思いつくことなど
世の中には、微妙に価格形成に歪みが生じているモノがあります。

例えば、記念金貨にもその歪みを見つけることが出来ます。

【1】平成11年に発行された「天皇陛下在位10年記念」(20万枚発行)
の1万円金貨は現在、市場で5万円程度の値が付きますが、
金の含有量が20グラムとなっています。

【2】一方で、平成2年に発行された「天皇陛下御即位記念」(200万枚発行)
の10万円金貨は現在12万円程度の値がついており、こちらの金の含有量
は30グラムです。

現在の金の相場はグラムあたり2000円程度ですので、【1】の金としての
価値は40,000円ほど、これに対し【2】は60,000円程度ということに
なります。

皆さんはこの数字をご覧になって、何かお感じになりますか?

希少性、金としての絶対的な価値、この2つの観点でみて【1】に
割安感がありますよね。

さらに申し上げますと、1トロイ・オンスのメープルリーフ金貨は
約31グラムの金を含んでおりまして、現在の取引値は
買い72,000円程度、売り67,000円程度となっています。

この金貨は記念金貨ではなく(上記のような記念金貨と違い)プレミアム
はのっかっていません。

仮に金の含有量のみに着目し、プレミアムなしのメープルリーフ金貨
に当ては考えると【1】の買い値は46,500円となってしまいます。

コレに対し【1】の取引値は(買い値ベースで)50,000円程度ですので、
この記念金貨にはほとんどプレミアムが乗せられておらず、言い換えれば
純粋に金のみの価値で取り引きが行われている事になります。

これなども、価格形成の歪みといえるのではないでしょうか。

特に今後金の価格が上昇した場合、この歪みはどこかで調整されざるを
得ないのではないでしょうか。

この歪みは、それぞれの金貨に表示されている額面(10,000円と100,000円)
から生じていると思われますが、実際この金貨で買い物をする人がいるとは
思えません。

そういう意味では金貨の額面などは形式的なものに過ぎず、資産的な
意味合いは持ちません。

もう少し市場性の高い商品なら、海外のヘッジファンドが10,000円買い、
100,000円売りを仕掛けるかもしれませんね。
(2005年12月13日)



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