| ■終わらない危機と実物資産 
 みなさんこんにちは。 私たちが生きる今の世界は、さまざまな危機に満ち溢れています。
 2008年に起き世界中に伝染した金融不安、2020年に起きた新型コロナ禍。
 21世紀の最初の20年だけでも大きなショックが2度起きましたが、どう考えてもこれでお終いということはないでしょう。
 世界にはあふれかえるほどのおカネが滞留し、ますます暴走しやすくなっています、
 そのおカネを刷ったのは私たち自身ですが、
 その私たちがおカネを制御できなくなりつつあります。
 人間の居住範囲の拡大は自然界に生きる動物たちとの接点を増やし、新しいウィルス発生の機会を増やし続けるに違いありません。
 それだけではありません。 アメリカと中国の覇権争いも気になる問題です、アメリカ政府の高官がいうように、
 中国による台湾への侵攻がここ数年で起きるなら、
 隣接する日本が無傷でいられるとは思えません。
 北朝鮮問題しても同様で、危機のレベルは上がり続けているようにみえます。
 このように見てまいりますと、ふだん私たちが意識していないだけで、
 私たちが「一寸先は闇」の世界で生きていることがよくわかります。
 そして実際に危機が起きてから慌てふためく・・・。 もちろん私たちはすべての潜在危機に備えるわけにはゆきませんが、せめて資産だけでも被害を最小限にとどめられるよう、
 ふだんから意識し備えておくべきではないでしょうか。
 そのために「おカネを一つのカゴに盛らない」のは当然ですが、ここでいう「一つのカゴ」が何を意味するのか、
 私たちは普段からよく考えておく必要がありると思います。
 たとえば私は職業柄多くの富裕層の方とお話ししますが、ときどきいくつもの新興国の債券を大量に保有している方がいます。
 一つ一つの新興国は危なくても、複数の国に分散しておけば大丈夫だとお考えなのですが、
 それは甘いと言わざるをえません。
 なぜならば経済的に脆弱な国で発生した経済危機は、同様の弱さを持つ他国の債券相場に伝染しやすいからです。
 株の世界でも同じようなことが起きます。 では本当の意味での分散とはいったいどのようなものでしょうか。 僕は質的な分散が必要だと思います。 株の中での分散や債券の中での分散、あるいは株と債券への分散といった狭い意味での分散ではなく、
 資産の質的な違いに注目した分散です。
 たとえば2020年のコロナ・ショック当時、株や債券以外に皆さんが金(Gold)を保有していればどうだったでしょう。
 昨年3月、日経平均は24,000円台から16,000円台まで、一気に3割ほども下げましたが、その間の金価格は、
 逆に1オンスあたり1600ドル台から1800ドル台まで値を上げています。
 リーマン・ショックがあった2008年をみても同様で、金価格はほんのいっとき下げたもののすぐ上昇に転じ、
 2008年を通してみれば逆に上げました。
 株や債券と違い、それそのものに価値がある金。
 中央銀行が発行する通貨を介さず、所有者とダイレクトにつながっている金。
 経済的なショックによって通貨システムが動揺する中、金が持つそのような性格が選好された結果ではなかったでしょうか。
 コロナ・ショックのときも、リーマン・ショックのときも、
 いずれ市場は落ち着きを取り戻し、
 株価は急落前の水準を取り戻しました。
 それでも、もし私たちがおカネを株に集中させていればどうでしょう、あまりの下落に耐え切れず株を安値で手放してしまった方も、
 多かったのではないでしょうか。
 冒頭申し上げたように僕はこれからも繰り返し、金融システムを揺さぶるショックがやってくると思います。
 そしてそれはいつ、どのような形でやってくるか、私たちは予想することができません。
 そのような危機に対応するために、私たちにとって実物資産の組み入れは、
 ますます重要になってくるのではないかと僕は思います。
   では今回はこのへんで。 (2021年7月15日) 
 
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