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プラチナとパラジウム-後編

みなさんこんにちは。

先週はプラチナのお話しを致しました、
今回はプラチナの兄弟分にあたるパラジウムの話しを
させていただきます。

同じ白金族の金属だけあって、パラジウムと
プラチナの共通点はたくさんあります。

例えば用途です。

先週のメルマガでプラチナの主な用途は、自動車の
触媒だというお話しを致しましたが、パラジウムの
主な用途もまた自動車の触媒です。

ただし自動車といってっも、プラチナが主に欧州で販売される
高級なディーゼル・エンジン車に使用されるのに対し、パラジウムは
新興国や米国で生産される、比較的低価格なガソリン車に
使用されます。

従って前回お話ししたように、プラチナが欧州経済の影響を
受けやすいのに対し、パラジウムのほうは広く浅く世界経済
全体の影響を受けやすいといってよいでしょう。

さてその自動車です。

昨年(2012年)の世界自動車販売の台数は、8500万台と
2011年比でプラス5.5%と堅調な結果となりましたが、
これは当然ながらパラジウムの消費量の増加要因です。

以下は過去5年間の自動車触媒に使用されたパラジウムの
量ですが、リーマン・ショックの影響で急減した2009年以降、
順調にこの分野でのパラジウムの消費量は増えています。

・2008年(139.5トン)
・2009年(125.2トン)
・2010年(164.1トン)
・2011年(172.0トン)
・2012年(188.3トン)

注)トムソン・ロイター Platinum & Palladium Survey 2013による、以下同様。

2012年だけをみても、パラジウムの自動車触媒需要は188トンと、
2011年比でプラス9.5%と大幅増でした。

このような自動車触媒分野での消費増を受け、パラジウム全体の
消費量も以下のように順調に増えてきました。

・2008年(258.7トン)
・2009年(236.1トン)
・2010年(270.9トン)
・2011年(275.1トン)
・2012年(289.8トン)

これに対して供給はどうでしょうか。

パラジウムという金属は単独で掘れる鉱山がほとんどなく、
その大半はプラチナとニッケルの鉱山の副産物です、
従って産出国や産出量という点でも、パラジウムはプラチナと
似ているわけです。

一方で先週私は、最大のプラチナ生産国である南アフリカで、
電力供給量や頻発するストライキの影響で、プラチナの生産量が
減少しつつあると申し上げましたが、パラジウムも同様です。

以下は過去5年間のパラジウムの供給量の推移です。

・2008年(241.4トン)
・2009年(233.3トン)
・2010年(251.3トン)
・2011年(266.4トン)
・2012年(254.8トン)

2012年を2008年と比べてみますと、確かに増えてはいますが、
南アフリカの減産もあり、その増加量は13.4トンにすぎません。

これに対してさきほどの需要のほうはどうでしょうか、
同様に2012年を2008年と比べてみますと、その増加量は
約31トンで、あきらかに需要の増加のほうのピッチが
上回っていることが解ります。

以上をおおざっぱにまとめますと、供給は主に南アフリカの
採掘の限界から頭打ち、これに対して需要のほうは世界の
自動車生産の伸びなどによって堅調に推移。その結果、需要が
供給を上回る状況が定着しつつあるといってよいでしょう。

実際にパラジウムの地上在庫は、2007年以来6年連続で
減少し続けています。

さらにこの先をみるとどうでしょうか。

既に相場に織り込まれた感はありますが、いよいよ
ロシアの国家備蓄からの放出は先が見え始めておりますし、
今後の南アフリカの供給に関しても明るい見通しはありません。

さらに最近では今までプラチナの独壇場だった、
小型デーゼル・エンジン車でも、プラチナの代わりに
パラジウムが使われるようになってきました。

このような点を踏まえますと、パラジウム相場の
伸びシロは、まだあるように私には思えます。

 

では、今回はこのへんで。

(2013年9月3日)



 




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