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この美しい金属
皆さん、こんにちは。

・・・この美しい色をした金属。

永遠に色褪せないから、私達はこの金属が持つ色合いを美しいと
感じるのでしょうか・・・

それとも私達が営んできた長い歴史の中で、私達はその希少性の高さゆえ、
この金属の色を徐々に美しいと感じるようになってきたのでしょうか。

いずれにしても、この金属の美しさに対する思いは万国共通の
ようで、国がある程度豊かになってきますと、その国に住む人々は
金への投資を膨らませるようです。

ところがどういうわけか、その魅力に逆らって、いま金を
大量に手放しつつある国があります。

私の目の前に『日経ビジネス2008.7.21号』があるのですが、記事に拠れば

・日本
・米国
・欧州
・インド
・中国
・トルコ
・サウジアラビア
・ベトナム


のうち、唯一日本は金の売却にまわっており、2000年時点の
投資需要を100とした場合の2007年のそれは、ゼロをはるかに超えて、
マイナス85.3となっております。

私はこのデータをみるのは初めてでしたので、正直ちょっと驚いて
しまいました、金への投資需要がゼロになったのは2005年で、それ以降は
投資目的で保有していた金を、逆に売却しているということになります。

一方で我が国以外ではどのような状況になっているかといいますと、
やはり最も急速に購入を増やしている国は中国で、2000年を100とした場合、
2007年の投資需要は370.9、続いてサウジ、インド、トルコと続き、いずれも
2007年の投資需要は200を超えています、その後は米国、ベトナム、欧州
という順序。

確かに銀座の田中貴金属の店頭などをのぞきますと、金価格が急騰した
翌日には決まって金売却の客でごった返しますので、体感的に
ある程度解っていましたが、改めてこのように数値でみると驚いて
しまします。

世界中で突出して金の売りに回っている国民、それが日本人という
わけですね。

では日本人が世界で唯一金の価格下落を予見し、金売りという投資行動
を取っているのでしょうか・・・

昔からよく『金は強い国に流れ込む』というように言われますが、
今おきている現象は、確かにそういった一面があるように思います。

恐らく田中貴金属の店頭で、金を売っている人たちは、
日本の国力などといった、大げさなことを考えているわけでは
ないでしょうが、それでも一人ひとりの意識には、『もう十分、
ここいらで利益を確定しておこう』といった保守的な気分が
あるに違いありません、そのような保守的な気分が社会に充満し、
結果としていろいろなところで、日本人が本来持っている美質を阻害し、
国としての成長性に何がしかの悪影響を及ぼしている、やや大げさかも
しれませんが、そんな気がしなくもありません。

一方でサウジの市場で金のネックレスを買っている人はどうでしょうか、
『きっと自分達はこれからもっとリッチになる、通貨への信頼も
ままならないし、インフレだってある、株もいいけど株ばかりじゃね、
その点金は長い目で見ればきっと値上がりするはず、資産の一部は
やっぱり金』こんなノリで金を買ってるに違いありません。

そのように考えますと『金は強い国に流れ込む』という表現は
決して間違ってはいないように思いますし、我が国から金が流出して
いるという事実は、この国の将来の何事かを示唆しているように思えて
なりません。

では、今回はこのへんで。
(2008年7月23日)




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