ホーム > 連続読みもの(抜粋版) > 3−3.新興国株をどう組み入れるか(その1)
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■新興国株をどう組み入れるか(その1)

私は、個人の資産運用にとって最も重要な要素の一つはメリハリだと考えています。これは例えば株に対して債券やコモディティといった教科書的な分散投資のみを意味しているのではありません、さらに一歩進め株・コモディティといった景気サイクルの影響を大きく受ける資産に対し、マネージド・フューチャーズや金のように景気サイクルの影響を受けにくい資産を組み合わせるというように、明らかな質的違いに着目した分散投資のことを申しあげているつもりです。あるいは信用リスクという観点から、証券化された金融商品に対し、不動産など現物の資産を組み合わせるという具合に、全く性格の異なる資産を組み合わせて保有するという考えも、非常に重要なポイントだと考えています。

例えばさきほどマネージド・フューチャーズについて考えてみましたが、この種の金融商品は、景気変動サイクルの影響を受けないという意味では、株やコモディティ、あるいは債券といった伝統的な資産と比べ、かなり異質な投資対象と言えるわけですが、信用リスクという観点でみるとどうでしょうか。数あるヘッジファンドの形態のなかでも、このマネージド・フューチャーズは常に一定の流動性を確保していますので、極めて信用リスクが高いと考えることができます。しかしながら信用リスクが全くないかと言えば決してそうではなく、マネージド・フューチャーズの運用会社が破綻するという事態が起きないとも言い切れません、もちろんマネージド・フューチャーズの場合も他の投資信託と同じく、一般的に投資家から集めた資金は、ファンド運用会社から分離されており、その点で倒産リスクから隔離されているといえるわけですが、万一の場合、投資家の資金は全く何の影響も受けないかと言いますと、決してそうではありません。ファンドが破綻した場合、破産管財人が指名され、ポジションの解消、現金化、さらには持ち分に応じた投資家への資金返還と流れて行くわけですが、当然その間にさまざまな費用が発生するわけです。あるいはポジションの解消がスムーズに行かず、投資家の銀行口座に償還資金が着金するまで一定の時間がかかる可能性もあるでしょう、このように考えれば、投資家は否応なくファンドの破綻リスクを負担していると考えることもできるわけです。

一方で株やコモディティ系のファンドの場合はどうでしょうか。そもそも投資信託という仕組みは、投資家から預かった資産を運用会社は運用するわけですが、先ほど申し上げた通り運用会社は自らの資産と、投資家の投資資金は分別して管理されているわけで、その点においては先ほどのマネージド・フューチャーズと全く同じ仕組みと言えるでしょう。要するに投資家はなにがしかの形で運用会社の破綻リスクを負担しているわけです。

このような状況で、もし私たちが例えばマネージド・フューチャーズと株式投信に分散投資するとどうでしょうか。先ほど申しましたように資産運用において最も重要な要素はメリハリです、マネージド・フューチャーズで運用会社の信用リスクを取らざるを得ないとすれば、その相手方である株式投信は極力信用リスクを避けるべきではないでしょうか。

そういう観点で株式投信を見渡せば、例えばロング・ショート型のヘッジファンドや、アクティブ型のファンドより、流動性や透明性の点で勝るETFの優位性がみえてきます。このような観点から皆さんがもし新興国株をポートフォリオに組み入れるなら、私はETFを活用されることをお勧めしたいと思います、幸い近年は投資家のコスト意識の高まりによって、ネット証券中心に海外のETFを国内で比較的容易に購入できるようになりましたし、投資できる銘柄の数も徐々に増えつつあります。ネット証券ではETFのメインプレーヤーであるBarclayが運用するi Sharesシリーズや、コスト面で優位なVanguardなどのETFが数多くラインアップされていますので、皆さんそれぞれの判断で銘柄をお決めになるとよいでしょう。

とはいっても、例えば初めてETF経由で新興国株への投資をお考えの方にとって、投資先としてどの国を選べばよいのか、あるいはその結果としてどのETF銘柄を選べばよいのか・・・なかなか難しい問題ではないでしょうか。そこで一般的な新興国株ETF購入のポイントを以下いくつか整理させて頂きます。


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