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商品相場の値動きをポートフォリオに組み込むには

世界的なお金の流れはいつも注意を持って見守っておく必要があります。そういう観点でみると、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の台頭は十分注視する必要があります。これらの国々は資源国であると同時に多くの人口をかかえる資源消費大国でもあります。
これらの国々が現在いわれているように世界の先進国の仲間入りを果たした場合、果たして現在の消費の力学はどのようにバランスするのでしょうか?

例えば、人々の食生活について考えてみましょう。農林水産省のデータによると、畜産物1キログラムの生産に必要な飼料(穀物)の量は、鶏(約4キログラム)、豚肉(約7キログラム)、牛肉(約11キログラム)となっています。一方で、人間という生き物は生活水準が上がると、徐々に食物に対する嗜好が穀物→鶏→豚肉→牛肉と進む傾向にあるようです。つまり、ある国の生活水準が上がると、その国の国民を養うために必要な飼料(穀物)は加速度的に増えてゆくことを意味しています。これは大きな人口をかかえる国々の生活水準が上がると、彼らを養うために穀物の需要が急激に上昇することを意味しています。

では、エネルギーの消費という面ではどうでしょうか?これについても穀物と似たような傾向が見られます。すなわち、生活水準の向上に伴なって、自動車や冷暖房機器の普及率が高まり、結果としてエネルギー消費が高まると予想できます。世界の原油消費量は2000年時点では75万バレル/日であったものが、2020年時点には110万バレル/日になるという推測(BP統計より)もあります。
さらには、自動車・携帯電話・電子機器の普及により金属に対する消費も飛躍的に高まる事も予想されます。

以上のことを総合すると、BRICs諸国の人口増加や生活水準の向上に伴ない、今後数年はエネルギー・穀物・金属などの商品相場は上昇基調を続ける可能性が高いと考えておいてよいのではないでしょうか。2005年3月現在、CRB先物指数(注)は既に300ドルを突破し、24年ぶりの高値をつけています。
最近の急騰は、必ずしも実需に基づいたものではなく、将来の上昇トレンドを先取りしたヘッジファンドなど、投機マネーが流れ込んでいるようにも思いますが、長期的なものの見方に立った場合でも、商品相場は上昇傾向にあると考えてもよいのではないでしょうか。

注) CRB先物指数:
国際商品の値動きを示す先物指数。原油・天然ガスなどのエネルギー、金・プラチナなどの貴金属、トウモロコシ・大豆などの穀物など17品目の商品価格を指数化したもので、米国のコモデティ・リサーチ・ビューロー社が算出している。
では、私たち個人投資家がこれらの商品の値動きをポートフォリオに組み込むためには、どのような方法があるのでしょうか。
いくつか方法はありますが、比較的安全にしかも手数を掛けずに行う方法として下記の2つの方法をご紹介しましょう。

●1.商品ファンドへの投資
●2.商品相場に連動した投資信託への投資



●1. 商品ファンドについて
商品ファンドは、投資家から集めた小口の資金をまとめて主に商品相場に投資する事により運用を行う手法で、運用収益は出資比率に応じて各投資家に分配される仕組みです。
商品ファンドと聞けば、なにやら危険なイメージがありますが、なにも商品先物相場へ直接投資ばかりするわけではありません。各ファンドによって運用手法は千差万別ですが、基本的には商品先物相場への直接投資と比べ、リスクを抑えた運用を行っています。特に裁定取引という手法を用いたファンドの場合、値動きも小さく、リスクは限定的です。

なかにはトレンド・フォロー型の運用手法を採るファンドもあります、この手法は今後の商品相場の値動きを予想し、大きくポジションを傾けることにより高い収益率を目指す商品です。ファンドマネージャーの手腕による部分が大きいので、大きな収益を狙える半面リスクも大きくなります。
商品ファンドの運用手法は主に上記の「裁定取引型」「トレンドフォロー型」に分類する事ができます。それぞれの長所・短所をよく理解したうえで、自分のリスク許容度にあったファンドを選択するようにしてください。

ご参考
裁定取引型のファンド
トレンド・フォロー型のファンド
その他の低リスクファンド
クラッスラ・ファンド(岡藤商事)
龍神(カネツ商事)
オプション・マスター(日本ユニコム)

これら商品ファンドは、確かに投資対象は商品(コモディティ)が中心ですが、CRB先物指数のように商品相場に連動して値動きをするわけではありません。
これら商品ファンドを組み込む事により、あなたの資産の値動きを安定させる効果は十分にありますが、今後の商品相場の上昇波動をとらえてあなたの資産を増やすという意味では必ずしも適切な商品とは言えません。そういう意味では下記の「商品相場に連動した投信」の方がより相応しいかもしれまん。

●2.商品相場に連動した投資信託
この手のファンドはまだまだ一般的なものでがありませんが、商品相場の上昇を視野に入れ、今後は設定本数も増えて行きそうです。現在既に設定されているファンドとしては「ダイワ・コモデティインデックス・ファンド」(大和証券)を挙げることができます。このファンドは「ジム・ロジャーズ世界探検期」という愛称を持っています。ご承知の通り、ジム・ロジャーズといえば有名な「クォンタムファンド」というヘッジファンドの創設者、最近では世界各地の投資環境を冒険しながら体感するというカリスマ投資家です。このファンドは同氏が組成するRICI(ロジャーズ国際コモデティ指数)に連動した値動きを目指す商品です。カリスマ投資家のジム・ロジャーズさんの相場観、今後の商品相場の上昇を取り込みたい人にはお勧めのファンドです。

商品(コモディティ)への直接投資は高度な専門知識と経験が要求されます。一方で商品相場の上昇波動に乗って資産を増やしてみたいと考える人もこれからは増えてゆくでしょう。そのような方にとっては上記のような金融商品をアセットアロケーションに組み入れることは有効だと思います。



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