ホーム > 連続読みもの(抜粋版) > 2−3.新興国株のサイクル性をどう活用するか(その1)
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■新興国株のサイクル性をどう活用するか(その1)

マネージド・フューチャーズは上にも下にも一方向に流されやすい人間の集団心理を利用した運用手法といえますし、
人間がもつこのような特性は一朝一夕に変化するものではないでしょう、確かにマネージド・フューチャーズは、
現在のところは運用成績に陰りがみえますが、このような点から考えますと、やはり今後も資産運用の有力なパーツと
考えてよいのではないでしょうか。
一方で経済の回復期、特に(2009年にみられたような)景気後退から回復に転じる端境期には株やコモディティなどに比べ、
大きく見劣りするのも事実です。そういった点では、やはりハイリターン追求型ポートフォリオの主役は、あくまで株や
コモディティといってよいのではないでしょうか。

『士、別れて三日経てば刮目して待つべし』

これは三国時代の中国の故事で「男は三日も会わなければ、驚くほど成長するものである」といった意味で使われます。
最近の中国経済はまさに『刮目(目を見開いて)』してみなければならないほどの急成長ぶりですね。
成長しているのは経済だけではありません、経済成長を背景としたしたたかな外交により、
国際舞台での発言力を日々強めているようにもみえます。

彼らにしてみれば世界を覆った経済危機すらも、発言権拡大のチャンスと映ったことでしょう・・・

いずれにしても2008年の経済危機が、結果として彼らのプレゼンスの拡大に一役買ったのは間違いなく、
早晩世界はよく言われるように『米国一極体制』から、『米中両極体制』に移行してゆくのかもしれませんね。
新しいG2体制への移行です。
最近の中国の躍進ぶりをみていますと、私などは逆になぜこのように大きな潜在力と構想力を持った国が、
この100年間というもの発展途上国の地位に甘んじ、経済的に停滞し続けてきたのか・・・
むしろその点に疑問を感じざるをえません。

歴史的にみれば、漢や唐という世界帝国が出現した時代、先ほどの故事がうまれた三国時代、
元や清といった異民族による統治時代、いずれの時代をとってみても中国はまぎれもなく世界の先進地帯であり続けましたし、
常に欧亜世界の超大国でもあり続けてきました。
その中国社会が清末、19世紀後半以降なぜ急速に崩壊し、100年にも及ぶ停滞期に入ったのか・・・

国家間の競争は、歴史的にみて常に発展の原動力であり続けてきました、私はこのことと中国の停滞は
無関係ではないように思います。
欧州が中世の停滞から脱し、特に16世紀以降は欧州域内での国家間競争をバネに経済的な成長を先鋭化させる一方で、
アジアは中国という絶対的な覇権のもと、長らく国家間の競争がなかった・・・このような歴史的な巡りあわせと、
中国の停滞は何らかの関係があるのかもしれません。そのような観点で現在の中国やアジアを取り巻く環境をみますと、
経済のグローバル化が進んだ結果、現在は否応なく国家間の経済的な成長競争に参加せざるを得ない状態にあり、
そのことがここ数年の中国の台頭の一因になっているのではないでしょうか。

もしこの考え方が正しければ、今後も中国は成長を続けざるをえず、かれらは国家としてのDNAに刷り込まれた如く、
世界の超大国を目指し、その民族的競争心をフルに回転させ続けるのではないでしょうか。


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