ホーム > T's資産運用コラム > エヌビディアから広がる半導体の裾野
エヌビディアから広がる半導体の裾野

みなさんこんにちは。

日本時間の今朝がた、
株の世界でビッグイベントがありました。

エヌビディアの四半期決算発表です。

四半期決算のたび、エヌビディア株は世界から注目を
集めてきましたが、今回の注目度はMaxでした。

ここ2回ほど、事前に好決算が織り込まれてしまい、
ふたを開ければ下落というパターンが続きましたが、
今回は逆のパターンでした。

この間の同社株の値動きは、
人間の心理現象を観察する良い機会ではありましたが、
話が脇にそれてしまいそうなので触れないことにします。

さて、
世界中が注目するなか発表された同社の決算は、
事前に高まる期待をさらに超える内容で、
同社株は時間外取引で9%ほど上がっています。

よりダイレクトに反応したのは日本株でした、
なにぶん東京市場は同社決算の発表後、
最も早く開いた主要市場です。

特に敏感に動いたのは半導体関連株で、
10%以上も値上がりしたも銘柄もあります。

半導体株に引っ張られる形で日経平均も上昇し、
日経225は史上最高値を更新する場面もありました。

確かにエヌビデアは、
生成AI分野で圧倒的な製品をもっており、
強い価格競争力があります。

さきほど発表があった決算内容をみても、
粗利率は75%を超えていますし、
四半期の純利益は日本円で1.8兆円を超えました。

日本で最高のトヨタの純利益予想は4.5兆円ほどですが、
この数字は年間決算の予想です、それに比べると
「四半期純利益1.8兆円」のすごさがわかります。

過去を振り返ると、
同社の前年同期(2022年11月から2023年1月までの四半期)の
純利益は0.2兆円ほどにすぎませんから、
その伸びはすごいです。

こんな好決算を見せつけられると、
生成AIの利益はエヌビディアに全部持っていかれている
ような気さえしますが、そんなことはありません。

確かに足元で、生成AI向けの先端半導体は同社が80%ほどに
シェアを持っているようですが、そんな一人勝ちが
いつまでも続くとは思えません。

すでにマイクロソフトやグーグルなどが開発中ですし、
AMDやインテルはエヌビディアと同等の性能を持つ製品を、
すでに販売し始めています。

当面はエヌビディア一強が続くと思いますが、
いずれ他社もキャッチアップしてくるでしょうし、
市場自体も広がってゆくでしょう。

インテルは昨年12月、
大規模なクラウドサーバーにつなげなくても、
PCのなかで生成AIを使える技術を発表しています。

向こう数年のうちに、スマホやPCのなかに
AI半導体が組み込まれてしまう可能性もあると思います。

こんな半導体の高性能化のなかで、
注意してみておきたいのは日本株への影響です。

残念ながら日本に、
最終製品としてのAI半導体を作る力をもっている会社はありません、
でもAI半導体の製造に欠かせない素材や薬品などを作る会社は
たくさんあります。

たとえばフォトマスクの検査装置を作るレーザーテック、
先端半導体を作るにはこの会社の製品は欠かせません。

半導体の集積度が高まるほど、
製造工程における「洗浄」が重要な意味を持ちます。
売り上げ1000億円に満たない小さな会社ですが、
野村マイクロ・サイエンスという会社は、
洗浄に使う超純度水の製造装置を作っています。

5ナノや3ナノといった集積度の高い先端半導体を作るためには、
パッケージ基盤でも微細化加工が必須です、
イビデンはパッケージング技術でTSMCから高い評価を受けており、
今後も進む半導体の微細化によって、
同社の役割はますます大きくなってゆくはずです。

他にも密着材のメックや絶縁材のトリケミカル、
半導体研磨装置のディスコなどなど・・・

半導体産業はすそ野が広いだけに、
黒子として支える会社は日本にたくさんあります。

いまのところエヌビディの一人勝ちのように見えますが、
時間の経過とともに、その恩恵は多くの関連企業に広まってゆくでしょう。

そんな大局をみれば、
日本の会社はすごくいい位置取りを占めていることがわかります。

 

では今回はこのへんで。

(2024年2月22日)




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
totop