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富裕層に求めらる資産運用の考え方

みなさんこんにちは。

先週のメルマガで僕は、

『積み立て投資には利点が多いが、
すべての人が等しくその利点を享受できるわけではない』

という趣旨のお話しをいたしました。

特に一定額以上の資産を構築された中・高年齢層の
方にとって、積み立て投資は利点が少ないと思います。

例えば既にリタイアされた年齢60歳の方が、
総資産2憶円のうち1憶円の余資運用を考えたとしましょうか。

この1憶円で毎月10万円ずつ株式投信を積み立てたとすれば、
積み立てが終了するまで80年以上かかります、毎月の積立額を
50万円にあげても16年以上です。

はたして現実的な選択肢といえるでしょうか。

時間軸の問題だけではありません。

積み立て投資は、株や投信などリスクの高い金融資産への
投資においてこそ効力を発揮するものです。

そもそもこのような多額の財産を築いた方にとって、
株や投信などハイリスクな資産への投資が必要なのでしょうか。

つまり積み立て投資は、まだ資産形成の途上にある若年齢層に
とって有効な投資法であり、すでに資産形成に成功を収めた
方にとっては別の視点が必要ではないかと思います。

では具体的にどのような方法があるのでしょうか。

まずこのような方にとって一番の心配事は、
予期せぬ出来事によって、いわば不意打ち的に自分の資産が
激減するといった事態だと思います。

例えば先のサブプライム・ショックや、1990年代にわが国で起きた
バブルの崩壊のような事態です。

めったに起きることではありませんが、当時株や投信などに
資産を集中させていたらどんなことになったでしょうか。

もっと大きな出来事として、わが国で1945年に起きた預金封鎖や
財政破綻があります、日本人はあのとき紙のお金や国債の危うさを
知りました。

私たちの寿命も延びています。

いくら可能性が低くても、今後何十年という単位で見れば、
このようなテールリスク(注)に対して無防備でいることはできません。

注)テールリスク:めったに起きないけど、起きてしまえば壊滅的な
         被害を受けてしまう出来事

このような大きなショックに備えるためには中途半端な分散では
ダメで、現預金、株、債券など紙の資産(「ペーパーアセット」)
に対して、一定額の実物資産(注)をあわせて保有するといった、
いわゆる質的分散が必要だと思います。

注)実物資産:不動産、貴金属、アンティークコイン、カラーストーン
       など中央銀行や政府から独立し、それそのものに価値が
       ある資産の総称

二つ目の考え方は、質的分散と同時に地理的にも分散しておく
ということだと思います。

天災は忘れたころにやってくる・・・昔の人はうまく言ったものです、
金融ショックも天災と似て、いつどこが発生源になるか予測不能です。

ですから下手に震源地を予想するのはかえって危険で、
つまり地理的分散が求めらているのだと思います。

といっても昔はやったオフショア投資は、(私も含め)運用期間が長くない
リタイア層にとって流動性の点などで逆効果の部分があります、
よほどの事態を想定しない限り、国内で買える外債や外国株、海外ETFなど
を組み合わせれば十分ではないでしょうか。

富裕層に求められる三つ目の重要な点は、精神的なストレスを
どのようにして抑えてゆくかということではないでしょうか。

僕は長い間ファイナンシャルプランナーという仕事をしていますが、
多額の資産をお持ちでも、資産が目減りしてゆくことに対し、
大きな精神的ストレスを受けられる方が多いように感じます。

このような資産の逓減を小さくするためには、一定のインカムゲインを
得られる資産の保有が有効なのですが、インカムゲイン型の金融商品は、
ほぼ不動産と債券に限定されるといってよいでしょう。

同時にこれら資産はミドルリスクの資産でもあり、
その点でもリタイア後の運用対象としてふさわしいといえるでしょう。

四つめの注意点は流動性への配慮だと思います。

人は歳を重ねると予期せぬ多額の出費があるものです、
例えばご自分や配偶者が病気になったときや要介護状態になったとき
などです、そのような事態の備え常に一定の現預金は持っておか
なくてはなりません。

既に一定の資産を構築された方にとって、上記4点は重要な指針に
なると僕は思います。

そして最後にですが、なによりご自分のポートフォリオが
行き当たりばったりなものでなく、上記の基本的な指針と、
整合性があることが重要ではないでしょうか。

 

では今回はこのへんで。

(2018年8月3日)




 




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