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明治金貨に注目

みなさんこんにちは。

先々週のメルマガで少しコインの話をさせていただきました、
コインなどというものは、株や債券など違って一般の人には
なじみにくく、読者の皆さんには迷惑ではないか・・・

そんな遠慮から、(これでも)できるだけコインの話しを
避けるようにしてきたつもりですが、前回のメールのあと、
意外にも何名かの読者から、「もっとコインの話しをしてほしい」
などと嬉しいご感想をいただきました。

お言葉に甘えまして、さっそく今回はコインの話しを
させてください。今回はちょっと長いですよ。

日本の金貨といえば昭和天皇の在位60年記念の
10万円金貨が有名ですね、この金貨は戦後我が国が発行した
最初の金貨でしたので、随分と話題になりました。

その後も天皇即位記念、在位10年記念、同20年記念という
ように、数種類の金貨が発行されました。

その都度話題になりましたので、お持ちの方も多いのでは
ないでしょうか。

ただしこの金貨・・・残念なことにプレミアムはゼロです。

プレミアムといいますのは、地金の価値に上のせられる価値、
言い換えれば希少価値のことで、要するにこれらの記念金貨は、
地金の価値しかないわけです。恐らく向こう50年持っていても、
状況は同じでしょう。

現代日本の金貨は、このように可哀そうな境遇に
置かれているわけですが、一方でわが日本は、かつて
世界に誇れる近代金貨を作ったことがあります。

いわゆる「旧明治金貨」がそれです。

この金貨を見ていると、世界の文明国として認めてもらいたいう
新政府の思いいれを感じることができます、きっと悲願の不平等条約
改正も念頭にあったでしょう。表面は龍の絵、龍は天皇の象徴です。
裏面は太陽と月、二流の錦の御旗が描かれていますが、まったく
素晴らしいデザインです。

明治政府が雇ったイギリスの貨幣技術者が、日本人技師がつくった
このコインの「試し打ち版」をみて、すでにイギリスの技術を越えており、
手を加える必要がないといったそうです。

私たちが今みても、同時代のフランスやイギリスの
コインと比べ決して見劣りがしません。

当時の政府は新品の貨幣鋳造機を買うお金がなく、
香港で使われていた中古の機械を買い取って鋳造したそうな・・
そんな泣ける話しも残っています。

この旧明治金貨には1円、2円、5円、10円、20円の5種類が
ありますが、何と言っても圧巻は20円です。重さは33グラムも
ありますので、当時の国際水準と同等です。

この20円、鋳造枚数は46,000枚ほどあり、決して少なくは
無いのですが、残存枚数という点では少し違ったみかたが
必要でしょう。

鋳造以来すでに150年近く経過し、我が国はこの間
昭和恐慌による円安や、太平洋戦争を経験しました。

昭和恐慌では大量の金貨が海外に流出・溶解されましたし、
太平洋戦争では政府が国民に金貨を供出させました。

現存する旧20円金貨は、わずかに400枚程度にすぎない
かもしれません、最近のオークションの落札価格をみますと、
未使用品クラスで800万円前後と値が張りますが、歴史的な経緯、
デザイン、残存枚数の少なさなど、その価格に値するコインでは
ないかと思います。

日本金貨史の横綱が旧明治20円だとすれば、旧明治10円は
大関格といってよいでしょう、デザインは旧20円と全く同じ、
ただ重量だけが約16グラムと半分のサイズです。

旧20円はとても手が届かないという方も、この旧10円だと
なんとか手が届くかもしれません、最近の落札相場は
未使用品クラスで80万円前後です。

鋳造枚数は随分と多く190万枚近く作られましたが、
上記20円同様、その大半は溶解されてしまったようです、
僕の感覚では残存枚数1万枚といったところでしょうか。

枚数が多いだけあって、国内大手のオークションでは
必ず数枚出品されます、ただし価格は急上昇中です。

日本のコイン価格が急上昇中と聞いても、
皆さんピンと来ないかもしれませんが、特にこの
旧10円に関しては目をみはるものがあります。

例えば2011年の「銀座コインオークション」のカタログを
みますと、当時このコインの落札相場は40万円程度に
すぎません、何と僅か3年ほどで倍化です。上昇率だけみれば
旧20円金貨を上回っているといってよいでしょう。

なかなか面白い現象だと思います。
この旧10円金貨相場の急上昇の要因として、

一つには2005年から2008年まで販売した、財務省の放出金貨が
持つべき人の手に収まり、相場崩れが収束した点。

二つ目は安倍さんの政策によって、富裕層の資産が増え、
彼らが金貨市場にお金を投入し始めたという点。

大きな視野でみれば、QEによってペーパーマネーが増えすぎ
た結果、相対的な現物資産の価格上昇を招いた一事例といえるかも
しれません。小さな市場では、上昇率もまた高くなりますから。

三つ目は日本人もようやく目が肥えて、コインの価値を
しっかり評価できるようになってきたという点。

以上3点を挙げておきたいと思います。

なにかとイギリスコインの価格上昇に目が奪われがちな
昨今ですが、他にも有望な市場はあると思いますよ。

 

では今回はこのへんで。

(2015年2月18日)




 




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