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思いつくことなど
「二極化」・・・
この言葉は、特に新聞や雑誌・テレビなどで評論家やエコノミストが好んで
使う言葉です。

意味としては、「物事の勢力が大きく二つに分化する」ということです。

この言葉を使うと、ジャーナリストはジャーナリストっぽく聞こえ、
エコノミストはエコノミストらしく見えるためでしょうか、皆さんやたら
使いますよね。

でも、よ〜く考えてみてください。

本当に「二極化」は起こっているのでしょうか?
・消費の二極化
・所得の二極化
・価格の二極化




いかがですか?

実は、自然界(人間の営みを含んで)では、この二極化という現象は、めった
やたらと起こるものではありません。

例えば、日本人の平均身長は?

といえば、男性という極と、女性という極の二極しかなく、必然的に「二極化」
が起こります。

また、一時の東西冷戦の時代は、米国という国、ソ連という国の二大強国が
突出していたため、二極化という珍しい現象が起こりました。

これらの例は、ごく稀に起こる現象と考えてもいいでしょう。

特に統計学を学ばれた方なら、「二極化」がいかに特異な現象なのか、おわかり
だと思います。

にもかかわらず、この「二極化」という言葉は世の中に氾濫していますよね。

それも上記のように本来は、物事を分析することを生業としている人が
使う場合が多いようです。

物事の分析を生業としている人が、「二極化」という言葉を用いた時点で、
僕などはその人の分析能力全体に疑念を持ってしまいます。

なぜならば、これは単に言葉の使い間違いやエエカッコシイという次元の話
ではなく、「二極化」と見るか「多極化」あるいは「バラツキの広がり」
と見るかは、その人の洞察力の根幹をなす、重要な部分につながっている
ような気がするからです。

また、またこれを「二極化」と見るか「多極化」と見るかでは、対応に
雲泥の差が出てくるからでもあります。

ウラを返せば、「二極化」という言葉の使い方で、その評論家・学者などの
"質"が知れるというわけです。

少し小姑っぽいお話ですみませんでした。
(2005年6月7日)



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