ホーム > 実物資産投資のお話 > イギリスのコインは、まだ買えるのか
最近のイギリスコインの価格動向

ここ4年ほどの間に、イギリスのコインは驚くほどの値上がりを見せています、例えば「銀座コインオークション」の、2011年開催分と2014年開催分の落札結果を比較しますと、以下のようになります。

□2011年開催分の5ギニー

・チャールズ2世(VF)、西暦1682年     ⇒71万円
・ウィリアム&メアリー(VF)、同1692年  ⇒56万円
・ジョージ2世(VF)、同1693年        ⇒48万円
・ジョージ2世(VF+)、同1746年        ⇒52万円
・ジョージ2世(EF)、同1753年        ⇒95万円
・ジョージ2世(VF)、同1753年        ⇒64万円

□2015年開催分の5ギニー

・チャールズ2世(VF)、西暦1682年    ⇒180万円
・アン(クリーンVF)、同1682年         ⇒150万円
・ジョージ2世(AU)、同1729年       ⇒420万円

注) (  )内のアルファベットはコインの状態をしめします、VF⇒EF⇒AUの順で状態は良くなります。

5ギニーは、イギリスで1600年代から1700代にかけて鋳造された大型の金貨(重量は約40グラム)で、当時の最高額面のコインです、サンプルは少ないですが、上記のようにこの4年間の落札価格の上昇には、目をみはるものがあります。特に状態の良いコインの価格上昇は顕著です。当時のオークションカタログを今から読み返してみると、僕などは本当にため息が出てしまいます、コインをよく御存じの方も、きっと同じ思いでしょう。ジョージ2世の5ギニーが50万円で買える時代が、ほんの4年前にあったなんて・・・、4年前に戻って全部落札したい!

4年前などと言いますと、そんな昔の話ではなくホンの少し前で、あのリーマン・ショックの後のことです、2011年当時のオークションカタログを見ますと、ちょっとマニアックになってしまいますが、例えば他にも

・ジョージ4世1826年の5ポンド金貨(EFプルーフ)⇒130万円
・ビクトリア女王(オールド)1893年の5ポンド金貨(AU)⇒34万円
・ビクトリア女王(ジュビリー)1887年の5ポンド金貨(UNC)⇒19万円

なんてのもあります。上記の5ギニー同様で、やはりこの4年で2〜3倍がた値上がりしているといってよいでしょう。この4年にかぎりません、例えば先ほどの5ギニーは、2002年~2012年の10年間で約10倍の値上がりです。ただしイギリスのコインなら何でも値上がりしているわけではありません、強い上昇は17世紀以降の大型の金貨と銀貨、しかも状態の良いコインにみられます。


最近のイギリスコインの価格動向

準未使用クラスの5ギニー金貨が500万円という今の状態に、僕は特に違和感を持ちません、むしろ残存枚数の少ない希少な金貨に人気が集まるのは、当然の様な気がいたします。

ただし今の日本のコイン市場を見ますと、イギリスのコインはやや過熱感があるようにも思います。過去4年間と同じ速度で相場が上昇するとすれば、例えば5ギニー金貨のAUクラスが、4年後の2019年には、1000万円ほどで売買されることになるわけですが、ちょっとそれはないでしょう。希少性や発行国の富裕度などという観点で、ヨーロッパ諸国のコイン相場と比較して推測しますと、まあ4年後でも500~600万程度が妥当な水準ではないかと思うわけです、つまりイギリスの5ギニーコインの相場は、しばらく停滞期に入ると見ております。過去急騰したロシアのコインや中国コインのその後をみても、急騰のあとしばらく停滞期に入る傾向がみられ、おそらくイギリスでも、目先同様の現象が起きるのではないでしょうか。

それでもイギリスコインのファンの方で、どうしても欲しいとおっしゃるなら、5ギニーと同時代の銀貨、つまり1600年代から1700年代にかけてのクラウンがよいでしょう、しかも飛び切り状態の良いものをお勧めいたします。決して美品(VF)クラスではだめですよ。未使用(UNC)クラスになりますと、例えば1740年代のジョージ2世のクラウンが60万円〜70万円程度と既に高額ではありますが、今から300年前の銀貨が未使用状態にあるということは、本当にまれなことなのです、銀貨は金貨と違って日常よく使われてきましたので。僕もまだ持っていませんが、未使用クラスのこの時代のクラウンがみつかれば、少々高くても手に入れたいと思っています。イギリス・コインが停滞しても、このあたりはまだ評価不足だと思います。

イギリス以外のヨーロッパに目を転じると、まだまだ明らかに評価不足の国がたくさんあります、例えばお隣のフランスです、イギリスにおける5ギニー時代、南米やアフリカに植民地を持っていなかったからでしょうか、フランス文化が絶頂を極めたルイ14世の統治下ですら、フランスは5ギニーに匹敵する大型金貨を持てませんでした。最大の金貨は2ルイ・ドール(ルイ王朝の金貨)で重さは16グラムほどに過ぎません。そのようなこともありフランス中世の金貨は、いまいち面白くないのですが、同時代すなわちルイ13世から15世統治下で発行された大型の銀貨(エキュ)は、バラエティ豊かで十分に楽しめます。なにしろルイ13世の在位は1601年〜1643年の43年間、次のルイ14世(太陽王)のそれは1643年〜1715年で何と72年間、その曾孫のルイ15世は1715年〜1774年まで60年間も王位にありました。3人合わせて174年で、おそらくこれは世界記録ではないかと思います。それぞれ治世が長かったため、コインに描かれた肖像も幼年期、青年期、壮年期、老年期と変遷があり、これまたなかなか味わい深いものです。幸いにして今のところ(4年前のイギリスコインのように)エキュはさほど人気は高くなく、未使用クラスでもルイ14世、15世なら30万円ほどで立派なコインが入手できます(繰り返しになりますが、300年も前のコインが未使用とは驚きです、希少性抜群!)。人気があまりないためか、オークションでも店頭でもさほど競合なく買えてしまいます、僕としては4年後後悔しないために、このあたりは重点的に仕込んでおきたいと思います。おそらく皆さんにとっても良い投資になると思うのですが・・・






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