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18世紀スペイン金貨のお話し

今回は18世紀のスペイン金貨のお話をいたしましょう。

まず以下のコインをご覧ください、向かって左が表で、肖像は当時のスペイン王フェリペ5世(在位1700年-1746年)です、右の写真は裏側で、こちらはスペイン王国の紋章です、この金貨の重量は約27グラムで当時のヨーロッパの標準的な大型金貨です。

スペイン、1729年鋳造、フェリペ5世、8エスクード金貨(EF)

スペインの国力の最盛期は、よくフェリペ2世時代などと言われますが、当時スペインは中南米の植民地(メキシコ、ペルー、チリ、ボリビアなど)に加え、アジアではフィリピン、そしてヨーロッパではオランダやイタリアの一部などを保有し、まさに太陽の沈まない世界一の強国だったといえるでしょう。国富という点でもおそらくは世界一だった可能性が高く、1520年代から征服を進めた中南米では、先住民が保有する大量の金や銀、およびそれら鉱山を略奪しています。そのような経緯から考えますと、当時フェリペ2世の時代(在位1556年-1598年)には、略奪した金や銀で大量のコインを鋳造したのではないかと思うのですが・・・実は当時のスペインには見るべきコインはありません。フェリペ2世時代の金貨としては、いわゆるCobタイプと呼ばれる、大雑把でテキトーに切ったようなコインがみられる程度で、例えば当時の神聖ローマ帝国のダカットのような、精巧な金貨はみられません。おそらく当時のスペインでは、貿易決済用に金貨や銀貨を用いるという習慣はなく、金や銀の延べ棒で決済を行ったのではないかと僕は思います。

スペインがヨーロッパ規格の、丸くて王様の肖像が描かれた金貨を作り始めたのは、ようやく18世紀に入ってからで、神聖ローマ帝国に対して200年遅れです。実は先ほど写真でご紹介した金貨はスペイン初の肖像金貨で、その意味で同国史に残る金貨といってよいでしょう。

さてここからが今回のお話しの本番です。私はこのコインはもっと評価されるべきだと、以前から考えています。例えば同時代のイギリスに5ギニーと呼ばれたコイン群があります。ギニーというのは当時イギリスの金貨の単位で、語源はアフリカのギニアです。当時のギニアは豊富に金が採れ、その金で作られたので“ギニー”なのだそうです。当時のサハラ以南のアフリカには、ヨーロッパ的な概念の国家はなく、いわばヨーロッパ諸国によって資源の草刈り場になっていたのでしょう。例えば上記フェリペ2世と同時代のイギリスに、アンという女王(在位1702年-1714年)がいましたが、アン女王の肖像が描かれた5ギニーの相場は、現在EF(極美品)クラスで400万円から500万円ほどいたします。

イギリス、アン女王時の次の王様ジョージ2世の5ギニー金貨

ただしイギリスの5ギニーがずっと前からこれほど高値を付けていたわけではありません、僕の感覚でいえば、価格の急騰はほんのここ5年ほどの間です、念のため過去のオークション・カタログをペラペラめくりますと、平成23年に銀座コインが主催したオークションで、ジョージ2世(在位1727年-1760年)の5ギニー(EFクラス)が95万円で落札されています、今ならゆうに400万円はするでしょう。イギリスコインの上昇はどうやら止まったようですが、経験から申し上げますとコインの相場は循環的に上がります。

今後は先行したイギリスのコインを追いかける形で、その周辺国のコイン相場が上がる可能性が高いと思います。その筆頭に挙げられるのが、今回ご紹介したフェリペ5世の8エスクード金貨です。この金貨は結構珍しいのですよ。この金貨のあとの時代・・カルロス3世、4世時代に作られた金貨は数多く残っているのですが、フェリペ5世はそうそう目にしません、コイン商の店頭でも年に数枚ほどしか見ませんし、国内オークションでも年2〜3枚といったところでしょう。残存枚数という点でいえば、イギリスの同時代の5ギニーより、むしろ少ない印象すら受けます。

ご参考までに現在の相場は状態の良いEFクラスでも100万円ほどで購入可能です、そうそう手に入るコインではありませんが、もし皆さんが目にされるようなことがあれば、購入して損はないでしょう。

 

 

 

 

 






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