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ランドバンキングのお話し
みなさんこんにちは。

今回は久しぶりに金融商品のご紹介を致します。

皆さんはランドバンキングという言葉をお聞きになった
ことはありますか。

ランドバンキングは主に農場など、開発前の土地を大規模に
購入し、開発計画策定・区画整備・地目変更などを行い、
付加価値を付けたうえで市場で売却するビジネスです。

従ってこのビジネスは、大規模な未開発地が残されていて、
なおかつ今後人口増等によって開発が見込まれる土地がなければ
成立しません。現在のランドバンキングがカナダ、
米国、メキシコなど北米を中心に展開しているのは、このような
理由からでしょう。

実は我が国でも、その昔、これに似たようなビジネス形態は
ありましたが、日本では大手の商業資本や一握りの富裕層が独占し、
一般の投資家が小口で参加するようなことはありませんでした。

これに対し現在のランドバンキングは、大勢の小口の投資家
から資金を集め、それらを取りまとめて広大な土地を購入しますので、
一般的にはUSD10,000、あるいはCAD10,000程度の比較的小口
での投資が可能です。

続いてランドバンキングの仕組みを見ておきましょう、まず
ビジネスの流れは概ね下記のように進行いたします。

1.ランドバンキング開発主体による投資対象の選別
経済、人口推移、雇用、住宅環境、インフラなどの観点から絞り込み、
ランドバンキングに適した質の高い物件を、農地(あるいは未開地)
の状態で買収します。

2.開発主体による投資家の募集
小口化して、世界各国の拠点を通じ投資家に販売しています。
投資家は不可分所有権をとおして、実際に土地を直接所有すること
になり、各投資家には土地所有権証が発行されます。

3.購入した土地に適した開発計画の策定および地目変更
土地の買収は、農地あるいは未開発地の状態で行いますが、
開発会社はそれらの土地をリノベーションし、利用価値の高い
土地へと変えてゆきます。

この過程で地方自治体に働きかけ、土地の「用途区分」の指定を
受けます、買収当初は農場や山林であったものが、この時点で
商業用地や住宅用地へ地目が変更されることになります。

一般にこの段階で、土地の利用価値は格段に高まり、土地の評価額も
上昇することになります。

4.土地の売却
デベロッパーなど第三者から土地の買収申し出を受け、
条件を精査します。

好ましい買収提案があれば、同社は全ての投資家に対しその旨
通知し、全投資家の60%程度以上の賛同を得た場合、その買収提案を
受け入れることになります。

売買の成立後、同社は各投資家に分配金を送金してすべての
プロセスは完了となります。


以上ご覧頂いてお解りのように、ラドバンキングは単なる
土地売買のサヤ抜きや、賃貸料収入が目的ではありません、
このビジネスの本質を一言でいえば、「開発による価値上昇」
ということになるのではないでしょうか。

いままで二束三文だった農地が、地目変更の瞬間に商業地や
住宅地となり、土地の評価額もそれにみあった価格に上昇すると
いうわけですね。

この点でREITや不動産ファンドとは決定的に異質な金融商品
であるとも言えます。

もちろん地目の変更は地方自治体が行いますので、地方自治体との
ネットワークは極めて重要な要素になってきます。

また最終的にはデベロッパーに物件を売却し、利益を確定することが
できますので、デベロッパーとのネットワークも欠かせません。

このように考えてまいりますと、ランドバンキングのビジネスは、
単なる不動産の売買ではなく、ある意味で地域に根差したローカル
なネットワークがモノを言うビジネスなのかもしれません。

一昨年の金融ショック以来、株、コモディティ、ヘッジファンド
など多くの金融商品の価格は大きく下落しました、もちろん
世界の不動産も例外ではありません、おそらくランドバンキングという
金融商品にとっても、一連の金融ショックは逆風だったことは間違い
ないでしょう。

が一方で、先ほど申しましたように、ランドバンキングは単なる
不動産の売買からのサヤ抜きではなく、地目の変更や土地の開発に
よる価値の付加・・・言い換えれば「自ら土地の価値を積極的に高める」
という機能を持っているわけです、またさらにREITなど他の
不動産ファンドと異なり

・レバレッジをかけない点
・株式相場など、他の金融市場の影響を受けにくい点
・ファンドではなく、直接不動産を所有している点


などの特徴を持っておりますので、紙の資産中心のポートフォリオに
一定額組み込む意味はあると思います、一方でランドバンキングへ投資
に参加される場合、以下のような注意点があることもご理解ください。

・基本的に途中売却はできない点(開発会社社の仲介により、
途中購入希望者への売却できる場合はある)

・元本が確保されていない点

・出口までの期間は一般的に4~5年とされているが、あらかじめ
きめられているわけではない点


従って、株やヘッジファンドなど、いわば紙の資産をある
程度保有されていらっしゃる方で、なおかつ5年程度寝かせて
おける資金の投資先をお探しの方には、一考に値する投資対象
ではないでしょうか。

最後になりましたが、2009年7月時点における、ある開発会社の
過去の実績は以下のようになっております。

・過去物件の複利年平均リターン 15.43%、
単利年平均リターン 28.98%

・同社が過去開発した案件で、初期の投資元本を割った案件はゼロ


なお同社によると、金融ショック後の2007年以降に出口を迎えた
プリジェクトも、概ね上記と同程度のリターンを上げている
とのことです。


では、今回はこのへんで。
(2009年7月27日)




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