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マネーの世界の出来事
注)この記事は8/21に書きました

皆さん、こんにちは。

物事には必ず本質というものがあります。
一見いろいろな事情が重なり合って、複雑に見えるようなことでも、
一つ一つ丁寧に解きほぐしてあげると、徐々に物事の本質という
ものは見えてくるものです。

今回は、ここ数日市場で起こっている出来事に対し私なりの
解釈をお伝えすると同時に、これから私達はどのようにこの問題に
向き合ってゆけばいいのか、そのようなお話ができればと思います。

物事の本質・・・ここの見極めは重要だと思います。

今回の相場のクラッシュ、米国の低格付けの住宅ローン
(サブプライムローン)問題が震源地だと言われていますが、
それだけで片付けてしまえば本質は見えてきません。

なぜサブプライムローン問題が世界中の金融市場を揺さぶったのか、
ここをしっかりと見ておく必要があるのではないでしょうか。

米国のサブプライムローンは(古き良き日本の住専時代の
不良債権と違い)証券化され、束ねられ、あるいは切り刻まれ、
形を変え、さまざまな金融商品に組み込まれてしまっています。

どこに問題の正体があるのか、一見とらえようもなく・・・まるで
闇夜に地雷原を歩くような恐ろしさがあったわけですね、それが
市場の不安を増幅してゆきました、人間の心理は目に見えないもの
に過剰に反応するように出来ているようです。

そもそもサブプライムローンの借り手は米国の低所得者層です、
通常なら収入が少なく、住宅など購入できないような人たちに、
例えば当初支払額を低く設定し(その昔の日本の住宅ローンと似ています)、
多額の貸付を銀行は行いました。

ローンの貸し手は過剰な流動性を手にし、その運用先を見つけなくては
なりませんでしたし、ローンの借り手は、毎月のように値札が書き換えられる
住宅の売り出し価格を見ながら、自分も相場に参加して一稼ぎしようと
考える・・・お互い、多少の道義的な問題は感じられなくはないですが、
金融の世界で問題になるのは道義や善意ではなく、経済的な合理性です。

ローンの借り手と貸し手、あるいはさらにそのローンを証券化して
売買する参加者達、彼らがリスクとリターンをしっかりと査定し、それに
みあった価格で取引を行っている限り、なんら問題になるようなことでは
ありません。

仮に破綻や不良債権化するリスクが大きいのであれば、市場は
それに見合ったリターンを要求しますし、それを前提にした価格
で売買が成立するはずです。

このように正常な価格設定が行われている市場では、たとえ
一部の債権が不良化したとしても(それがどういう形で
金融商品に組み込まれていようが)市場そのものが不安に
さらされる様なことは起こりようがないはずです。

にもかかわらず、今回のような不安の連鎖や金融機関の突然死に
市場が怯えるのは、一言でいってしまえば、このような
住宅ローンが、債務不履行になる可能性の査定が甘かったということ、
さらにいえばそのリスクに見合うリターンが取引価格のなかに
織り込まれていなかったこと・・・これが事の本質ではないでしょうか。

7月にはいってようやくムーディーズやS&Pが、サブプライムローン
が組み込まれた債券の一斉格下げに動きましたが、そもそも
彼らは格付けのプロフェッショナル、格下げがここまで遅れ、市場の
ショックを増幅した責任の一端は免れないのではないでしょうか。

それはさておき、このように考えを進めてまいりますと、今起こって
いる市場の動揺は、あくまで資産に対する破綻リスクをどう
査定するか、あるいはそれにみあったリターンをどのように
設定するかという、いわば純粋マネーの世界の出来事という気が致します。

今後、正しくリスクが認識されれば、必ずリスクの買い手は現れる
ことでしょう。

ただ、リスクにみあった値付けが市場で定着するまで、多少の時間がかかる
でしょうし、その間『想定される事態』により、株式市場は動揺を繰り返す
ことになるでしょう、でも、この問題が実体経済にどの程度の影響を及ぼすか、
そこは冷静に見極める必要があるのではないでしょうか。

確かに米国では住宅価格の下落から個人消費の抑制という、いわば
実体経済面への負の波及が考えられますが、例えばそれが
新興国や我が国の経済にどれだけ悪影響を及ぼすのかと考えますと、
その影響は懸念するほど大きくはない、今の段階ではこのように考えて
おいて差しつかえないのではないでしょうか。

幸い米国の政策金利は5.25%、まだ十分下げしろがあります。





では 今回はこのへんで。





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