| ■詐欺的商品を見分けるために 
 みなさんこんにちは。 たとえば私たちが株に投資するとしましょう、儲かることもあればソンすることもあります。
 株が下がった場合、そのリスクを負うのはもちろん私たち自身です。
 では一時払いの保険はどうでしょう。 そういえば一昔前「元本確保型の変額年金保険」というのがあって、人気化しました。
 この保険は保険会社が準備する「特別勘定(注)」の中から好きな銘柄を複数選び運用するもので、運用成績にかかわらず、
 満期時に円建て元本が保証されていました。
 注:投資信託のことです、複数の株式投信や債券投信などのなかから加入者が選択できました。
 満期時点で元本が確保されているうえに、株や債券の値動きによっては高い収益を狙えるということで、
 大変人気の高かった商品です。
 先ほど株の場合は購入者である私たちが、値下がりのリスクを負うと申しましたが、
 この「元本確保型の変額年金保険」の場合はどうなのでしょう。
 満期時点で元本を割ることはありませんので、保険の加入者である私たちが、
 値下がりのリスクを負うことはありません。
 でも株にせよ債券にせよ値下がりする可能性はあります。 現に日本株は1989年に史上最高値を付けて以降、いまだにそれを更新できていません。
 したがって「元本確保型の変額年金保険」の場合、株や債券の値下がりするリスクをとるのは、
 ありがたいことに私たちではなく生命保険会社だったのです。
 ただしこれは表面的なお話しです。 なぜなら保険会社が株安に耐え切れず破綻してしまえば、加入者である私たちも被害を被るからです。
 現在では「生命保険加入者保護機構」という制度があり、保険会社が破綻した場合でも、その破綻時点の保険の価値に対して、
 加入者は最大90%まで受け取ることができます。
 それでも加入者にとって相当な痛手であることに違いはありません。 つまりたとえ元本確保型であっても、株や債券などの値下がりのリスクは、
 最終的に私たち自身も負担することになるのです。
 リーマン・ショック後の株安に凝り、生命保険会社は「元本確保型の金融商品」は絶滅危惧種になりましたが、
 それでもいまだに目にすることがあります。
 たとえばケイマン籍の新興保険会社が販売する、オフショアの保険型商品などです。
 この商品はアメリカの株価指数S&P500に連動しつつ、満期まで保有すれば元本が保証されるとうたっていますが、
 果たしてどうなのでしょう。
 満期時点でS&P500が下がっていたら、その値下がり分はいったいだれが負担するのでしょう。
 一昔前のようにアメリカ国債の金利が高かったころならいざ知らず、現在のような低金利下で、このような元本確保型商品の組成は至難の業です。
 ちなみに僕は3年ほど前、この保険会社のダイレクターから直接説明を受けたのですが、
 最後まで元本保証の仕組みを理解することができませんでした。
 この商品に限らず「誰が最終的にリスクを負っているのか」について、私たちは冷静に考えなければなりません。
 その商品が詐欺なのか、それともまともな商品なのかを知るために・・・
   では今回はこのへんで。 (2019年11月5日) 
 
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