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原油価格の急落と世界経済

みなさんこんにちは。

日本の連休前、115ドルに届こうとしていた原油価格(WTIもの)が、
一時95ドル近辺まで急落しましたね。

同じタイミングで銀や金、農産物まで幅広く売られましたので
コモディティを保有しておいでの方は驚かれたのではないでしょうか。

今回は商品相場の今後の見通しについて、少し考えてみたいと思います。


商品相場について考える場合、私たちはいくつかの点を
頭に入れておかなければなりません。

まず一つ目は、商品相場といってもさまざまなセクターが
あり、それぞれ異なった要因によって動いているという点です。

例えばエネルギー。

原油を中心としたエネルギー関連の相場は、基本的に世界経済に
対する見通しを反映しやすく、米国や中国など原油の消費大国が
発表する指標に引っ張られる傾向にあります。

これに対して例えば金はどうでしょうか。

金は誰かによって消費されてしまうというたぐいの資源ではなく、
大むかしから価値の退蔵手段として利用されてきましたし、通貨に
対する信認の低下は今後も買い材料であり続けるでしょう。

あるいは農産物。

農産物相場を動かす要因は、経済やドル不安よりむしろ
天候という自然現象である場合の方が多いようです。

このように商品相場はセクターごと異なった要因で
値動きするわけですが、一方であまり教科書的に
そのことばかりに目が行ってしまいますと、誤った判断を
してしまうことがあります。

物事は多面的にみる必要があると私は思いますし、
相場が常に冷静な理性によって動いているとは限りません。

仮に商品をセクターごとに動かす、いわば縦串(たてぐし)の力が
『理性』だとすれば、時にはあらゆる商品相場を横串(よこぐし)的に
根こそぎ動かす力、言い換えれば『欲望や恐怖』が市場を支配
することだってあるはずです。

つまり私は商品相場はセクターごとの縦割りの力と、市場を
根こそぎもってく、いわば横の力が交差しながら形成
されてゆくと思うわけです。

そしてセクターごと個別に動かす力は理性によってつくられ、
コモディティ全体を動かす力は恐怖や欲望によってつくられる
場合が多い・・・最近はこのように感じています。

特にリーマン・ショック後この傾向が顕著になってきている
にではないでしょうか。

年初来の商品相場の一斉急騰と、それに続く先月の一斉急落は
このようなセクター横断型の力、即ち『欲望や恐怖』によって
もたらされたのではないでしょうか。

大きな欲望はその後の大きな恐怖につながり、
幸いに欲望のエネルギーが小さければ、その後の下落も軽微な
ものにとどまる、

そういう意味で原油の高値が115ドルで止まったのは、
世界経済にとって幸いではなかったでしょうか。

商品相場がこの程度で”正気(しょうき)”を取り戻して
くれれば、世界経済は向こう数年にわたりゆるやかな回復を
享受できる可能性があると私は思います。

そして世界経済のゆるやかな回復は、やがて商品相場に跳ね返り、
セクター主導型の冷静な相場が形成される可能性がでてきた・・

もちろんあくまで一つの可能性ではありますが、
現時点ではこのようにいえるのではないでしょうか。





では、今回はこのへんで。
(2011年5月10日)




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