ホーム > 連続読みもの(抜粋版) > 2−1.サイクル性資産と非サイクル性資産(その1)
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■サイクル性資産と非サイクル性資産(その1)

世の中の大方の金融資産は、何らかの形で景気サイクルの影響を受ける宿命を持っているといえるでしょう。
例えば株はどうでしょうか、基本的に株価は景気サイクルにシンクロして大きく上下動しますね、
景気後退期には長期の下落トレンドに入り、そしてどこかで底を打つ、
景気が回復に転じれば株価は上昇トレンドに入り、やがてまたどこかで反転する、
株価は景気サイクルにやや先行して動く場合が多いですが、
基本的には、景気が描く大きなサイクルに沿って変動しているといえるでしょう。

あるいは貴金属や原油に代表されるコモディティの価格も同様です、
景気が拡大し需要が増えますとコモディティの需給が締まり価格は上昇しますし、
逆に景気後退期には需要が減って価格は下がります。景気変動の影響を受け、
相場がサイクリックに動くという点では不動産や債券も同じです、
景気が上向けば不動産に対する需要が高まり、不動産価格は上昇しますし、
景気の後退期には不動産価格も下がる傾向にあります。

もちろん株にしてもコモディティや不動産にしても、
投機的なマネーが一時的に相場を動かしてしまう場合はあります、
ただそのようなことがあっても一時的なもので、
本来投機マネーに長期間にわたって相場のサイクルを作ってしまうほどの力はありません、
やはり株やコモディティなどの価格を大きくうねらせる力の源泉は景気変動にあるといえるでしょう。

ITの発達により景気変動は小さくなる、
一時このようにいわれた時期もありましたが、どうやらそれも怪しくなってきましたね、
2007年末以降の景気の急降下をみますと、やはり私達の経済の営みというものは、
この景気変動からの逃れられない宿命にあるようです。

株にしてもコモディティにしても、
先ほど申し上げたように、基本的にこの景気変動にあわせ数年の上下動のサイクルを繰り返すとすれば、
これら金融商品の所有者である我々投資家もまた、
自らの資産を景気変動に合わせて膨らましたり減らしたりを繰り返さざるをえないということになります。
余談になりますが2008年に世界の株式相場は急落しましたね、
特に新興国では高値から僅か1/4ほどになった市場もあります、
もちろんその主な要因はサブプライム・ショックに代表される金融不安だったことは間違いないでしょう、
しかし世界経済は既に2007年後半から下降局面にあったという事実を見逃すべきではないでしょう、そういう意味で、やはり株価は景気サイクルに従って淡々と上下動を繰り返しているとも言えるわけです。

では世の中に景気サイクルに引っ張られない金融商品など存在するのでしょうか・・・

例えば債券。債券の価格は景気拡大期には下落し、景気後退期には逆に上昇する傾向にあります、
従ってサイクルはあるが株やコモディティなどと反対の方向に動きやすいといえるわけです。
あるいはまた債券の価格変動は株やコモディティなどに比べて低く、価格サイクルもそれほど顕著には現れません。

そういう意味で債券は皆さんの資産の収縮を和らげる効果はあるといえるのですが、
残念ながら期待リターンの点で物足りず、一定以上のリターンをお求めになる方にとって、
なかなかポートフォリオの中心に据えにくい商品ではないでしょうか。

要するに債券は、皆さんの資産を景気サイクルから解放させるための有効なパーツではありますが、
反面でそのリターンの低さゆえ、大量に組み入れると資産全体のリターンを下げてしまうといった使いづらさがあるわけです。

ではある程度のリターンを維持しながら、景気のサイクルに引っ張られないような金融商品はないのでしょうか・・・
そういう観点で世界中を見渡して参りますと、ごく僅かではありますが見つけることは可能です。
代表例として例えばトレンド・フォロー型のヘッジファンドや金(Gold)がこれに該当するのではないでしょうか。


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