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私がETFを使うわけ
みなさんこんにちは。

人間が紡ぎだす経済活動に、果たして歪み(ゆがみ)のないもの
など存在するのでしょうか・・・

身近なところでは、期待リターンが50%にすぎない
宝くじ売り場の長い行列・・・しかも期待リターンはどの売り場
でも同じなのに、有楽町の駅前に出来るひときわ長い行列。

キーボードから入力される電気信号の世界でも、
時間軸をどんどん縮め、1/100秒、1/1000秒と刻んで
ゆくとどうでしょうか、そのミクロの世界は歪みに
満ちているのではないでしょうか。

あるいはそんなマニアックな話しを持ちださなくても、
例えば「A社の株価が昨日と今日で100円も違う」といった
よくある日常・・・本当にA社の企業価値が100円分変化する
と市場は予想したのでしょうか。

むしろ私たちが資産を投じる金融の世界は、
多かれ少なかれ全て歪みに満ちていると考えておいた
ほうがよいのではないでしょうか。

仮に人間が全ての投資判断を、完全に合理的な
基準に基づいて行っているとすれば、市場に歪みなどない
はずです。

言い換えれば、歪みは人間の「無知」(気づいていないこと)
もしくはその正反対に位置する「欲望」によって生じる
ものではないでしょうか。

以上を前置きとし、今回はETFと市場の歪みに
ついてのお話しをさせて頂きます。

ETF(注)はアクティブ型の投信に比べ、コストの点で圧倒的
に有利だとよく言われていますし、また実際にその通りでしょう。

(注)ETFはインデックス型で、しかも証券取引所に上場された
投資信託を指します。

ではなぜ「ETFは低コスト、アクテイブ型投信は高コスト」
なのでしょうか。

それは市場の歪みに対する根本的な考え方の違いが
あるからだ、といってよいでしょう。

ETFの発想はこうです。

「市場に歪みなどない、アクテイブ型のように個別銘柄の
リサーチを行って銘柄を出し入れしても無駄、どう
がんばっても市場平均を上回ることなどできない、であれば
無駄なコストをかけず、インデックス構成銘柄をその
構成比率に応じで保有しておくに限る。」

これに対しアクティブ型の発想は

「市場は歪んでおり割安銘柄と割高銘柄がある、このような銘柄
ごとの特性をリサーチし、機動的に銘柄を出し入れすることにより、
市場平均を上回ることは可能だ」

それぞれこのような考え方に基づいてファンドを運営している
わけで、両者のコスト構造の違いは、実はこのような根本的な
発想に根ざしているといえるでしょう。

ところで私自身はといいますと、お客様のポートフォリオを
構築する際、基本的にアクティブ型投信は使わず、
ETFとヘッジファンドを中心に用います。

ヘッジファンドとETFは根本とする教義が180度違います、
即ちヘッジファンドは市場の歪みからリターンをあげる
ファンド、これに対し先ほど申しましたように、ETFは市場に
歪みはないという考えに基づいています。

従って、その観点で両者を同時に用いる私の手法は、根本的に
矛盾しているとも言えるわけです。

冒頭申しあげたように、私は市場は歪みで満ちていると
考えています、その点ではETFではなく本来アクテイブ型の
ファンドを使いたいところなのですが、実際にはそう
うまくはいきません。

多少コストが高くても、本来アクティブ型ファンドに期待する
機能をもっていれば全く問題はないのですが、残念ながら
「歪みを見つけられず、アクティブなのはコストだけ」という
ケースが大半です。

またさらにアクテイブ型を称しながら、市場を凌駕できない多くの
ファンドは過去すでに退出していますので、それを考慮しますと
市場の歪みをうまくリターンに変えることができたファンド、
言い換えれば本当に機能しているアクテイブ型ファンドを
見つけ出すのは、至難の業といってよいでしょう。

以上のような理由で、私はヘッジファンドに組み合わせる
株や債券、コモディティなどはETFを原則としているわけで、
いわばこれは私の妥協です・・・

では、今回はこのへんで。
(2010年6月22日)




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