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マネージド・フューチャーズの進化と効用

みなさんこんにちは。

今回は久々にヘッジファンドのお話しをいたしましょう。

2008年のリーマン・ショック時に、マネージド・フューチャーズ(注)
が私たち個人資産に良い影響を及ぼしたのは、事実として認識
されてよいでしょう。

注)伝統的なヘッジファンドの一種で、商品先物市場や
  金融先物市場において、その時々のトレンドに乗る手法で
  運用されています。相場の上昇時だけでなく、下落時でも収益を
  あげることができる一方、相場の転換点で損失を出します。

当時世界の株価が40%〜60%程度の大幅な下げに見舞われるなか、
Winton Futures FundやMan AHL Diversified plc(注)など、
代表的なマネージド・フューチャーズは、2008年に
20%〜30%程度以上の大幅上昇となりました。

注)現在は運用資産総額において世界第1位、2位に位置する
  代表的なマネージド・フューチャーズです。

当時これらのファンドが投資対象にしていた株や商品などは、
一年を通して大きく下げましたが、売りポジションを大量に保有
していたこれらのファンドは、下げ相場の中で大きな
収益をあげました。

これは私たちがのマネージド・フューチャーズに期待した役割が、
市場の混乱期にもしっかりと機能したことを意味しています。

当時これらマネージド・フューチャーズを一定額保有されて
いた方は、株や商品相場、為替などで受けたショックを、
少なくとも一定程度はやわらげることができたはずです。

このようなことから私たちは以下の様な学習をいたしました。

まずなにより合理的な算定法に基づき、紙の資産(注)と
実物資産の比率をしっかりと決めること。

注)現預金、株式、債券、ファンドなどを指します、
  最近僕はこれら資産のことを『ペーパーアセット』と
  呼ぶようにしました。

そのうえでペーパーアセットのなかを、景気の変動を甘受しつつ
長期的成長を目指す資産群、つまり株に代表される『サイクル性資産』と、
ヘッジファンドに代表される、景気変動の影響を受けにくい
資産群『非サイクル資産』に分割すること。

この作業を建築に例えるなら原設計で、
この原設計がしっかりとできていなくては、
建物は地震や強風など外部から受けるストレスに
耐えることはできません。

このような手順で資産を合理的に配分することにより、
私たちは自らの資産を、金融ショックや景気の変動を
受けにくい柔軟かつ強固なものに組み替えることができる
わけです。

さてその前提で今回のテーマである、
マネージド・フューチャーズです。

金融市場の傾向はここ数年で大きく変容しました。

・ネットワークの進化によって高速な売買ができる環境が整った点。
・中央銀行が市場に大量のマネーを供給した結果、リーマン・ショック
 を境に、市場に滞留するマネーの総量が急増した点。
・その結果、相場の変動が激しくなると同時に、従来の様な
 息の長いトレンドが出にくくなった点。
・AIの進化によって、ヘッジファンドが採用するプログラムの
 高度化が可能になった点。

このような変化を踏まえ、各マネージド・フューチャーズ側でも
運用プログラムの高度化が急速に進みつつあります、かつての
伝統的な中期トレンド・フォローを一定量維持しつつ、
例えば日時ベース、最近では秒単位でトレンド・フォロー運用を
行うファンド群もでてきており、すでに一定の成果を上げつつあります。

私たちのファンド選択も、当然このような環境変化
への適応がもとめられることになるでしょう。

ただし新しい技術は場合によってはリスクを伴います、
幸い私たちは各ファンドの運用成績を月次単位、場合によっては
日時単位で確認することができます、一定期間それらのデータを
見たうえで、組み入れるべきか否か注意深く見極めてゆく
必要があるでしょう。

あくまで原設計を維持したうえでのお話しですが・・・

 

では今回はこのへんで。

(2016年4月6日)




 




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