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QE停止とどう向き合うか

みなさんこんにちは。

先日(6/19)のバーナンキさんの発言は、市場の期待と少し
違っていたようですね。

前回(5/22)の議会証言は、QE停止を市場に織り込ませる意図が、
少し強く出過ぎたのではないか・・・

従って市場の混乱を一旦沈める意味で、今回の発言は
QE停止トーンをやや抑える内容になるだろう。

大方の市場参加者はこのようにみていたと思います。

ところが先日(6/19)の発言内容は、米国の景気回復に対する
見通しをさらに強め、同時にQE停止を年内に行う可能性を示唆した
ものでした。

この発言を聞いた直後は私も意外感がありましたが、
よくよく考えてみると、それもアリかなという気もしました。

そもそも過去2回行ってきたQEは、あらかじめ資金の規模、
すなわち期間を明示して行ってきたものです。

期限が設定されているということは、
言い換えれば先を見通せるということで、
市場にとって決して不安定要因ではないと思います。

過去2回のQEがさほどの混乱もなく終了した事実は、
上記考えが正しいことを物語っているのではないでしょうか。

むしろ市場が嫌がるのは、「先が見通せない」という
不安感のほうで、逆に期限を決めてやることによって、
市場の安定を取り戻すことができるはず・・

おそらくバーナンキさんは、上記のような市場心理への
働きかけを、今回の発言で意図したのではないかと私は思います。

即ち「より明確にQE停止の時期を浸透させることによって、
むしろ市場の心理を安定させる」

このような意図ではなかったでしょうか。

ではこのバーナンキさんの読みが当たって、
市場は安定方向に向かうのでしょうか・・・

そもそも米国のQE停止は、米国経済の回復の裏返し。
であれば実体経済にとって悪いお話しではありません。

一時的な市場の混乱さえ乗り切り、めでたくQE縮小から
停止に着水できさえすれば、米国株はもとより、いま急降下中の
新興国株、あるいは商品相場にとって支援材料となるはずです。

一方で市場はときに予想不能の動きをするもの。

たとえばいま中国で起きている金融市場の変調・・・

前政権から引き継いだ負の遺産。すなわち
「シャドーバンキング」と呼ばれるアングラ金融を、
当局は短期金融市場の誘導によって一掃しようと
しているわけですが、その方法は大胆ないっぽう稚拙
にもみえます。

金融システムという凶暴な生き物を、いくら共産党独裁政権と
いえども、その力技でもって、やすやすと手なずけることが
できるのでしょうか。

火種は他の新興国にもあります。

QEマネーの流出によって、新興国チェーンのうち、
どこかヒ弱なリングが切れてしまわないとも限りません。

アジア危機の時代と比べ、新興諸国の経済はずいぶんと厚みを
増しているようにみえますが、過去を振り返りますと、
決まってチェーンの弱い部分が切断することによって、
危機は発生しています。

可能性はさほど高いとは思いませんが、
このような出来事によって、バーナンキさんのQE停止路線が、
予想不能な連鎖の引き金となってしまう可能性も、
一応は頭のなかに置いておくべきではないでしょうか。

 

では、今回はこのへんで。

(2013年6月25日)



 




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