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現物資産としての宝石

みなさんこんにちは。

国内外の不動産、
クラシック・コイン、
貴金属の地金・・・

このメルマガでさまざまな現物資産について
ご紹介してまいりましたが、今回は初めて宝石を
取り上げさせて頂きます。

日本で一般に宝石と言えば、皆さんはまず
ダイヤモンドを連想されると思いますが、
世界的にみると、ダイヤモンドよりむしろ
カラーストーンのほうが、希少性や投資価値に
おいて好まれる傾向にあるといってよいでしょう。

カラーストーンといっても、皆さんはピンと来ないかも
しれませんが、その代表選手は

・ルビー
・エメラルド
・サファイア
・スピネル

などです、これに先ほどのダイヤモンドを加え、
欧米では5大宝石などと呼ばれているわけです。

欧米でも確かにダイヤモンドは宝石として高い地位に
ありますが、その位置づけは上記5大宝石に一つにすぎず、
日本のように圧倒的な位置づけではありません。

ではなぜ欧米でのダイヤモンドの評価は、それほど
高くないのでしょうか。

最大の理由は、有力な供給会社や団体によって、
相場がコントロールされている点ではないかと思います。

このようにコントロールされた相場は、
おそらく本来の需給によって形成される相場からかけ離れており、
欧米の消費者(あるいは投資家)は、その認識のもとに
ダイヤを見ているといってよいでしょう。

ですから欧米において、ダイヤはさほど魅力的な対象、
とくに投資対象にはみえないのかもしれません。

これに対し、上記のカラーストーンは違います。

石によって産地はさまざまですが、ダイヤのように
限られた会社が価格決定権を持っているということはなく、
基本的にはその時々の需給と経済環境によって相場が決まります。

従って希少な石にはそれなりの価格が付きますし、
ありふれた石にはそれに見合った価格がつくわけで、
大変フェアな相場が形成されているといってよいでしょう。

以上は前置きで、ここから本題に入らせていただきます。

今回は初回ですので、まずルビーのお話しから
始めたいと思います。

ルビーは皆さんよくご存じの赤い色をした宝石です。
銀座の宝石店の店頭などで、よく展示されているルビーは、
例えば2カラットで300万円といった目が飛び出る
ような値札がついていたりするのですが、大きいからと
いって良い石というわけではありません。

まず本当の意味での天然ルビーは稀です、店頭で販売され
ている石の大半は「加熱処理」されていますから、
そこを疑ってかからなくてはなりません。

ルビーを評価する際、何と言っても色が重要です、
一般に「ピジョン・ブラッド(ハトの血の色)」と呼ばれる
深い赤色が珍重され、このような石はけた外れの価格で
売買されることになります。

ところが問題はこのような深い赤色を人為的に作ることが
出来るという点です、ルビーに対して長時間にわたり
高温を加えることにより、変色し、深い色合いを
持つようになります。

このような加熱処理は、特に大きな設備を要しないため、
比較的簡単に行うことができるわけです。

例えばモザンビークやタイなど、新興の鉱山で採掘された、
色の淡い、言い換えれば低品質なルビーに、このような処理を
加えることにより、容易にピジョン・ブラッドを再現すること
ができます。

売る側では少しでも高く売るために、加熱処理が常態化
しているといってよいでしょう。

加熱痕は顕微鏡で見れば簡単に識別できますが、
一般の消費者にとって識別は困難です。

そして加熱処理された石と意識せず、その美しさだけに
魅了され、200万円、300万円といった大金を投じる方も
いらっしゃるわけです。

もちろん売る側は、この仕掛けを熟知しています。

従って非加熱と表示されていない石は、
ほぼ100%加熱処理された、いわば「半天然の石」だと
考えておくべきでしょう。

このように加熱処理された石は、本来値が付きづらく、
装飾品としての価値はさておき、投資対象としての価値は
ほとんど期待できません。

大金を投じて買ったとしても、売るときは二束三文
といった、大変寂しいことになるわけです。

現在では高品質の石はほぼ掘り尽くされ、
とくにもっとも美しい石を長らく産出してきた、ミャンマーの
モゴック(地名です)産ルビーを目にすることは稀です。

あってもせいぜいタイ産で、そのタイ産すらすでに希少化し、
いまやアフリカのモザンビーク産ですら、2カラット以上の
非加熱石をみることは稀です。

昨年のモゴック産ルビー(1カラット最上級もの)の価格は
いよいよ50,000ドル(約560万円)が見えてきました、
2000年当時は20,000ドルほどで買えましたので、この間
約2.5倍になったことになります。

以下グラフをご覧いただいておわかりのように、
あのリーマン・ショックの時ですら、相場が下がる
ことはありませんでした。

http://www.preciousgemstones.com/gemstonetrends.html

注)上記は米国の大手宝石商(NGC社)サイトです、
  いくつかのカラーストーンの相場推移が掲載されています。

日本における相場はと言いますと、例えば上記モゴック産
非加熱石であれば、現在は1カラットもので500万円程度、
2カラットで1000万円、3カラットになりますと
まず3000万円を下ることはありません(注)。

注)コインと同じく状態によって価格は大きく変わります、
  上記価格は、モゴック産最上級の石の標準相場です。ただし
  日本に入るモゴック産3カラットは、せいぜい一年に数個という
  感じになってしまいました。

わずか1グラムにも満たない粒が数千万円と聞けば、皆さん驚かれる
と思いますが、銀座の店頭で資産価値の低い石に数百万円も
投じるより、よほど良い投資案件ではないでしょうか。

今後を見渡してみても、

まずは希少性。さらに現物志向の新興諸国(インドや中国、
東南アジア、中東など)における富裕層の急増は、押さえて
おく必要があるでしょう。

さらに言えば日米欧によるマネーの大量供給といった、
現物資産が選好される状況は今後も強まりそうです。

このようなことから、現物資産としての非加熱ルビーの
相場が下がることは考えにくいのではないかと思います。

もし皆さんが現物投資の対象として宝石をご覧になるなら、
ダイヤではなくカラーストーン、なかでも非加熱のルビー
をお選びになることをお勧めしたいと思います。

では今回はこのへんで。

(2014年10月29日)




 




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