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今明らかにおきていること

みなさんこんにちは。

既に世界はマネー過剰状態にありますが、この現象は
一時的なものではなく、構造的なものではないかと
僕は考えています。

そのむかし先進国が成長過程にあったころ、
私たちはみなエアコン、テレビ,冷蔵庫など
耐久消費財とよばれる大型家電を欲しがりました。

このような電化製品は、原料である金属や
プラスティック素材などを大量に消費しましたし、
製品の組み立てラインでは、多くの労働者が働いて
いました。

つまりあの時代は人間が持つ、より便利で豊かな生活を
営みたいという欲求が、大量の物的資源と人的資源を必要と
したわけです。

その結果、需要が増え、世界経済は拡大を続けてきたと
いってよいのではないでしょうか。

もちろん今でも私たちの欲求は尽きません。

ただその内容はかつての高度成長期と比べ、随分と変わって
きているのではないでしょうか。

確かにエアコンやテレビ、冷蔵庫がないと困りますが、
このような電化製品は一度買うとなかなか壊れません。

僕自身も確かに4Dテレビを欲しいとは思いますが、
いまあるヤツが壊れたときに買い換えればいい
という感じです。

車も新しいのが欲しいと思いますが、「14年前に買った
車と比べ、今の車のどこが違うのか?」と考えると
「まっ、このまんまでいいか」となってしまいます。

これは多分僕だけではないと思います。

一方でスマホやスマホのアプリは、どんどんと
楽しいのがでてきていいですね。

僕はいまだにガラケー派ですが、スマホの楽しさや
便利さは横で見ていてよくわかります。

ネットの世界もまた凄いですね、ユーチューブで世界の
楽しい動物の映像をみれますし、いつでもネットで
好きな曲を楽しめます。

アプリやゲームなどは、大規模な設備が必要という類(たぐい)
のものではなく、数十人から多くても数百人程度の開発部隊が
いれば十分です。

スマホのハードの製造には、あいかわらず大きな設備や人員が
必要ですが、冷蔵庫やエアコンのラインに比べれば、
こじんまりとしたものです。

つまり私たちの欲求を満たす商品のための設備や人員は、
かつてのような大規模なものではなくなったといって
よいでしょう。

これを社会全体という広い視点でみると、
『需要の減少』ということになるわけです。

昨年の先進国の需給ギャップは2.8%(注)とされていますが、
これは短期的な現象というよりは、上記のように『需要の減少』
という構造的な要因によって起きているといってよいのでは
ないでしょうか。

注)需要が供給を2.8%下回っている状態、IMF推計による

需要が不足しますと、経済にさまざまな悪影響がでます。

欧州では失業率が高止まりしていますし、低インフレ状態も
深刻です。

米国と日本は強力なQEによって、かろうじてデフレ入りは
回避できたようですが、それでもあいかわらずの低インフレ
状態です。

先進国の需要不足が、いまの低インフレの
元凶の一つであることは間違いないでしょう。

需要不足を放置すれば低インフレ状態や失業率の上昇は
避けられず、経済はスパイラル的な縮小を余儀なくされる
ことになります、安倍さん以前の我が国のように・・・

大胆な財政出動を行えない今、この負のスパイラル入り
を阻止する手段は一つだけ。

それはマネーの大量供給によって、インフレ状態を
人為的に創ること、つまり『QEの断続的実施』
ということになるでしょう。

振り返ってみれば、

2008年以降米国がQEを続けざるを得なかった理由、
我が国が昨年以降QEを続ける理由、
QEを避けてきた欧州が低インフレ、高失業状態にある理由、

大局的にみれば、すべて根っこは一つで、
構造的な需要不足に行きつきます。

そしてこの構造が続く限り、先進国はQEから
足を洗うことはできないのではないでしょうか。

その結果、世界に滞留するマネーの総量は
今後ますます増えてゆくと見ておくべきでは
ないかと思います。

 

では今回はこのへんで。

(2014年8月20日)




 




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