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2019年型ポートフォリオを考える

みなさんこんにちは。

皆さん、明けましておめでとうございます。

今年もこのメルマガと、銀座なみきFP事務所を
よろしくお願いいたします!

さて今回は年頭恒例になりました、
今年の世界経済と相場の予想です。

今回もまた長くなると思いますが、
よろしければお付き合いください。

なお章立ては以下のようになっています。

1. 2019年の世界経済

2. 今年の相場の予想(株、債券、ヘッジファンド、国際商品、現物資産)

3. 推奨ポートフォリオ

お時間がない方は1を飛ばしてください、
2からお読み頂いてもわかるようにしておきます。

1. 2019年の世界経済

まず今年の世界経済に影響を与えそうな出来ごとを列挙し、
順にその影響を考えてみたいと思います。

□米中貿易摩擦

この問題は既に貿易が焦点ではなくなりつつあり、
むしろ米中間の問題は、覇権争いの色彩が濃くなってきたといえるでしょう。

焦点が貿易だけなら、習近平さんには譲歩の腹案があった
と思いますが、「アメリカとの覇権争い」となれば、
譲歩しづらいのではないでしょうか。

なにしろ「中国100年の夢」です。

中国は100年単位で物事を考えることができる国です、
そこが4年単位で発想するアメリカとの違いといえるでしょう。

3/1に「90日協議」の結論が出ますが、おそらく中国は
そのような発想で臨んでいるのではないでしょうか。

すなわち貿易問題では極力譲歩する一方で、
覇権にまつわる問題に関しては、妥協を小出しにする
ということです。

そうこうするうちにトランプさんの任期は終わり、
この問題はいったんリセットされる・・・

とにかく時間を稼いでいるうちに、経済力を高めておけば、
いずれアメリカを圧倒できると考えているに違いありません。

そのような観点で今進んでいる「90日協議」の帰結を
考えるとどうでしょう。

中国は貿易摩擦問題に限っては、大幅でかつ目に見える
形で譲歩するのではないでしょうか。

その一方で、例えば「中国製造2025」や、外国企業への
技術移転の強要、著作権や研究成果のパクリ問題など、
将来の覇権争いに関する問題では結論を出さず、
小出しに妥協を重ねつつ時間を稼ぐという戦術をとると思います。

一方でアメリカはどうでしょうか。

就任以来のトランプさんにとって、株価の上昇は数少ない
自慢できる成果だといえるでしょう。

ですから自らの対中政策によって景気が減速し、
このまま株価が下がることを放置するとは思えません、
来年には大統領選挙がありますので、余計に株価には
敏感になるはずです。

このように米中双方の事情を勘案すれば、
「90日協議」では完全合意も決裂もなく、
一部では合意しつつ延長戦に入るのではないでしょうか。

このように両国の覇権争いは延々と続くことになるでしょうが、
少なくとも貿易摩擦問題では一定の進展があるはずです。

この構図は米ソ冷戦時代に似ているかもしれません。

当時アメリカとソ連の関係は冷え切っていましたが、
だからといって世界経済や株価が危機的だったかといえば、
決してそうではありませんでした。

当時と同様、株価や経済はこの問題に対し、
徐々に反応が鈍くなるのではないかと思います。

□アメリカの景気と利上げ

では実体経済のほうはどう動くのでしょうか。

たしかに米中貿易摩擦問題は気になりますが、
上記のような理由で僕は、少なくとも貿易不均衡問題に関しては、
中国が目に見える形で譲歩すると思います。

これはアメリカの経済にとって、
決して悪いお話ではありませせん。

一方で気になるのは減税効果の剥落です、
今年の前半あたりまでは、昨年行ったトランプ減税の余韻があるでしょうが、
後半になれば剥落します。

ねじれ議会の影響による、政策決定の遅れも気になるところで、
特に公共投資の拡大は難しいでしょう。

このようなことから、
アメリカ経済は徐々にスローダウンとみております。

FRB(アメリカの中央銀行)は、今のところ年2回の利上げを
念頭に置いているようですが、最近のパウエル議長の発言を聴くと、
急にハト派色が強まってきているように思います。

本人も昨年4回の利上げはちょっとやり過ぎたと、
不安になっているのではないでしょうか。

3月は「90日協議」の期限ですので、動きづらいでしょうから、
次の利上げは6月が本命で、今年はその一回で終わる可能性も
あるでしょう。

アメリカ経済がスローダウンしながらも、
そこまで悪くならないと考えるのはこのような点からです。

なお年内利下げを予想する人も多いようですが、
僕はそこまでアメリカ経済が弱いとは思いません。

□中国経済

中国当局の危機感は相当高いのではないでしょうか。

・高齢化等によって経済の成長性が徐々に鈍化している点⇒長期

・懸案のシャドーバンキング対策として、公共投資の縮小や
 銀行による貸し出しの抑制などバブルつぶしを行った結果、
 循環的にも経済成長が鈍化している点⇒中期

・米中による関税引き上げの結果、
 一時的に経済に逆風が吹いている点⇒短期

上記のように長期、中期、短期、いずれの視点で見ても、
いまの中国経済には逆風が吹いており、このままの状況を放置して
おけば「中国100年の夢」は絵に描いた餅に終わってしまいますし、
一帯一路も店じまいです。

どう考えても彼らのプライドが許さないでしょう。

それを避けるためには、アメリカに対し一時的に妥協の姿勢を示しつつ、
金融、財政を総動員してでも経済を引っ張り上げなければなりません。

さらにここのところ習近平さんへの一極集中が弱まっているとも言われ、
習さんの焦りは相当大きいはすです。

中国当局はすでに預金準備率の引き下げや、インフラ投資の
認可の積極化など行っていますが、さらにここから
3月の全人代にむけ、減税や利下げなどを決める可能性があります。

議会を経ず機動的に政策を実行できるのは、
中国の強みといえるでしょう、このように景気浮揚策を
動員する結果、中国経済は年の後半に近づくにつれ、
徐々に勢いを増すと考えております。

□新興国経済

新興国の経済について考える場合、
アメリカの利上げは重要な要素になります。

昨年アメリカが4回の利上げを行った結果、
新興国から一時マネーが流出し、経済が深刻な事態になるとの
不安もありました。

幸いにしてその心配は杞憂に終わりましたが、
確かにアメリカの利上げが、新興国経済に悪影響を及ぼす
危険性はあります。

そのような観点で今年はどうでしょう。

上記でお話ししましたように、今年のアメリカは昨年のように、
何度も利上げできるような状況にはなく、標準的なシナリオでは、
せいぜい1回か多くても2回ではないでしょうか。

この程度の利上げであれば世界経済への影響は限定的で、
少なくとも株や為替を動かす材料にはなりそうもありません。

一方で世界の実体経済のほうはどうでしょう。

上記のようにアメリカはスローダウンするも、
景気後退に至るほど悪化するとは思えません。

中国は景気対策を総動員する結果、
ことしはやや上向きと予想できます。

ヨーロッパはイギリスのEU離脱問題が少し心配ですが、
もともと成長性の低い地域でもあり、よほど深刻な景気後退に
至らなければ、世界経済への影響は軽微ではないでしょうか。

つまり今年の世界経済は緩やかに減速するも、
依然健全な成長速度を維持することになるのではないでしょうか。

そのような前提であれば、新興国経済のみが危機的な
状況に陥ると考えるのは不自然で、今年の新興国経済は
少なくとも昨年に比べ安定的に推移するのではないかとみております。

2. 今年の相場の予想(株、債券、ヘッジファンド、国際商品、現物資産)

では相場のほうはどう動くのでしょう。

□株

昨年末以来、世界の株価は大きく振れながら下げていますが、
その最大の要因が米中貿易摩擦にあったことは間違いないでしょう。

ただし前段で触れましたように、市場は徐々にこの問題の
帰結を織り込みつつあるように思います。

つまり貿易面では中国が大幅な妥協を示す一方で、
その他の問題、例えば国家ぐるみで製造業を育成したり、
他国の技術を自国に強制移転しようとする政策について、
中国は妥協を小出しにしながら時間を稼ぐだろうという見方です。

もし中国がこのように巧妙な戦術をとるのであれば、
アメリカや日本に有効な対抗手段は見つけずらいと思います。

が、今年の株価という狭い観点で見るならば、
それも決して悪いお話しとは言えません。

前段のように米中協議は延長戦に入るでしょうが、
世界の株価はこの問題に対して徐々に反応しなくなる
とみております。

一方で昨年には見られなかった、
新しい兆しが出てくると思います。

すでに新聞紙上などで、次世代通信「5G」が取り上げられる
ことが増えてきましたが、いよいよ今年は5G元年です。

基地局への投資は既に始まっていますし、
今年中には早くも5G対応のスマホが出てくる見通しです。

5G効果はスマホを中心とした民生分野だけにとどまりません。

自動運転や遠隔手術、物流や製造の現場などの産業分野で、
幅広い技術革新を生む可能性があると思います。

関連分野も広範囲にわたり、例えばわが国製造業が得意とする
デバイス(部品)や半導体、産業用機械など、
今年の年末あたりから企業業績への貢献が、
現れ始めることになるでしょう。

振り返れば昨年末以来、日本株にとって悪い材料ばかりでしたが、
上記のような理由で今年は、月が進むにつれて明るい材料が
増えてくると思います。

年末あたり、日経225が昨年最高値24,000円を超えていても
僕は驚きません。

日本株以外の株も悪くないとと思っています。

特に期待したいのは新興国株です、昨年はアメリカの
利上げ懸念からずいぶんと売られましたが、今年の利上げは
せいぜい1回か2回でしょう。

一方で上記のように世界の景気はスローダウンしつつも、
一定の成長は維持できそうです。

よほど想定外の出来事があれば別ですが、
今年の新興国株は期待できると思っています。

特に成長期待が高いASEAN株に注目したいと思いますが、
景気刺激策への期待から中国株も上がるとみております。

アメリカ株はどうでしょう。

今月初め、アップルが行った業績予想の下方修正によって、
同社の株価は下落しましたが、どうやら「これでお終い」というわけに
は行きそうもありません。

日本株と違ってアメリカ株は、米中摩擦の影響がまだ
十分に織り込まれているとは言えず、特にこれから始まる
昨年10-12月四半期の業績発表は、「アップル化現象」が
あちこちで見られるのではないかと少し心配です。

ただしその先はどうでしょう。

経済はスローダウンするものの、アメリカ企業の業績は、
2019年通期で見れば7%程度の増益予想が一般的です。

利上げの停止や、米中摩擦の緩和などプラスの要素もありますので、
今年のアメリカ株は悪くないと思います。

□債券と金利

一方で今年のアメリカ国債に対して僕はやや弱気です、
昨年末に一時10年債金利は3.2%を超えましたが、
その後は下がり(債券価格は上がり)、現在の水準は2.7%
台です。

3.2%→2.7%の金利下降(債券価格の上昇)は、
アメリカ経済のスローダウンを見込んだものだったと思いますが、
今年一年をみれば、おそらく現在の水準から3.0%あたりまでを、
行ったり来たりではないでしょうか。

現在の政策金利は2.5%(正確には2.25%-2.5%)ですが、
仮にあと一回利上げをすれば2.75%です。

ですからもし10年債金利が2.7%を下回れば、
それは明らかに長短金利の逆転です、そのような点から、
10年債金利がこの水準を継続的に下回るとは考えられません。

一方で今年はねじれ議会でトランプさんも動きづらいでしょう、
さらにトランプ減税の効果も(対前年比でみれば)剥落することになります。

このようなことから10年債金利が継続的に3.0%を上回ることも、
また考えにくと思います。

結果的に今年の10年債金利の水準を、
2.7%〜3.0%程度の狭いレンジで動くとみています。

□国際商品相場

昨年末に原油は大きく下げました。

OPECとロシアが協調減産で合意しましたが、
現在の相場(WTI)は1バーレル=50ドル台に過ぎません。

確かに昨年の高値(70ドル)から見れば安いですが、
それでも現在の価格は2015年以降の平均的な水準です。

さらに現在のシェールオイルの採算ライン(1バーレル=50ドル程度)
から考えても、現在の相場は適正水準といえるのではないでしょうか。

今年は貴金属にも注目しておきたいと思います。

例えば金です。

現在の金価格は1オンス=1290ドル台です、
昨年8月の1200ドル以降、急騰してきましたが
振り返ってみれば昨年の初めはほぼ今の水準と同程度でした。

市場では金の急騰がはやされていますが、
上記のように一年を通してみればトントンです。

では今年はどうでしょう。

今年はアメリカの利上げペースが緩むと予想され、
金利の付かない金にとってはプラスです。

米中の覇権争いや、アメリカの政局流動化
(極端な場合は大統領の弾劾)は金の買い材料で、
今年の金は上振れしやすいとみております。

一方でパラジウムのほうは昨年ビックリの急騰でした。

その結果、現在の相場は1オンス=1290ドル台で、
金とほとんど同等です。

何とこれは史上2回目だそうです。

兄弟のプラチナは、ヨーロッパでディーゼルエンジン車が
売れなくなった影響で価格は急落ですが、
パラジウムがたくさん使われるガソリン車のほうは、
新興国中心にマズマズ売れています。

一方で採掘のほうはといいますと、パラジウムは
金やプラチナと違って単独でとれる鉱山はほとんどありません。

ですからパラジウムが値上がりしても、
パラジウムに的をしぼって採掘するというわけにはゆきません。

このようなことから、現在のパラジウムの価格が
早晩崩れるとは考えづらく、今年も高原状態が続くのでは
ないでしょうか。

穀物もマークしておきたいですが、
例によってお天気次第、夏場の急騰があるかないかは、
「神のみぞ知る」です。

ただしトウモロコシや大豆など、3年連続の大豊作を
前提に現在の価格が形成されています、天候不順に見舞われた
際のエネルギーは相当溜まっているといえるでしょう。

下値が限られている一方で、
賭けに買った時のリターンが大きいという意味で、
「買い方」に有利な条件にあるといえるでしょう。

□ヘッジファンド

昨年はヘッジファンドにとって厳しい一年だったと
いえるでしょう。

昨年のCredit Suisse(クレディ・スイス)のヘッジファンド指数は
▲3.19%に終わりましたし、主要な戦略をみても年間の騰落率は

・転換社債裁定型⇒▲2.26%
・イベント・ドリブン⇒▲3.95%
・株式ロング/ショート型⇒▲4.62%
・マネージド・フューチャーズ⇒▲6.67%
・グローバル・マクロ⇒▲0.11%

など軒並みマイナスです。

ただし株価のほうも、例えば

・アメリカのS&P500株価指数⇒▲4.38%
・日経225株価指数⇒▲12.08%
・MSCI世界株価指数⇒▲10.44%

などと大幅に下落しましたので、それと比べると
まだマシという見方もできるかもしれません。

では今年はどうなのでしょう。

結論から申し上げますと、全般的に今年も苦戦する
可能性が高いと思いますが、ヘッジファンドと一口に言っても、
運用戦略はさまざまです。

例えば、今年もトランプさんの言動に振り回され、
相場の激しい上下動が続くであろうという想定に立てば、

・ボラティリティから収益を挙げる戦略

が面白いと思いますが、逆に中期の継続的トレンドから
収益を挙げるタイプの

・マネージド・フューチャーズ

には強気になれません。

一方で新興国経済が安定に向かうという見通しに立てば

・新興国運用型、特に新興国の破綻証券に投資するタイプのファンド群

には強気でいいでしょう。

□現物資産

現物資産については、いつも申し上げていますように、
今年という短い期間ではなく、長期的な視野に立って
一定額を保有しておくべきではないかと思います。

あえて今年という観点で申し上げるなら、
カラーストーンが面白いと思います。

なんどかこのメルマガでお話ししてきましたように、
カラーストーンの原産地では、近年ますます採掘量が減って
きております。

一方で相変わらず香港や中国、中東など富裕層からの引き合いは旺盛で、
現地相場は今も上昇中です。

これも富の一極集中がもたらす現象の一つでしょう。

今年もこの需給に変化があるとは思えません。

なかなか見つけにくくはなっていますが、
非加熱・高品質・大粒なルビー、サファイア、スピネル、ヒスイ
などは、今年も有望ではないかと思います。

特にスピネルは現地でここ数年価値が見直されつつあり、
きっと良い投資になるでしょう。

コインも面白いと思います。

ただしここ数年ホンの一握りの銘柄に人気が集中した結果、
イギリスの近現代5ポンド金貨や、5ギニー金貨が、説明できない
価格帯まで急騰しております。

すでに値下がりを始めた銘柄群もあり、
そのようなコイン群は避けたほうがいいでしょう。

一方で相場から忘れられた割安コインもたくさんあります。

・古代ギリシャ
・古代インド

など古代コインはまだまだ評価不足で安く買えますし、

・神聖ローマのターレル
・1800年代のターレル(特に2ターレル)

で状態の良いコインはどう考えても割安です。

・神聖ローマのダカット(金貨です)

はまだまだ値上がりしてもいいと思いますし、

・中南米のスペイン、ポルトガルの植民地金貨

のなかには、「なぜそんなに安いの?」と言いたくなる
銘柄も多いです。

さらに近年経済成長が急な

・アジア諸国のコイン群(1800年代から1900年代)

も楽しみです、コインの文化が遅れて入ってきたため、
この地域のコインには新しいものが多いのですが、
それだけに見逃されている隠れた希少コイン達もいます。

最後に不動産についてです。

よく日本の不動産は東京オリンピック以降下げると
言われますが、僕は違った考えを持っています。

オリンピック需要は多少あるかもしれませんが、
昔と違ってローコスト・オリンピックで、関連投資は
限定的です。

それよりは常に進化し続ける東京という都市は、
とどまるということを知りません。

私たちが東京に不動産を持つということは、
その成長性の一部を所有するということで、
投資として理にかなっていると思います。

すくなくとも現在の相場水準では。

3. 推奨ポートフォリオ

少し疲れてきましたが、
最後は恒例の推奨ポートフォリオです、
これを書かないわけにはゆきません。

ここまでお話ししてきたような見通しにたつなら、
2019年型ポートフォリオは

・やや積極性を高める
・ただし年の前半は抑えめ、後半にいくほど強気
・相場の価格変動が大きくなるとみて、現物資産の組み込みを計画的に考える

という考えに基づいて必要最小限の組み換えを行う、
というスタンスでいいと思います。

具体的な方針は以下の通りです。

・日本株は年の前半で少しずつ持ち高を増やす
・新興国株へ年初めから持ち高を増やす
・アメリカ国債の購入は10年債金利3.0%到達が目安
・商品相場は金とパラジウム、ただしパラジウムは売り時を考え
 ながら買う、銀も面白い
・カラーストーンは一期一会、本当に良い石をそこそこの価格で買う
・コインは割安領域を選別して買う、不動産は現物を手出し資金で買う
・ヘッジファンドはボラティリティ戦略や裁定取引型へ徐々にシフト

そのような考えに立った以下の推奨ポートフォリオですが、
毎年申し上げていますように、これは一つのサンプルで、
実際にはお一人お一人の資産状況やライフプランに
よって異なります、あくまで一つの投資のヒントとして
ご活用ください。

□2019年型ポートフォリオ

・先進国株(15%)

1.日本株ETF
2.世界ヘルスケア株ETF
3.アメリカ株ETF

・新興国株(20%)

1.ASEAN株ファンド
2.インド株ETF
3.中国株ETF

・コモディティ関連資産(15%)

1.金ETF
2.パラジウムETF
3.銀ETF

・債券(10%)

・不動産系資産(20%)

1.日本不動産現物
2.ヨーロッパ現物不動産

・オルタナティブ(20%)

1.カラーストーン(非加熱ルビー、スピネル、ヒスイ、非加熱サファイア)
2.クラシック・コイン(アジア、ヨーロッパ各国、中南米)
3.ヘッジファンド(裁定取引型、ボラティリティ運用型)

今年は株やコモディティなど、「強サイクル性資産」
のウエイトを50%とし、昨年の水準を維持しました。

株、コモディティともウエイトは変えておりません、
先進国株を昨年の20%→15%に下げたのは、新興国株の
ほうに割安さを感じたからです。

アメリカの利上げを年1回と読むなら、
今年は昨年のように新興国からのマネー流出を、
心配する必要はありませんので。

先進国株の筆頭は日本株です、
すでに米中貿易摩擦の影響は株価に織り込まれており、
今年は5Gが大きな材料になるとの期待からです。

ハードブレグジットへの懸念から、
今年はヨーロッパを外しました。

次点に世界ヘルスケア株ETFを挙げましたが、
ことしはガンの免疫阻害薬や、ゲノム医療など
先端分野で高収益が見込まれると考えるからです。

新興国株では筆頭にASEAN株、次点がインド株で、
昨年から変えておりません。中国当局の経済対策が
拡大すると考え、3番目に中国株ETFを挙げさせて頂きました。

コモディティでは金、パラジウム、銀を挙げさせて
頂きました、今年はいずれも貴金属です。

パラジウムは産出量が限られており、
今年も供給不足が解消されそうにありません。

今年の大穴は銀です、金が10%上げるなら銀の上昇は
30%ほどになるイメージです、発射台は1オンス=15ドル台と低く、
下値があってもせいぜい11ドル台でしょう、短期のギャンブルと
割り切って持つなら面白いと思います。

その場合は銀の現物よりETFがいいでしょう。

債券は昨年のゼロから10%に上げました、
お買いになるならアメリカの長期債だと思います、
買った瞬間に米ドルで収益率が決まり、
満期まで半年に一度の利息と満期時に元本100ドルが
もどってきます。

このように出口がぶれない投資は、
ライフプランとの相性がよく、現在の低金利を受け入れることができるなら、
悪くないでしょう、でもできれば10年債金利が3.0%程度まで
上がる)債券価格は下がる)まで我慢されると良いでしょう。

非サイクル資産(現物系資産およびオルタナティブ)は、
債券に配分した10%ぶんだけ下げ、40%といたしました。

非サイクル資産の内訳は不動産が20%で、
オルタナティブが20%です。

不動産は昨年同様、日本の不動産が筆頭で、
次点がヨーロッパの不動産です。

日本の不動産は地方ではなく、日本の中心、すなわち東京が
いいと思います。東京は常に進化しており、毎日のように
新しくなっています、ときどき空室を心配される方もおいでですが、
もし東京の中心部の不動産に空室が出るようなら、
その時点で日本は終わっているでしょう。

ただし昨年問題になったように、家賃保証や頭金ゼロには
十分ご注意ください、あらためてここで触れることは致しませんが、
売り手のセールストークに乗せられてはいけません。

身の丈に合った投資が重要です。

最後はオルタナティブです、ヘッジファンドは今年も
中期のトレンド・フォロー型ファンドから、裁定取引型や
ボラティリティから収益を挙げるタイプのファンドへ、
スイッチを促してまいりたいと思います。

そのほか現物資産では、僕の好きなクラシック・コインや
ジュエリーなど引き続き推奨いたします。

昨年はカラーストーンがずいぶんと値上がりした印象です、
特にスピネルの値上がりは急で、現地ミャンマーで2カラット
以上のきれいな石は、昨年一年だけでも2倍ほどに値上がりした印象です、
それでもまだ歴史的に見てスピネルは安値に放置されており、
今年も見直し買いが続くでしょう。

ルビーやサファイアも値上がり中ですが、
なにぶん高品質な石はめったに売りに出ることがありません、
きっと現地のオーナーが市場に出さないからでしょう。

 

ようやく長い長い僕の話も終わりにたどり着きました、
多分14,000名の購読者のうち、この一文をお読みの方は
30名ほどではないでしょうか・・・

その30名の皆様、
お読みになっていただいてありがとうございました。

書いてる僕の方も結構疲れました・・・

少しでも皆さんの今年の投資の参考になればという、
一心で書いてまいりましたが、これで僕が今考えていることは、
ほぼすべて網羅できたと思います。

昨年の本予想を振り返ってみて思うのですが、
実は、昨年は結構外してしまいました、一番の大きな読み違えは、
アメリカのFRBによる利上げペースです、トランプさんの
圧力があり僕は年2回と読んでいたのですが、4回でした。

もう一つの読み違えは、年初になかった米中貿易摩擦とその影響です。

いずれもトランプさんの行動の読み違えから来たものでした、
誠に申し訳ございませんでした、それでも現物資産の上昇や
ヘッジファンド、原油相場などは概ね想定通りとなったので、
自分としてはまずまずだったと思っています。

ご参考までに昨年の本予想は以下からご覧いただけます。

なお当時のメルマガをコピペしただけで
当然ながら(誤字脱字以外は)一切修正しておりません。

      ↓

https://www.ginzafp.co.jp/info/180118.html

以上です、
今年も皆さんにとって素晴らしい一年になることを
お祈りしております。

 

では今回はこのへんで。

(2019年1月16日)




 




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