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中国の富裕層マネーはどこに向かうか

みなさんこんにちは。

先日中国は2020年の国勢調査を発表しましたが、
高齢化と少子化が予想を超えた速度で進んでいる
ことがわかりました。

発表された主な数字は以下の通りです。

・総人口:14.1億人
・65歳以上の人口:約1.9億人(対2010年比60%増加)
・現役世代(15歳から59歳)の人口:約9.7億人(対2010年比3.2%減少)
・出生数:約1200万人(前年比18%減、過去最大の減少)
・出生率:1.3人
・世帯当たりの人数:2.62人(2010年時点では3.1人)

この数字を見ると少子化、高齢化は明らかですし、
総人口14.1億人も国連の予想14.4億人を下回っています、
そのうえさらに、2022年にも人口の減少が始まるとの
見方も出てきました(注)。

注)環球時報の記事による

しかもこの数字自体がすでに水増しされており、
実態はさらに悪化しているとの見方が大勢です。

ここ40年ほどの高成長を支えてきた人口増加が止まり、
すでに逆回転が始まったといえるでしょう。

同国ではすでに一人っ子政策を廃止し、
「ふたりっ子政策」に転じましたが、
そのなかでの出生数の減少です。

国家にとって都合良く、
人口を増やしたり減らしたりするなど、
どだい無理だということが証明されたのかもしれません。

もう中国は人口の増加頼みで
成長し続けることはできないでしょう。

日本に限らず欧米の事例をみても、
少子高齢化と経済成長のあいだには密接な関係が見られます。

つまり少子化、高齢化が進むにしたがって、
経済成長も鈍化するということです。

中国だけが例外になるはずはありません。

様々な推計で、近々アメリカを抜いて世界最大の経済国になる
といわれてきましたが、上記のように中国は予想を超えるペースで
高齢化が進んでいることが明らかになりました。

逆にこれから中国は、
停滞期に入る可能性が高いと思います。

その場合いったいどんなことが中国に起きるのでしょう。

この点については日本の事例が参考になると思います、
なにしろ少子高齢化の点では世界最先端にいますので・・・。

中国にとってやっかいな問題の一つは、
社会保障制度の脆弱さではないかと思います。

社会保障を担う社会保険基金への政府支出額は、
2021年予算ベースで8.6兆元(約150兆円)を超え、
2015年時点の2.2倍ほどに膨張しています(注)。

注)日本経済新聞5/12記事より

すでに国民からの社会保険料の徴収だけではカバーしきれず、
財政によって25.5%を補っているそうですが、この数字は
2015年比3%上がっているとのことです(注)。

注)同上

今ですら現役世代(15-59歳)3.5人で一人の
高齢者(65歳以上)を支えていますが、今後さらに
現役世代の負担感は大きくなるでしょう。

すでに日本では社会保障への支出が政府歳出の1/3を超え、
財政を圧迫していますが、急速に少子高齢化が進む中国でも、
近い将来同様の問題を抱えることになるはずです。

しかも少子高齢化によって、
税収も今までのような勢いで増えることはなくなるはずです。

その結果、
軍事費や途上国支援、インフラ投資、国有企業支援など、
中国が国力膨張の源泉としてきたこれらの分野に、
今までのような大盤振る舞いができなくなるでしょう。

このように不安な同国の近未来に対し、
中国の国民はどのような見方をしているのでしょう、
そして何らかの具体的な対策をとろうとしているのでしょうか。

中国人は日本人以上に現実的で、
経済的な感性に長けていると僕は思います。

そして一部の富裕層はすでに自国経済や通貨の行く末に対し、
すこし懸念をもちはじめているようにもみえます。

次回はそのチャイナ富裕層マネーの行き先と、
私たちへの影響について少し考えてみたいと思います。

 

では今回はこのへんで。

(2021年5月21日)




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