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400年前のカケラ

「どうして前の二人は失敗したのか」

ここのところ『その男』、そのことばかり考えていた・・・・

いずれも並みはずれた能力を持ち、二人が二人ともその人生の最後の段階
では、天下を手中に収めることに成功したかにみえた。

が、次に現れた成功者によって権力を奪われ、やがては滅んで行った。

そもそも、人間一代で首尾よく天下を制することができたとしても、余程うまく
子の代に"能力"が遺伝しない限り、必ず、より優秀な次の"能力"によって、
権力は簒奪され、やがては滅ばざるを得ないのではないか・・・

自分の息子含め、その子孫に無能な者がでた(いや必ず出るに違いない)
として、彼らにこの権力を受け渡して行く仕組みをどうすれば作れるのか・・・・

おそらく『その男』は人生の最終段階で、このことばかりを考えて
いたのではないだろうか。

彼が最終的に得た結論は、政治は徳川家直臣、数名の閣僚による合議制
を採り、徳川の姓を名乗る自分の子孫には政治に参加させないこと。

一方で国民には、身分の固定化を強い、あらゆる新規なアイデアの発揚の場
を取り上げてしまう。

この2点だったのではないだろうか。

そして、『この男』が考えたことは江戸時代300年間を通し、我々日本人の
第二の天性を形作ることとなった・・・そして我々日本人は、その際立った
美質であった"創意工夫""モノ創りの能力"を、心の奥底深く封印
していった。

現代人である我々が、組織なのかで何らかの目新しいことを行おうとした場合、
今でもどこか頭の上に重い石を載せられたような、あの何ともいえぬ圧迫感を
覚えるのは、やはり『この男』・・・徳川家康の400年前の決断の一片を、
私たちがその潜在意識のどこかに受け継いでいるからなのだろうか・・・

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