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なぜ円は弱くなったのか

みなさんこんにちは。

10年経てばマスコミの論調も随分と変わるものです。

ちょうど10年前の2011年、
僕は以下タイトルのメルマガを配信いたしました。

『デフレ国の通貨は強くなるか』

  ↓

https://www.ginzafp.co.jp/info/110921.html

ちなみに2011年9月当時のドル円レートは、
1ドル=78円あたりでした。

当時の経済紙やエコノミストは、
購買力平価に基づいて今後ますます円高は進むと考えていました。

なぜなら購買力平価説に基づくと、
デフレ国の通貨は高くなるとされているからです。

でも実際に起きたのは逆に円安です。

ではなぜ経済学の教科書とは逆に、
デフレ国である日本の円が安くなってしまったのでしょうか。

それは当時のエコノミストがよりどころとしていた購買力平価説が、
豊かさが為替に与える影響を無視していたからだと僕は思います。

つまり「貧困に向かう国の通貨は売られるという」、
私たちの肌感覚では当たりまえの現象を、
経済学は無視していたともいえるでしょう。

教科書通りならデフレ国である日本の円は高くなるはずですが、
それを上回る速度で日本の(相対的)貧困化が進んだ結果、
円はドルに対し逆に安くなってしまったとも言えるでしょう。

この誤りは、
決して軽いものではありません。

なぜなら国民の資産運用という観点で、
円高か、円安かの見通しは、
極めて大切だからです。

円高ならば円建て資産中心の運用が正解ですが、
逆に円安が進むなら外貨中心の運用が求められます。

教科書に書かれている購買力平価説の表面をなぞった結果、
マスコミやエコノミストは、
多くの国民を逆の方向に誘導してしまったといってもよいでしょう。

でも幸いなことに、
最近のマスコミの論調は当時の逆です。

今朝(2022年1月21付け)の日本経済新聞の一面では、
『円の実力低下、50年前並み』として、その背景には
日本の相対的な貧困化による購買力の低下があると示唆しています。

この記事に限らず、最近はこのように円安の原因を、
日本の相対的貧困化にあるとする論調が増えてきたように思います。

そういえばテレビのワイドショーなどでも、
日本の給与が増えていないとか、先進国でも収入が
下の方にあるといった番組をよく目にするようになりました。

このように購買力平価説では説明できない円安を、
日本の貧困化で説明しようとする姿勢は正しいと思います。

問題はどのようにすれば日本を再びリッチな国にしてゆくかですが、
現状を正しく認識しなければ、また間違った方向に誘導されかねません。

少なくとも今の日本が相対的に貧しくなっているという点を、
日本人が広く共有し始めたのは、
議論の始点として正しいと僕は思います。

大切なのはその先ではありますが・・・。

 

では今回はこのへんで。

(2022年1月21日)




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