■プライベートクレジットのリスクを考える
みなさんこんにちは。
最近プライベートクレジットの話をよく耳にします。
プライベートクレジット(以下PC)は銀行を介しない融資のことで、
アメリカで近年増えてきた運用手法です。
2024年時点での運用資産残高は2兆ドル(320兆円)ほどもありますから、
すでに無視できない規模です。
2008年に大きな金融危機がありましたが、
その反省からアメリカでは銀行がとるリスクは制限されており、
その隙間に入る形でノンバンクによる融資、
つまりPCが盛んになりました。
昨今このPC、
さまざまなリスクが指摘されるようになりました、
なかには2008年金融危機の発生源になったサブプライムローンと比べる人もいます。
PCの主要な市場はアメリカですが、
今回はその問題点について少し整理しておきたいと思います、
問題点の一つ目は、
その融資先は銀行からの融資が受けにくく、
なおかつビジネスの性格上、資産に担保設定が難しいソフトウエア業界が多いという点です、
従って融資が回収不能に陥るリスクはやや高めと考えておくべきでしょう。
特に近年AIの進化によって、
このようなソフトウエア企業は収益への疑問が持たれるようになっています、
いわゆる「SaaSの死」というやつです。
はたして融資先の会社が健全な経営を続けられるのか、
その点がPCの第一番目の問題点です。
PCのもう一つの問題点は時価が計算しにくい点です。
例えばあるノンバンクがあるソフトウエア会社に融資をしていたとして、
その融資の現在価値をどのように計算すればいいのでしょう。
その点で、証券市場で日々刻々価値が変化する株や債券、商品相場などと
性格が異なっており、時価の算定にはどうしても恣意的な要素が含まれます。
まあ簡単に言えばPCの価値は常に不透明だということです。
PCのもう三つ目の問題点は流動性が低い点です。
あるノンバンクがあるソフトウエア会社に融資する場合、
その融資の性格から考えて、途中で債権を第三者に売却するのは簡単ではありません。
このようにPCはいくつかの根本的な問題を含んでいることがわかります、
その対価として高い利息を受けることができますが、
問題はリスクにみあったリターンを受けているか否か、
その点だと僕は思います。
さらにアメリカではPCを束ねたPC投信(注)が公募されており、
投信を通してすでにリスクが拡散している可能性があります。
注)アメリカではPCに投資する投信(ファンド)が急速に増えてきました、
現にアメリカではPCを束ねたBDC(注)のいくつかで、
投資家から解約請求が増えていますし、上場しているBDCの株価の下落も
見られます。
注)ここでいうBDCは(ここではPCへの)投資を目的として設立された会社です。
証券取引所に上場する投資法人(=BDC)もあります。
ここまでアメリカのPCの現状と問題点を見てきましたが、
アメリカのことだと無関心でいられません。
日本でもすでにPCを束ねた公募型の投資信託が富裕層向けに販売されており、
大和証券は3000億円以上、野村證券は1900億円ほどを販売し、
人気商品になっています。
いまのところ国内のPC投信は、
「特段の混乱や著しい解約は発生していない(野村証券談)」とのことですが、
この点は少し注意してみておく必要があると思います。
アメリカで不安感が出ているにもかかわらず、
上記の様に「(日本では)特段の混乱や著しい解約は発生していない」ならば、
はたしてその違いはどこから来ているのか・・・、
僕などはその点についてアレコレ想像してしまいます。
では今回はこのへんで。
(2026年4月16日)
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