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マネッジド・フューチャーズの本質
みなさんこんにちは。

今回は、相場がもつトレンドと人間の心理について
少し考えてみたいと思います。

あらゆる相場には波があります、例えば原油相場。

いま私の目の前に、2006年以降のニューヨーク原油先物
のチャートがありますが、それをみますと2006年初から2008年7月
にかけては多少の上下動はあるものの、ほぼ一貫してきれいに
右肩上がりになっています。

このようなとき市場の参加者はいったい何を考えるでしょうか。

これだけ長期にわたって相場が上昇し続けますと、相場の上昇を
肯定するデータがいろいろ出てくるものです。

そもそもコモディティには、例えば株の世界で一般的によく
使われるPERやPBRといった指標は存在しませんので、市場参加者
にとって現在の相場が高すぎるのか安すぎるのか、
あるいは妥当なのか、それらを客観的に評価するのは
なかなか難しい作業ということになるでしょう。

このような状態で投資家は、買うための理屈を見つけ出しては
さらに投資を行い、相場は一方向に流れやすい展開となります。

特に2003年以降は新興国の成長に世界の注目が集まり、
原油を始めとしたコモディティの需要拡大は誰の目にも
あきらかでした。

この間多くの投資家は、その時々の相場に対し多少の恐怖心を
抱きながらも、その相場から降りる勇気を持てない・・・

当時の市場参加者の心理は概ねそのようなものであったはずです。

市場はそのような参加者の欲望によって徐々に、あるいは急速に
上昇を続けながらも、一方で相場の上昇は参加者の恐怖心のレベル
を確実に高めてゆきます。

そして市場にわだかまった恐怖心の総和が、
参加者の欲望の総量を上回ったところが相場の臨界点です。

相場のトレンドがひっくり返るきっかけは、多くの場合、外部
からの何らかのショックによってもたらされますが、それは
必ずしも大きなニュースである必要はなく、市場参加者の
ほんの一部の恐怖心をくすぐるだけで十分です・・すでに市場
には十分な恐怖心が蓄積されているわけですから。

このようにして反転しはじめた市場では、欲望に
代わって恐怖心が相場を動かすことになります、上昇の角度が
鋭角であればあるほど市場に蓄積された恐怖の総量は多く、
それだけ急速に相場は下落することになります。

原油相場でいえば、ちょうど2008年7月の史上最高値147ドル
から年末にかけてがこの時期に相当します。

相場はもちろん需給という実態で決まる場合が多いのですが、
現在のようにさまざまな投資家が簡単にアクセスできる時代では、
短期の投機マネーにより、相場は実態以上に大きくブレやすく
なります。

このような市場で発生する、相場のトレンドを利用した
運用手法、それがマネッジド・フューチャーズです。

人間の恐怖心と欲望が作り出す大きなトレンド・・・
そしてそれを利用した収益の拡大手法・・・

この手法の最大の特徴は、『欲望と恐怖心の排除』にあると
私は考えております。

ほとんどのマネッジド・フューチャーズは生身の人間ではなく、
100%コンピュータによってプログラム運用されています、
相場が上昇するときは買い注文を出し、反対に下落相場では
売りで対応します。

従って上げ相場でも下げ相場でも利益を出せる仕組みですが、
一方で相場の転換点では大きく損失を被ることになります。

もし人間が織り成す相場に何の規則性もなく、全くランダム
に動くのであればマネッジド・フューチャーズの利益と損失は
等しくなり、このようなトレンド・フォロー型の運用をいくら
続けていても利益を挙げることはできないはずです。

マネッジド・フューチャーズのプログラムの中身は、
外部からうかがい知れず、レバレッジのかけかたから
ストップロスの入れ方、さらにはトレンド転換点の
認識のタイミングに至るまで、細部においてはそれこそ
千差万別といってよいでしょう。

それでも多くのマネッジド・フューチャーズが、長期的に利益を
挙げることができるのは、人間が織り成す相場には、
何らかの『クセ』のようなものがあり、それを利用すれば
長期的にはリターンを挙げることができるということを物語って
いるような気がします。

なお、この場合の『クセ』とは、人間の欲望と恐怖心によって
上にも下にも行き過ぎる、『相場の慣性』と言い換えてもいい
でしょう。

さらに申し上げれば、『人間が持つ恐怖心と欲望を利用し、
コンピュータが収益を挙げる仕組み』。

これがマネッジド・フューチャーズの本質ではないでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2009年4月3日)




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