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サイクル性資産と非サイクル資産

みなさんこんにちは。

私の資産運用にはいくつかのポリシーがありますが、
その一つは資産全体を

・景気変動サイクルの影響を受ける資産(『サイクル性資産』)



・景気変動サイクルの影響を受けにくい資産(『非サイクル資産』)

に大きく分けて保有するという考え方です。

前者の代表は

・株式、コモディティ、不動産証券化商品

などで、後者の代表は

・ヘッジファンド、とくにマネージド・フューチャーズ(注)
 やマクロ戦略をとるもの

です。


注)マネージド・フューチャーズはトレンド・フォロー型
  運用戦略をとるヘッジファンドの一種、相場の上昇時には
  「買い」で対応し、相場の下落時には「売り」で対応する、
  従って相場の上昇時、下落時に収益を上げることができる、
  一方で相場の転換点で損失を計上する。


仮に皆さんが、前者の『サイクル性資産』のみで資産を運用
するとどういうことになるでしょうか。

今のような景気回復期には、皆さんの資産は順調に増えて
ゆきますが、当然のことながら逆に景気後退期に、皆さんの
資産は大きく減ってしまうことになります。

もし皆さんが前回の景気後退期(2007年後半から2008年末)に
『サイクル性資産』のみを保有していた場合、概ね皆さんの
資産は半分程度まで減ってしまっていたはずですし、事実
そのような光景を私はいくつも目に致しました。

これに対し後者、すなわち『非サイクル資産』に、もし
皆さんの資産を半分程度移動しておけばどうでしょうか。

例えば前回の景気後退期、すなわち2007年末から2008年末の
一年間、『非サイクル性資産』の代表選手であるマネージド・
フューチャーズは、概ね20%程度、ファンドによっては50%ほど
の高いリターンを上げました。

『サイクル性資産』の保有で受けた損失のうち、一定部分は
この『非サイクル資産』で穴埋めできたわけです。

このように景気後退期の資産減少を回避するため、
私はこれら2つの資産への戦略的な分散をお勧めしている
するわけです。

一方で皆さんがこのような手法を採用された場合、
ひとつ悩みを持たれることになります。

それは『サイクル性資産』の方を、永遠に保有し続けて
よいのかというものです。

『サイクル性資産』は文字通り景気変動の影響を受ける
資産ですので、いずれ景気後退によって(例えば2008年の
ような)価格の下落が始まることになります。

この場合の対処方法は二つ。

一つは「長期投資と割り切って保有し続ける」
という考え方でしょう。

株にしろコモディティにしろ、長期的に持ち続ければ、
理論的にはいずれ景気サイクルを乗り越えて成長し続けるわけです。

であれば下手に売り買いなどせず、「山は動かず」を決め込んだ方が
利口だという考え方も確かにあるでしょう。

もう一つは景気変動サイクルに合わせ、『サイクル性資産』の
持ち高を大きく増減させるという考え方です。

言い換えれば「景気回復期のある時点で株や商品を
売却する」という手法で、この場合売却によって得られた
資金でマネージド・フューチャーズを買い増されても
よいでしょう。あるいはそのまま現金を抱え込んでおくのも
一つの戦略です。

いずれにしてもこのように『サイクル性資産』を景気サイクル
に合わせて弾力的に収縮させることにより、さらに投資効率を高める
ことができます。

一方でこの場合相場の読みを間違えますと、「山は動かず戦略」
に比べかえって資産の増加速度が遅くなる場合もあります。

ここいらあたりは一種の神学論争で、つまりは皆さんお一人お一人
の考え方、最終目標、場合によっては精神力に依存し、どちらが
正しいというものではないように私は思います。

ただ資産全体を意識的に『サイクル性資産』と『非サイクル資産』
に分割して運用する手法は、かなりの合理性を持っているのでは
ないかと私は考えております。




では、今回はこのへんで。

(2011年4月5日)




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