国はその国体を維持できず、タガがはずれた桶の
ように、バラバラになってしまうにではないでしょうか、
かつてそうだったように・・

このように考えてまいりますと、今後中国の当局が
とる政策は、おおかた予測可能です。

まずは軍事力の強化です。

ネットに関する監視も、ますます強化されるでしょうし、
リアルな世界での軍事力も、もちろん強化されるでしょう、
軍事力の行使対象は、一義的には台湾を含む、現在の辺境
ですが、東シナ海や南シナ海に、彼らの核心的利益が拡大される
可能性は大いにあるでしょう。

次は経済成長の維持です。

今のところ当局は7.5%程度の成長を目指しているようですが、
当面このラインは死守する必要があるはずです、
僕がむこう数年中国のハード・ランディングがないと考えるのは、
このような理由からです。

ただしあくまで当面です。一党独裁は既得権とセットであり、
そのような国が長期的な成長を維持することは、
まずありえないでしょう。

最後は愛国教育の強化です。

すでに尖閣問題などをきっかけに、たびたび中国で
過激な反日行動が起きていますが、上記のような観点で、
これは決して一時的でも突発的でもないはずです。

現在中国の体制が維持される限り、
私たちをこれからも悩ませることになるでしょう。

以上のようにやや憂うつな見通しではありますが、
今の体制が維持される限り、お隣の私たちとしては、
「大人の対応」をしてゆくしかなさそうです。

 

では今回はこのへんで。

(2013年10月22日)




 




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