ホーム > T's資産運用コラム > 現実化するインフレ-2
現実化するインフレ-2
皆さん、こんにちは。

今回はお約束どおり「賃金の上昇を伴わないインフレが
私達の生活に及ぼす影響」について考えてみたいと思います。

まず最初に下記のような条件で、ある家庭の収支シミュレーション
を一つ行ってみたいと思います。

●シミュレーション1:インフレ無し、賃金上昇なし

・インフレ無し、資産運用行わず
・世帯主45歳、夫婦と子供2人の世帯、なお奥様は2才年下
・持ち家、ローン無し
・手取り世帯年収700万円
・世帯主60歳まで年平均支出600万円、それ以降は400万円
・世帯主65歳以降、年金需給額は年250万円で一定
・現在の世帯資産残高は1000万円


この場合、この世帯(以下「Aさん世帯」)の資産残高を計算してみますと

・31年後(Aさん76才時点で)+1900万円
・43年後(Aさんの奥様86才時点で)+400万円

注)上記76才、86才はそれぞれ男女平均寿命


となり、Aさんと奥様は一生お金には困らないという結果になります。

では次に、年率2%のインフレが定着するなかで、賃金が増えなければ
どうなるかを見てみましょう、なお、他の条件はシミュレーション1
と全く同じです。

●シミュレーション2:インフレ率2%、賃金上昇なし

今回のシミュレーションでは

・31年後(Aさん76才時点で)-3519万円
・43年後(Aさんの奥様86才時点で)-10629万円


となりました、これでは平均寿命に達する前に衰弱死してしまうかも
しれませんね・・・このシミュレーションでAさん世帯の資産が底を
つくのは今から25年後、Aさん69才の時点です。

インフレの無い世界では、Aさん76才時点で+1900万円あった資産が、
インフレ2%の世界では-3519万円です、たかだか2%であっても、収入の
増えないインフレがいかにやっかいな問題か、その一端をご理解
頂けたのではないでしょうか。

では仮に上記のような「賃金上昇や年金増額を伴わないインフレ状態」
が本当に続いてしまった場合、私達はどのように対処してゆけばよいの
でしょうか。

まず最初に申し上げますと、キャッシュフローを改善する方法は下記
の3つしかありません。

1.支出を減らす
2.収入を増やす
3.資産を運用する


1はさておき、2は避けては通れないのではないでしょうか。

昨今定年後の寿命が長くなってきていますので、再就職等により収入を
増やすことを検討する必要があります、仮に60歳以降5年間再就労され
ますと、2000万円程度キャッシュフローの改善が期待でき、その効果は
大です。

もちろん3の資産運用も検討の余地はあるでしょう。

仮にシミュレーション2と全く同じ条件で、45才の現時点から、年率5%
程度でお手持ちの資産を増やしてゆけばどうなるでしょう。

結論を申し上げますと、この場合、Aさん74才時点までは資産残高を
プラスに維持可能ということになります。

さらに年率7%で資産運用すればAさん83才時点まで資産残高をプラス
維持可能、さらにもう1%上乗せし年率8%で運用できれば、Aさん95才
時点までプラス維持となります・・・資産運用効果は加速度的に
現れますので、このあたりの1%は本当に大きいですね。

以上のことからAさん世帯では年率8%程度の運用を目標にすることに
より、2%程度のインフレに対応可能だということが解ります。また
時々インフレ率が2%なら資産運用も年率2%で間に合うとお考えの
方もいらっしゃいますが、その考えが間違っていることもご理解頂け
たのではないでしょうか。

ところが全ての世帯についてこの8%が当てはまるかといいますと、
もちろんそうではありません、実際には家族構成、年齢、現時点の
資産残高、年金需給予想額などなど・・さまざまな条件によって結果は
異なってきます。

さらに申し上げれば、仮にそのような前提条件が同じだったとしても、
その方が希望される将来の生活の質によっても千差万別、なかなか
マネー雑誌に書かれているように簡単には行きません。

ただ上記のシミュレーションから「賃金の上昇を伴わないインフレ」が
どのように私達の生活に影響を及ぼすのか、その一端は感じとって頂け
たのではないでしょうか。


では、今回はこのへんで。
(2008年2月26日)




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。

totop