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半導体株の売り場を考える-2

みなさんこんにちは。

今週は先週の続きですが、
内容はちょっと難しく読みづらいかもしれません、
株式投資に興味がない人は読み飛ばしたほうがいいかもしれません。

さて先週このメルマガで、僕はこんなお話しをしました。

『すでに半導体サイクルに上手に乗られた人も、
富士山の6合目で乗る人も、
等しく目の前には2つの選択肢が提示されていると思います。』

一つ目の選択肢は、長期投資と割り切って、
言い換えればサイクルを無視して半導体に乗り続けるという考え方で、
これについては前回お話しした通りです。

今回は二つ目の選択肢、
すなわち『半導体株がピークに達する前に売る』という考え方に
ついてお話ししたいと思います。

その前に現在に至るまでの半導体株の動きを、
少し整理しておきたいと思います。

前回の半導体サイクルのピークは2022年の半ばあたりでしたが、
関連株はそれを先取りする形で、すでに2021年の11月あたりに
ピークを迎えました。

そして関連株はそこから一直線に下がり続け、
ちょうど一年後の2022年末あたりに底を打ちました。

この間のナスダック指数(注)と半導体サイクルを以下に整理しておきます。

□2021年11月、ナスダックのピーク:16,000ほど(以下便宜的に16,000)

□2022年半ばに半導体サイクルのピーク(出荷のピーク)

□2022年末、ナスダックのボトム:11,000ほど(以下便宜的に11,000)

注)ナスダック指数には半導体株を含むハイテク企業が多く含まれており、
  半導体株指数と似た動きをします、SOX指数よりこちらのほうが
  なじみがあると思います。

さて大切なのはここからです。

上のように前回の半導体サイクルのピークは2022年の半ばで、
そこから半導体の需要は急速にしぼみました。

今年の年初あたりの見通しでは、
半導体サイクルのボトムは2023年3月あたりになるとみられてましたが、
いまそのボトムは「逃げ水」のように遠のきつつあります。

直近の注目イベントは、台湾の半導体受託会社TSMCの4-6月期決算発表でしたが、
同社は今期(2023年12月期)の販売予想を、4月時点の「1-5%の減少」から、
「約10%の減少」に引き下げました。

これもまた半導体市場の「逃げ水現象」を裏付けたといえるでしょう。

同業社の業績もおおむね不振で、
市場では半導体市場の本格回復は、
来年にずれ込むとの見方が台頭しつつあるようです。

半導体市場のサイクル後ずれにともなって、半導体株のほうも
「逃げ水現象」を織り込み始めていると僕は思います。

もちろん目先の半導体株を考えると、
この「逃げ水現象」はありがたくない話ですが、
見方を変えるとどうでしょう。

上記のように半導体サイクルのボトムを、年初時点では今年(2023年)3月と
見ていましたが、現在では来年(2024年)1月-3月あたりとの見方が大勢です。

半導体サイクルのボトムからピークまで2年半と見れば、
次のピークは2025年半ばではなく、そこから1年あとにずれ、
2026年半ばあたりがピークと考えていいでしょう。

仮に半導体サイクルを6か月先取りして株価が動くとすれば
どうでしょう。

その場合、次の半導体株のピークは2025年末あたりになる計算です、
僕は今まで次の半導体株のピークを2024年央から同年末あたりと
考えていましたが、このようなことからその時期を1年ほど先に伸ばし、
2025年末あたりに修正したいと思います。

したがって関連株の売り時は、
2025年の年初から年央あたりに設定しなおすべきだと思います。

ただしいくつかの注意点と補足があります。

まず足元で半導体関連株は数か月ほどの低迷期に
入るとおもいます、考えてみれば当然で、半導体市場の回復時期が
1年ずれれば市場は良くて足踏み、素直に考えると少し下落して、
しばらくはサイクルの回復を待つ期間に入るはずです。

二つ目の注意事項は、半導体と一口に言ってもメモリやパワー半導体、
生成AI用サーバーに使われる先端半導体まで幅広く、
それぞれの異なった値動きをするということです。

簡単に言えばスマホやPCなどで使われる汎用品は回復が遅く、
自動車(EV)に使われるパワー半導体はいち早く需要が上向くといった具合です、
同じ理由で生成AI向け半導体も早期に立ち上がると思います。

このようにご自分が今持っている関連株が、
どの用途で使われているかを理解しておかなければなりません。

三つ目の注意事項は、半導体は常に進化しており、
次のピークでは前回のピークの出荷額を超えるという点です。

当然ながら、
これは株価にも影響を与えることを理解しておかなくてはなりません。

たとえば僕は先ほど、
過去のナスダック株価指数について以下のように紹介しました。

□2021年11月、ナスダックのピーク:16,000ほど(以下便宜的に16,000)

仮に次のナスダックが上記のように2025年末あたりにピークを迎えるとした場合、
その時点の指数はいかほどでしょうか?ご参考までに同指数はすでに足元で
15500ほどに達しています。

もし次のピークが前回のピーク(約16,000)どまりだとすれば、
すでに伸びしろはほとんどないことになります。

でも次の半導体出荷額が前回ピークを30%(注)上回るとしたらどうでしょう、
おそらく関連株の上昇率は、それ以上の上昇を期待していいはずです。

注)2022年実績÷2018年実績で計算した大雑把な数字に基づきます

逆もまた真なりです。

次のピーク(2025年末)に達する前に、
ナスダックが前回ピークの、たとえば50%アップ(注1.2)に達するようなら、
短期的なバブルの兆候を疑うべきかもしれません。逆に言えば、
50%アップの範囲内に収まっているならOKという考えが
あっていいと思います。

注1)販売額が30%アップした場合の税引き後利益の拡大を50%と
   想定しました。
注2)16,000×1.5=24,000

少し長くなりましたので、
今回のお話を少しまとめさせていただきます。

1.半導体サイクルの次のピークを2025年半ば⇒2026年半ばに見直し
2.上記に伴って関連株のピークも2024年末⇒2025年末に見直し
3.半導体サイクルの底入れが後ずれすることにより、目先の関連株は短期の調整期に入る
4.2025年末時点のナスダックは前回ピークの1.5倍程度を目安にしたい、
 すなわち24,000あたり、2025年末以前にその水準に達するなら、
 その時点でバブルの可能性を疑ってみる

 

では今回はこのへんで。

(2023年7月26日)




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